依存 (幻冬舎文庫 に 8-1)

著者 :
  • 幻冬舎
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本棚登録 : 632
感想 : 80
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  • Amazon.co.jp ・本 (638ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784344404472

作品紹介・あらすじ

安槻大に通う千暁ら仲間七人は白井教授宅に招かれ、そこで初めて教授が最近、長年連れ添った妻と離婚し、再婚したことを知る。新妻はまだ三十代で若々しく妖しい魅力をたたえていた。彼女を見て千暁は青ざめた。「あの人は、ぼくの実の母なんだ。ぼくには彼女に殺された双子の兄がいた」衝撃の告白で幕を開ける、容赦なき愛と欲望の犯罪劇。

感想・レビュー・書評

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  • シリーズ6作目。
    ウサコの一人称。
    タックの過去とウサコとの出会いが語られる。
    人間はやられたことを他の人、特に弱者にやり返す。
    自分がやられて嫌なはずなのに。
    そうしないと自分が保てないのでしょうか。
    虐待やいじめがなくならないのはなぜか。
    誰かのためも本質は自分のため。
    重たい作品でした。

  • タック&タカチシリーズ第五長編にして、シリーズ総決算。

    ・裏口のドアに挟まれている小石
    ・死んでいるはずの老婆の幽霊
    ・未亡人が飼っていた犬
    ・ケイコという名の少女が連続で誘拐され、無傷で  
     帰ってきた事件

    シリーズの醍醐味と言える奇妙な謎が、本書にはふんだんに盛り込まれている。一つ一つのディスカッションも楽しいが、とにかく凄いのは、謎が謎を補強し合っているところ。

    目的を見失い、精神安定のために行うストーカー行為や、信じたくないという思いからの記憶の改竄、神を捨てるために娘を捨てた父。
    アクロバティックなロジックの先に見えてくるのは、果てしない人間の業。
    そしてそれらは全て、最大の謎を解きタカチが勝利を収める、その前哨戦、伏線へと変貌する。

    さらにあのラスト。ウサコの視点でしか描けない、あの美しい幕切れは忘れられない。
    このシリーズを読んできて、本当に良かった。

  • 読み終わってため息をつく程によかった。
    内容は重いがウサコの語り口調なのでとても読みやすい。
    短編ミステリのかき集めのようで全てが重なっていくのが気持ち良い。
    ラストシーンはもう良すぎて語彙がなくなるし、いろんな要素が詰まった作品でとても良かった。

  • 今までの中で一番重たい話だけど、ウサコの語り口調とキャラクターが中和してくれる。現在の話と、ここに至るまでの話が交差しつつ、その間にもいくつかの小さなミステリーがあって、最後に全てが現在に集約される。
    最後のシーンは印象に残る。

  • ――


     ぜんぶひとごとなのは、じぶんがないからじゃない?



     『仔羊たちの聖夜』、『スコッチ・ゲーム』と合わせて3部作、として読むのがお勧め。
     積み重ねてきたもやもやとしたものを、ひとまず清算してくれる。スカッとする、というわけではないのだけれど、ただ、希望を手にするというか。
     シリーズはまだまだ続くから、中間決算、といったところかな?

     とはいえ内容はやっぱり重い。特にこれまでよいどれ仙人的だったタックのこんな姿を、と思うと辛いところ。でもこういうときが来るべくして来た、とも云える。


     なんだかんだ、このシリーズの幹になっているのはやっぱりボンちゃんなんだなぁ、と思いました。
     どんな立場にもなり得る、だからどうしょうもなくも見えるんだけれど、それすらも自覚していて。
     被害者にも、加害者にも、
     自分がどちらにでもなり得るから、そのどちらも受け入れられる。
     その分、どちらとも向き合わなければいけないし、
     どちらの気持ちも代弁できてしまうということは、どちらの立場からも責められかねないということで。

     そういうひとが居てくれるからこそ、周りは自分の立場や立ち位置、を決めていられる、のかもしれない。


     満足の☆4.4

  • タック&タカチシリーズ。
    約20年ぶりの再読。昔読んだときもやたら重いと思った記憶があるが、やはり重い。前作のスコッチゲームから引き続く「親からの支配」のようなものが物語の根底に流れている。正直、私の親にそれほど不満はなく、なかなか共感はできないのだが、おじさんになりすぎて忘れてしまった気持ちもあるのかもしれない。ただ哲学的に考えすぎる若者ならではの思いをベースにしているかもしれない。
    しかし、長い。ストーカー事件や幽霊事件など、本筋と関係なさすぎる事件の謎解きが長すぎる。全てタックが抱える問題に繋がるものではあるのだか、ちょっと作者が書きたいことを詰め込み過ぎかなあ。
    これらの事件を語るためにルルちゃん、カノちゃん、ケイコちゃんと三人も新キャラを出すのでやはり長くなる。
    ウサコ視点で書かれており、4人の中では普通人の視点で読みやすい。
    タックとタカチの1つの結末なのでファンは必読。

  • これは謎ジャンルと言うべきか。
    序盤の展開はチャラいというか、なんか今どきはあまりいない感じの人々というか言葉使いとか雰囲気とか、あだ名とかなんなん、とか、微妙だなぁと思っていたのに、いつの間にかすごい追い込みが待っているという。いや侮れん。
    しかし何しろ途中に伏線というか、これは後でとか、今は明かされないけど、とか、そんなんばっか出てくるので、どの伏線が回収されたんかされなかったんかもよく分からん。でも最後は勢いで盛り上がってまぁ面白かったということで誤魔化そう。

  • 記録

  • 再読。匠千暁シリーズは、なんてことない日常から一気にダークなミステリに入っていくのがなんか好きです。

  • シリーズものとは知らず、ミステリ賞入賞歴からピックアップしたもの。やっぱり西澤作品、安定した面白さを楽しめる。個人的に安楽椅子探偵ものがあまり好きじゃないってのもあって、解説者みたく本作が最高!とは思わなかったけど、求める水準は余裕でクリア、って感じ。

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著者プロフィール

1960年高知県生まれ。米エカード大学創作法専修卒業。
『聯殺』が第1回鮎川哲也賞の最終候補となり、1995年に『解体諸因』でデビュー。同年、『七回死んだ男』を上梓。
本格ミステリとSFの融合をはじめ、多彩な作風で次々に話題作を発表する。
近著に『夢の迷い路』、『沈黙の目撃者』、『逢魔が刻 腕貫探偵リブート』などがある。

「2023年 『夢魔の牢獄』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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