ささらさや (幻冬舎文庫 か 11-1)

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  • 幻冬舎
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  • Amazon.co.jp ・本 (360ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784344405042

作品紹介・あらすじ

事故で夫を失ったサヤは赤ん坊のユウ坊と佐佐良の街へ移住する。そこでは不思議な事件が次々に起こる。けれど、その度に亡き夫が他人の姿を借りて助けに来るのだ。そんなサヤに、義姉がユウ坊を養子にしたいと圧力をかけてくる。そしてユウ坊が誘拐された!ゴーストの夫とサヤが永遠の別れを迎えるまでの愛しく切ない日々。連作ミステリ小説。

感想・レビュー・書評

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  • ”本日は、夫・○○の葬儀にご参列いただきまして誠にありがとうございました…きっと、天国でも私たち家族のことを見守っていてくれることを信じています”

    古今東西、人が亡くなった場合には通夜、葬儀がしめやかに執り行われます。天寿を全うして、長い闘病生活を経て、そしてまさかの交通事故で急死してしまってという場合など、同じ人の命が終わる瞬間である死にも随分と幅があるように思います。私は死んだ経験を持ち合わせていませんので、そんな死者が死に際してどのようなことを思い、どんな風に感じているのかということは全く知る由もありません。しかし、全く予期せぬ死を迎えた場合には、やはり何らかの未練をこの世に残すということがあるのではないか、そんな風にも思います。『人間おぎゃあと生まれて生きていりゃあ、いつかはお終いの日ってやつがくる』という私たちの人生。『ただ、自分で思っていたよりは、かなり早かったってだけのこと』、そう割り切れれば良いのかもしれません。しかし、『だけどやっぱり…切ないね』と急な死を迎えた無念の感情はどこまでもあるのではないか、そんな風にも思います。そして、そんな予期せぬ死を迎えた死者は”天国”へと直ぐに旅立つのでしょうか?実は『自分の通夜だの葬儀だのを、つぶさに観察する羽目になるとは、夢にも思っていなかった』と実は挨拶をする喪主の直ぐ横に立っているというようなことはないのでしょうか?

    この作品は、『俺さ、この二、三日うろうろしてて、自分でなんで真っ直ぐ成仏できなかったのか、なんとなくわかった気がするんだ』という死者となったはずの『俺』の存在を感じる物語。『死んだ人間が本当の意味で死ぬまでの、執行猶予』の期間の意味を感じる物語です。

    『五月のよく晴れた日曜日』、『夕食の買い物を兼ねて、散歩』に出かけた家族。『少し足を延ばした大手スーパーマーケット』の『鮮魚コーナー』でカツオが売られているのを見て『ニンニクをきかせたカツオのたたき。悪くないねえ』と考えた『俺』。『「たたきには、ニンニクをたっぷりのっけてくれよ」なんて言わなければよかった』と後悔する『俺』は『それに対して、サヤがなんと答える気だったのか』知らないというその瞬間。『いったい何が起きたのか、正確に知っているわけじゃない』という『俺』。『たったひとつ言えるのは、そのとき俺たちが渡ろうとしていた信号は、間違いなく青になってたってことだけだ』とその瞬間を振り返ります。『そのときベビーカーを押していたのがサヤだったってことと、彼女が少し遅れてついてきてたってこと』を慰めだと思う『俺』。『横断歩道でサヤを振り返り、例のセリフを口にした』瞬間、『怒ったイノシシみたいに俺をめがけて突進してきた、ぴかぴか光る真っ赤な鉄のかたまり』が『俺』を襲います。『どっかーんという、すさまじい音がした』というその瞬間。『さっきの笑いのかけらを片頬に張り付けたまま、呆然と立ちすくんでいた』サヤ。『全身強打、複雑骨折、内臓破裂、大量出血…』と『不吉な言葉がいくつもいくつも、瞬間的に浮かんでは消え』、『ヤバイなあ…』と『どこか他人事のように』、『そう考え始めていた』という『俺』。『 俺の人生は馬鹿みたいにあっけなく、本当にあっさりと幕を下ろしてしまった』という事実。そして『自分の通夜だの葬儀』を目にする『俺』の前に『四十代とおぼしき夫婦と、その娘。加害者と、その両親』が現れます。『奥さん。こんな若い娘さんを刑務所にやるのは、あんまり酷だ』と言う同行の弁護士。そして、土下座する三人。『おろおろとうろたえてしまい、必死になって顔を上げてくれるように頼んでいる』サヤを見て『楽勝、楽勝』と笑みで見つめるその弁護士。『馬鹿っサヤ』、『人が好すぎるよ、まったく』と呟く『俺』は第三者的にその光景を見ている自身に気づき『〈意識〉が依然として俺にはある…これはいったい、どういうことなんだろう?』と思います。『死んだらみんな、こんな具合になっちまうのか。それとも俺だけがこうなのか』と戸惑う『俺』。そんな時、『高校時代に友人だった細貝』の姿を目にします。『俺の友達には坊主がいるんだ。俺の葬式の時には、こいつに頼んでくれればいい』と話していたことを覚えていてくれたサヤ。『彼は坊さんになっていた』と読経する細貝を正面から見据える『俺』は、思わず『ぷっと吹き出し』ました。『くわっと俺を睨みつけた』細貝。『気のせいだ…』と『祭壇の端から端に移動して』みると、『細貝の目は、じっと俺の動きを追った。寸分の狂いもなく』という衝撃。『こいつには…こいつだけには俺の姿が見えている?』。そして、一人になった細貝に近づいた『俺』に『…来たな。こんなところで何をしている?さっさと成仏する気はないのか?』と訊く細貝。『サヤが…俺の奥さんがさ…あまりにも気弱でお人好しで頼りないから…』、『おまえが協力してくれたら…』と頼む『俺』に『後妻さんの面倒を見ている暇はない』とつれない細貝。『そっちがその気なら、俺はたった今から悪霊になっておまえにとり憑いてやるからな』と言う『俺』。その時『ふいにドアの外が騒がしくな』ります。『どうしたんだ?』と声の主である伯母に尋ねた瞬間、『こいつは俺の声じゃない。どうやら俺は本当に細貝のやつにとり憑いてしまった』という結果論。そして…と展開する物語の冒頭を飾るこの短編。物語世界に読者を一気に引き込むその迫力にすっかり虜にさせられてしまった好編でした。

