クラッシュ 絶望を希望に変える瞬間 (幻冬舎文庫)

  • 幻冬舎 (2003年5月9日発売)
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本 ・本 (318ページ) / ISBN・EAN: 9784344403604

感想・レビュー・書評

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  • 高校のころに読了。
    古本屋でみつけて、購入した本。
    衝撃的な事故のお話。

  • 女子栄養大学図書館OPAC▼ https://opac.eiyo.ac.jp/detail?bbid=2000052978

  • 女子栄養大学図書館OPAC ▼
    https://opac.eiyo.ac.jp/detail?bbid=2000052978

  • 三度熱傷、範囲60%。皮膚全層が壊死し、二度と再生が出来
    ない重度のやけどだ。皮膚だけではない。生命そのものが
    脅かされる重症。

    1998年5月3日。全日本GT選手権第2戦の開催地、富士スピード
    ウェイは豪雨に見舞われていた。しかし、レースは決行された。

    ペースカーの先導で45台のraceカーが周回を始める。降り続く
    雨はまるでカーテンのよう。そして起こった追突事故。コース
    アウトして停止したポルシェに、前方の異変を感じて進路変更
    をしたフェラーリが突っ込んだ。

    スタート直後だ。マシンにはガソリンが満載されている。
    ポルシェ、フェラーリ、それぞれのガソリンが噴出し、爆発。
    ガソリンをもろに浴びたフェラーリは恐ろしいほどの炎に
    包まれ燃え上がった。

    このフェラーリのドライバーが著者である太田氏である。事故
    当事者自らが筆を執った再生の物語は、それだけに心情に迫る
    ものがある。

    この人の強さはなんだ。痛く、辛い熱傷の治療。顔の再生手術、
    リハビリ。きれい事だけではなく、その時々の感情を正直に
    曝け出している。

    時に自分の身に起こったことの重大さに気づかず、時に思うように
    ならない現実に苛立ち、時に生きることを諦めもする。

    しかし、ゆっくりゆっくりとではあるが自らを焼いた炎よりも
    強い意志で現実を受け入れ、再度生きようと思い決める。

    太田氏本人の努力も凄まじいが、この太田氏を支えた奥様が
    また素晴らしい。小さなお子さんをふたり抱えて周囲の助け
    はあったものの、看病に為に病院に詰め、太田氏の苛立ちの
    はけ口になりながらも、「哲ちゃんならできるよ」と励まし
    続ける。

    奥様もそうだが、レース仲間や自動車雑誌の編集者等、太田氏
    を取り巻く人たちがみな温かい。それは元来、太田氏が持って
    いた人間的魅力に惹きつけられていたからなのだろう。

    復帰は絶望的と言われた大事故から2年6か月後。「日本一の
    フェラーリ遣い」との異名をとったレーサーは、再びサーキット
    にいた。

    本書は映画化もされたようだ。そして書籍でも続編が出ている。
    「その後」の太田氏のことも知りたくなった。

    尚、事故発生後、真っ先に消火にあたったのはオフィシャルでは
    なく、レースに参加していたドライバー山路慎一だった。昨年、
    亡くなったんだよね。ご冥福を祈る。

  • あまりノンフィクションは読まないけど、読みやすい。

  • 「日本一のフェラーリ遣い」と言われた太田哲也選手が、1998年に富士スピードウェイの多重クラッシュ事故で瀕死の重傷を負い、奇跡の復活を遂げるまでの1年間を、本人が記したノンフィクション。
    事故直後の死の淵から生還したものの、それに続く凄まじい痛みと眉と鼻を失った顔。。。絶望的な状況を乗り越えていく記録は壮絶なもので、涙なしには読めない。
    太田選手が事故後初めて自分の顔を見て、絶望した場面。。。「黒いマントの男のことを思い出す。「君は濃い人生を送った」という言葉は、人生のゲームオーバーを意味したものだったのだ。あのとき、俺は死ぬべきだったのに、間違えて生き返ってしまった。本当は、あのとき、彼の言うとおりにすれば良かったのだ。そのほうがどれだけ幸せだったろう。「俺の人生は幸福だった。俺は精一杯生きたぞ」と、自分にプライドを持って胸をはることができたはずだ。間違いなく僕の人生は素晴らしいものとして分類されていたはずだ。あのまま死ねば良かったのに、なぜ俺は助かったのだ?どうして生き返ってしまったのだ?時間がたつほどに悲しみがこみ上げてくる」
    そして、再生手術の主治医が太田選手に語る言葉。。。「太田君、君はアマゾンの流れの中にいるんだよ。君には河の流れが止まっているように思えるだろうし、岸辺も遠くてよく見えないだろうけど、でも、いつかは必ず海に出る。・・・今の君にとって河の流れは残酷なくらい遅く感じられるだろうけれど・・・」
    「勇気」、「希望」などというありきたりの言葉では表せない何かを与えてくれる一冊である。
    (2013年4月了)

  • 多くの支えがあることのありがたさや
    いろいろな物事に対する心境が深く伝わってきた。
    また、気持ちの持ちようでいかほどに身体の回復に影響するかを知ることができた。
    もし自分が同じ局面を迎えたらどう感じ、どう思うのか、
    著者とのギャップを感じることができた。

  • 今までたくさんドキュメンタリーを読んだがルポライターと称する人たちが書いた本はわざとらしかったり嘘臭かったり感動の押し売りに辟易することが多かった。でもこの本は一言一言が真実。揺れ動く気持ちがそのまま書かれていて素直に感動できた。
    太田さんは臨死状態から復活しもう一度車の運転ができるまでになったんだからものすごい人だと思うけど自分の弱い気持ちをあからさまに書いていて共感できた。

  • 「日本一のフェラーリ遣い」と呼ばれたドライバーが、瀕死の重傷から生還するまでの作品。
    最近ゴーストライターが取り沙汰されたこともありますが、実際にご本人が書いていることがよく伝わる作品でした。
    綺麗事ではない、(こういっては著者に失礼かもしれませんが)もがき苦しみ、周りを傷つけながらも、自分がのぞき見る闇と格闘する生身の声が描かれています。

    「人生において、その人の性格はその性格に相応しい事件を引き起こす」
    「直そうとする意志は重要だが、その気持ちが強過ぎて焦れば焦るほど、絶望の度合いは深くなるものだ。ヤケドにはその意欲があだになることもある。河の流れは止まっているように思えるほど、ゆっくりだからね」
    といった一節が印象的でした。

  • 10年近く前に映画版を観ているがその原作を手に入れて読んだ。重度の熱傷で死の淵を彷徨った“日本一のフェラーリ遣い”が、再起途上で出した手記。中盤、息子との再会シーンは涙なくして読めない。時速300キロという一般人にとっての未体験ゾーンを日常としてきた彼が、生死の境を見て生み出した言葉の数々は、重くも生き生きと感じられた。

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