老いてこそ人生 (幻冬舎文庫)

著者 :
  • 幻冬舎
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感想 : 17
  • Amazon.co.jp ・本 (285ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784344403826

作品紹介・あらすじ

老いは迎え討て。老いゆく者への、鮮烈なメッセージ。

感想・レビュー・書評

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  • 1.著者;石原氏は、元政治家・作家・エッセイスト等、多数の肩書を持つマルチ人間です。「太陽の季節」で文学界新人賞と芥川賞を受賞し、文壇デビュー。「太陽の季節」が映画化された際には、“太陽族”という流行語が生まれました。その後、「化石の森」で芸術選奨文部大臣賞受賞、「生還」で平林たい子賞受賞、実弟の石原裕次郎を描いた「弟」は120万部を売上げ、毎日出版文化賞特別賞受賞。政治家時代は、環境庁長官、運輸大臣、東京都知事を歴任。いつまでも若さを失わず、文学・スポーツ・政治とエネルギッシュに活動しました。
    2.本書;「老い」をテーマにしたエッセー。月刊誌「プレジデント」に“肉体の哲学”という題名で連載。「序章;老いには、目を据えて立ち向かえ」~「第二十一章;死は忌まわしく、恐ろしい。されども」の22章構成。石原氏が69歳の時に、“老い方への教え”として書きました。「自分が老いる事への自分なりの正確な理解や準備や対処が有効に出来れば、老いていく事の中での予期した以上の充実や満足もある」と言っています。
    3.個別感想(心に残った記述を3点に絞り込み、私の感想と共に記述);
    (1)『第一章;人はなぜ走るのか』より、「健全な精神とは何もそれ程高尚なものではありはしない。要するに気力の問題です。端的に言って、年齢にかかわらずいかにも年寄り年寄りしている人は話してみると気力を失った人間でしかない。逆に気力の溢れた人はその年にかかわらずいかにも気力に満ち た人間なのがわかる」
    ●感想⇒“気力”を辞書で調べると、「活動に堪え得る精神力」とあります。私は、人生の節目毎に“気力”の意味合いが異なると考えます。中国では人生を四つに時期に分けて考えたそうです。「青春、朱夏、白秋、玄冬」です。四つの段階毎に、過ごし方があります。「青春~朱夏」では目標達成に向けて、頑張る時。「白秋~玄冬」は振返りと懐かしむ時期です。五木寛之氏の言葉を借りれば、「人生の後半期は自分で登ってきた山を降りていく時期なので、景色を楽しんで下山する」となります。若者の中には、老人に対し、「あの人は昔話ばかりする」と、批判する人もいます。多少は大目に見てあげて欲しいです。老人も自慢話にならない気配りは言わずもがなです。いずれにせよ、「健全なる精神は健全なる身体に宿る」と言います。気力も問題も体の健康は大前提です。
    (2)『第三章;色即是空』より、「迷いや悩みを断ち切り乗り越えるために何が必要かと言えば、何よりもまず変化という事を受け入れる事なのです」「釈迦が、“世の中に溢れている苦しみは、すべて執着が原因で生まれてくるのだ。それを知らずに執着を繰返す者は愚かで、くり返し苦しみに近づいていくだけだ。だから苦しみの原因を知った者は心して、苦しみがまた生まれてくるような執着を持ってはならない”」、と教えている。
    ●感想⇒私は、“執着(=一つの事に心がとらわれてそこから離れる事ができなくなる状態)”は良くないと思います。思考の柔軟性に欠けるからです。私は、“こだわり(=物事に妥協する事なくとことん追求する)”は必要だと思います。こだわりには、「・・・するために」という目的があるからです。例えば“人間的に成長する為に学問や読書をする”、“気持ちよく暮らしたいから整理整頓・掃除する”などです。こだわりのない人生なんてつまらないと思う反面、行き過ぎると“執着”に発展するので気を付けたいものです。金銭に執着し、懇親会に欠席という人がいました。それにはその人なりの理由があると思ますが、人と交流し、懇親を深めるという機会を逸する代償がなければよいのですが。
    (3)『第七章;脳幹の大きな意味』より、「人間が他人との関わりの中で自分でしっかりと捉えながら生きていく、自分を失わずに生きていく為に必要な事は、耐える、耐えられるという事に違いない。堪え性の無い人間は結局どんな戦いどんな競争にも負けてしまう」
    ●感想⇒時と場合によっては、忍耐は必要です。“耐える精神”を身に付けるには、幼少からの育てられ方が影響すると思います。現代は物に溢れています。子供が欲しがれば、買い与えられます。友達が持っているからと言われれば、与えてしまうでしょう。それでは、我慢が出来ない人になります。我慢できない人は、我がままになりがちです。そういう人は家庭では良くても社会では落第です。会社のような組織ではチームワークで仕事をするので、協調性が必要です。自己中心的な人は問題です。堪え性は大人になってからでは克服困難です。“家庭の躾”と“学校の知識”の役割がポイントです。そうは言っても、何でも我慢させるのは酷な面もあるので、何かを与える時はある種のルールを決めるとよいと思います。例えば、スマホであれば、家族や友人への電話・メール連絡中心に使ってよいとか。
    4.まとめ;石原氏はあとがきで、「自分がどの程度老いたかということは、決して他人との比較の中での事ではなしに、結局、自分自身の内側の問題だ」と言います。確かに、気の持ちようなのでしょう。内面を充実させる読書や経験等は若い頃から意識すると良いですね。最後に、読後感は、エネルギッシュで切れ者という感じの石原氏にしては、常識的な事が多く書かれており、やや期待外れの面がありました。本書は老人だけでなく、その予備軍はもとより、老いとは程遠い若人も読みます。氏の経験から、そういう人たちに、なるほどと発奮させる言葉があると良かったと思いました。(以上)

