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本 ・本 (358ページ) / ISBN・EAN: 9784344403574
感想・レビュー・書評
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村上さんの作品を読んだのはこれで2冊目ですが、独特の緊張感があると感じました。その緊張感が私には合わない…
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家族から主婦が自立する話だと、
どこかの文芸欄に紹介があったので、
手に取ってみたところ、
閉じこもりの長男の話から始まりました。
引きこもりの主人公がふとしたことから「人の役に立ちたい」という思いを抱いて、
ある支援者から、
「親しい人の自立は、その近くにいる人を救うんです。一人で生きていけるようになること。それだけが、だれか親しい人を結果的に救うんです」
と助言をもらう。
家族って、そもそも親に依存しなくては生きていけない
「子ども」が存在して初めて「家族」という形態になる。
家族で問題を抱えきれなくなると、家族という形がいびつになる。それは、きっと、家族の各々が自分と向き合い解決していかなくてはならなくなるからですね。
気が付けた家族は救われるんだね。
重い題材なのに軽快に読み進められたのはなぜかな。
一歩踏み出すって、小説みたいに簡単にはいかないけど。読了感は、いいな。 -
誰かを救うことでは自分は救われない。自分が救われるのは、他者が自分に拠らず自立することで、共依存から解放されることだったり。家族は依存から始まるが、やがて各自が自立していく暫定的なもの。最後は緩やかな信頼関係で担保されていれば、一見バラバラだって良い。
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(以下、一応ネタバレは注意していますが重要なセリフを引用してしまいました。読みたい方はスルーお願いします)
村上龍が素晴らしいのは、「サバイバル」をテーマに、弱者の敗退を当然視しているように見せながら、実はそれぞれの「適者生存戦略」、つまり誰にでも居場所はあるし、必要なのはそれを見つける技術だ、ということを訴えている点だと思う。「生きづらい日本」みたいな言葉で慰撫しつつ、具体的な解決策を問われると「互いを認め合う社会」といった抽象的なことしか言えない凡百の論者とは一線を画している。
本作でも、引きこもり、DV、不倫、リストラと様々な家族群像を描いているが、そこに「悪いのは社会」というメッセージは感じられない。むしろ、登場人物たちの他者への依存、甘えを厳しく告発してさえいる。だが同時に、やり方さえわかれば前に進めるんだ、ということも伝えようとしている(勉強が苦手ならどうやって手に職をつけるか。適切なカウンセリングがどれほど心の負担を軽くするか。そこにたどり着くための役所の窓口はどういう仕組みになっているか)。
引きこもりの主人公がふとしたことから「人の役に立ちたい」という思いを抱く。彼に示唆を与える弁護士の言葉が印象的。「親しい人の自立は、その近くにいる人を救うんです。一人で生きていけるようになること。それだけが、だれか親しい人を結果的に救うんです」(文庫版P.303)。この言葉が、「助け合わなければならない」という呪縛に囚われた家族の幸福な解体を示唆する。
必ずしも美しい救いではないが、あたたかい。 -
弁護士田崎が言った、大切なのは1人で生きられることなんだよというセリフが心に残った。
あと、地道な作業の中でこれは自分には向いてない辞めたいって思った時、自分がやめたいんじゃなくて、誰かが辞めさせようとしていると考えたらいいよっていう言葉も心に沁みた。 -
ひきこもりの長男を抱えて、崩壊の一途をたどるばかりのとある家族の物語。
社会派サスペンスのような要素が強く、ぐいぐい読み進めてしまいました。
この内山家は、ひきこもり長男の秀樹はもちろん、父親も母親も、そんな家族にうんざりしている女子高生の知美も、全員が全員に寄りかかり切っている印象があった。
私が育ってきた家庭も問題だらけでほぼ似たようなものだったので、誰に感情移入したかと言えば知美かな。
一刻も早く脱出したくてしかたがなかった。
そんな気持ちばかりが先行してしまう多感な女子高生を、導いてくれるような立場にあたる近藤にも好感がもてます。
宝石デザイナーへの夢、道、現実。近藤の言葉は静かに私のなかにも沁み渡りました。
家族はどうあるべきなんだろう。家族ってなんなんだろう。残酷で暗くてそんなことばかりぐるぐる考えさせられる話でしたが、あの形の結末はベスト。むしろあれ以外に無いベストな結末だった。
家族って到達点ではないんだ。必ず全員個人としての人生があるし、子供はそこからがすべてのスタート。
内山家のドライな後日譚はいくらかさみしいかもしれないけれど、家族の先にあるのがてんでバラバラの希望と未来でもそんなの全然かまわないんだと思えました。
家族はただ家族なんだから。 -
ひきこもりの娘がいるため
内容が身にしみた
私はもうほとほと疲れた -
「あるべき家族」の姿を守ろうとした父親。
その箱の中に収容された家族。
それぞれが幸せならば、家族の形など取るに足らないものではないか、それが愛情ではないか。
弟が好きだと言っていた理由がわかった。 -
良い小説だった。今読んでも充分に新しい家族小説。
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