- 本 ・本 (606ページ)
- / ISBN・EAN: 9784344403550
感想・レビュー・書評
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東電OL殺人事件をモチーフとした物語。
すっかり忘却の彼方に追いやられた東電OL殺人事件を調べてしまった。ほぼ同じプロットなのですね。
本作のストーリでは、夜な夜な円山町で売春していたエリート女子社員がネパール人が住むアパートで殺されます。
なぜ、彼女が殺されたのか?
その裏に潜むものは何か?
といった形で刑事達が事件の真相を追いかけます。
しかし、これが淡々としていて、大きな山場を感じないまま、捜査が進めば進むほど、さまざまな事象がでてきて、どうなる事やらっていう展開です。
不法滞在ネパール人、密教の様なヨガの世界、薬物、政財界スキャンダルとドンドン話が大きくなっていきます。
そして、本書のタイトル通り、ダブルフェイスということで、本書では女性の2面性を被害者だけでなく、被害者同様の二重生活を送る女性や、ストーカに狙われる女性からあぶりだしています。
んで、結局、事件の真犯人、真相は?というと、明確な記述を避けていて、最後のストーカのドタバタで、うやむやな感じで終わっています。
殺されたOLがマネーロンダリングに絡んでいたのか(推理上はYES),どうやって、殺しの指示を出したのか、そして、その人物達は最後どうなるのか、が描かれておらず、実行犯に絡むところの逮捕で終わってしまって、なんとも消化不良です。
ま、本書では、殺人事件の犯人がどうとかいうことではなく、夜と昼の顔を持つ女性、さらには、男たちに負けない女性像について語りたかったのだからしょうがないかとも思います。
ということで、かなり多くのことを詰め込みすぎてて、消化不良な印象です。
エンターテイメント性にも欠ける、スッキリしない物語でした。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
東電OL殺人事件をモチーフにしてるってことで読み進めてみたら、普通の事件解決ものだった。とくにストーリーに捻り無し。読みやすいけど。
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東電OL殺害事件を下地にした小説です。OLという言葉で括るのは不適切と思いますが。
事件からもう16年経ち、冤罪あり、結局真犯人もわからずじまいでうやむやなまま、ときどき気になってしまう事件のひとつでした。
そんな事件を題材にしているので、興味をもって読み始めたものの、殺人事件に並行して、主人公の恋人のストーカー被害事件と彼女の会社の先輩の売春発覚等が起こり、内容が盛りだくさん過ぎて中途半端な気がしました。
ストーカー被害事件に関しては、せめて発端になるエピソードが欲しかったと思います。
実際の被害女性は、昼は東電会社員、夜は売春婦という職業柄、殺害されたにもかかわらず、事件当時はひどい言われ方ばかりだったと記憶しています。
真犯人不明の今日、被害者の方が安らかな眠りにつけていられますようご冥福をお祈りします。 -
東電OL殺人事件の関連書は桐野夏生著「グロティスク」、佐野 眞一著 「東電OL殺人事件」と読みすすめ、久間 十義 の「ダブルフェイス」で3冊目になる。世間が問う「なぜ?」に答えはあるのだろうか。小説なので予想を超えるものではないにしろ、過度のストレスが彼女を性衝動に駆り立てたのだと、結論づけるには何かが足りない。犯人探しよりも、東電OLの不可思議な日常に興味が尽きない。
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東電OL殺人事件がモチーフとなっているこの本。そういえば、佐野眞一『東電OL殺人事件』も数年前に買ったまま積読状態になっている・・・。この本はフィクションだけど、フィクションだからこそできる面白い「二面性」へのアプローチの仕方をしてた。まず東電OLとほぼ同じ設定で殺された被害者、そして事件を追う刑事の彼女の百合子、そして同じように夜は売春をしている百合子の先輩。百合子が同じ「働く女」である先輩について考察できるというのは、うまいと思った。まぁ、この本がいう彼女が二面性を持った理由は、いってしまえば、女性ゆえに売春に走ったわけだけど、普段すごく真面目な学生が窃盗とかする感覚に似ているような気がしないでもないけれど。
著者プロフィール
久間十義の作品