  • たとえ百歳を越えている者でも人間は惚けていなければ、まともな意識を持ったまま死ぬ時には、間近な死を意識した瞬間、多分、「なんだ昨日生まれたと思っていたらもう死ぬのか」、と思うに違いない。いかに変化起伏に満ち満ちた人生を過ごしてこようとも、いや人生というものははたの目にはたとえいかに平凡なものに見えようと実は当人にとっては起伏に満ちたものであり、波乱に富んだものなのだ。(p.272)

  • 慎太郎さんが亡くなってから4人の息子がTVに出ていました。
    父を語る4人の息子の笑顔がすんごく良くて。

    ここ数年自分の体に対して衰えと落ち込みを、ずっと考えていて何気に読んだこの本で「ああ慎太郎さんもそうだったんだぁ」と妙に安どしてしまったと同時に自分の3人のこどももいろんな目で父親である自分を見ているんだなあと改めて思いました。
    あと何年生きられるかわからないけど、最期までもっともっとかっこいい「親父」でありたいぁ~

  • 10代で20代の読む本を、20代で30代の読む本を、というように、常に一歩背伸びした読書が良いという指南をどこかで読んだので買った。
    でもちょっとかけ離れすぎているので、メインテーマは全然身にしみず。
    石原慎太郎はものすごくマッチョだ。

  • 印象に残ったのは、すべての感情の底の底には死があるという点。

    多分、死を意識する年齢が近づくにつれ、喜怒哀楽が激しくなる。

    これには良い面(若い時は当たり前のことに愛を持って感謝できる)と悪い面(主張に客観性が薄くなる)があり、そことの向き合い方を考えさせられました。

  • 追悼として拝読。
    うーん。死生観については理解できたが、
    気軽に海外にいったり、日本有数の名医をかかりつけ医にしていたり、偉人と友人関係だったり、ヨットで旅にでかけたり、、
    エピソードがことごとくお金持ちのそれで、
    共感できなかったことが話に入り込めなかった原因かも。私が生まれながらのエリートだったら…

  • 老いるということ。死ぬという考え。筆者が考えている内容がわかる本だった。他の本も読んでみたい。

  • 見城徹が書かせたという三部作、弟と政治、そして老いについてが本作。太陽の季節で荒々しく、若さを表現した石原慎太郎が老いを語る。老いとは、肉体の衰えであり、自然と肉体や病気の話が増える。それが鬱陶しいではなく、素直に自分自身が迎えることになる高齢の姿を想像し得る助言として読むことができる。言葉に嘘、混じり気のない人であるから、言葉の重力に分散なく、一言ひとことに重みがあるのだろう。

  • 読ませるなー
    と思いました!

  • (学生時代の感想です)
    おそらく言っていることは正しいのだろがあくまで「石原慎太郎」だから経験できたことであって一般人である私たちには少し理解しずらい.あとヨットとかに興味のない人間には少し退屈.さらに同じエピソードや言葉が文中にしつこいほど繰り返し書かれているのは意図的なのか?

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著者プロフィール

1932年神戸市生まれ。一橋大学卒業。55年、大学在学中に執筆した「太陽の季節」により第1回文學界新人賞を受賞しデビュー。翌年同作で芥川賞受賞。『亀裂』『完全な遊戯』『死の博物誌』『青春とはなんだ』『刃鋼』『日本零年』『化石の森』『光より速きわれら』『生還』『わが人生の時の時』『弟』『天才』『火の島』『私の海の地図』『凶獣』など著書多数。作家活動の一方、68年に参議院議員に当選し政界へ。後に衆議院に移り環境庁長官、運輸大臣などを歴任。95年に議員辞職し、99年から2012年まで東京都知事在任。14年に政界引退。15年、旭日大綬章受章。2022年逝去。

「2022年 『湘南夫人』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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