    八つの短編が身近なミステリーと共に描かれる連作短編の形式を取るこの作品。その物語は上記した通り『まだ新婚ホヤホヤって言ってもいいくらいの可愛い奥さんと、首もすわらない赤ん坊を残して』、『俺は気がついたら死んでいた』と、まさかの交通事故に遭遇して『俺』が死んでしまうところからスタートします。普通に考えれば、人は死んでしまえばそこで終わりです。物語の第一人称は本来的には生者であるサヤ視点で描かれるべきです。しかし、この最初の短編〈トランジット・パッセンジャー〉は『〈意識〉が依然として俺にはある』という、死んだ本人、まさかの『俺』視点で展開するファンタジーになっているのが特徴です。自らの葬儀を第三者的に見つめる『俺』は、『葬式ってのはいったい、誰のための、そして何のためのセレモニーなんだろう?まったく死んでしまった体になんて、何の未練も意味もない』と極めて冷静にそのシーンを見守ります。亡くなった人に対するこういったセレモニーを、私も本当に意味があるのかな?と考える時があります。しかし、実の父が亡くなった時、その遺体を目の前にして、そんな冷静さが一気に吹き飛んでしまいました。人の感情というのは当事者になってみなければなかなかに分からないものです。しかし、今改めて考えると、本当の当事者とは死者であって、私たちは勝手にその死者の気持ちになって色んなことを思い描いているだけにすぎないということにも気づきます。死というものは冷静であろうとしてもなかなかにその意味を理解することは難しい、改めてそう感じました。

    そして、そんな『俺』は、『スペインに行くとき、モスクワで飛行機を乗り換えた』『新婚旅行の時のことを思い出し』ます。『トランジット・パッセンジャー』というその時の立場。それを『現生から来世に行くための、中継地点。そこで俺は、とりあえず自由にうろうろすることができる』というその時の立場。『けれど、空港からは一歩たりとも出られない…』と見事にその状況を説明する加納さん。死者を旅行者に例えることで、このファンタジー世界がとても分かりやすくイメージできるように思いました。

    そんな『俺』が残してきた妻・サヤと息子・ユウスケ。二つ目の短編以降は、視点がサヤに移ります。物語としては、最初の短編同様に『俺』視点で描いていくことだってできたはずです。しかし、サヤ視点に第一人称を移すことで『彼は今でも、すぐ側で私たちのことを見ていてくれている』、『いざとなれば、誰か他の生きている人の姿を借りて、助けに来てくれる』と、心細さの極みにいるサヤの内心を自然と描くことができます。そして、そんな弱い立場のサヤに読者は自然と感情移入していく中で、サヤに迫った危機を『俺』がどのように救っていくのかに期待するようになります。まだ首も座らない小さな子供と二人っきりになったサヤ。お子さんを育ててこられた方なら、慣れない育児の不安な気持ちは手にとるように分かると思います。『頭頂部を触ると、マシュマロそっくりの感触でぺこりとへこむ』、『脚だけでなく全身がくにゃくにゃと柔らかく、頼りない。その頼りなさが、怖い』という新生児の様子をリアルに描写する加納さん。一方で子どもというものは物凄い速さで成長していきます。『その腕といい、がに股に開かれた脚といい、まるで極上の白ハムだ。体全体が、つきたてのおもちだ』、『赤ん坊ときたらどうしてこう、どこもかしこも美味しそうなのだろう?いつもそう思う』というようにぐんぐん成長を見せるユウスケのリアルな描写。これらによって、読者の中に、”もうサヤは大丈夫なのではないか”という気持ちが自然と湧き起こっていきます。そして、いつまでも夫のことを頼りにし続けるサヤを『いい、サヤ。区切りってのはね、自分でつけなきゃならないもんなのよ』とエリカに諭されるサヤ。一方でそんなサヤをずっと見つめ続けてきた『俺』にも、『俺がいなくたって、君は何とかやっていける。いくらでも幸せになれる』という穏やかな感情が生じてきます。喜ばしいサヤの成長、しかしそれは『俺』の役割が終幕を迎えることを意味するものでもありました。

    死者が現生に留まって生者を助けるという物語は、古今東西多々あります。有名なのは1990年のアメリカ映画「ゴースト」でしょうか。そして、こういった物語の結末は定められたかのように同じパターンを辿ります。そう、ネタバレ云々以前に、この作品にも定石通りの結末が静かに訪れます。最初から分かっていても、とても切なく感じるその結末。しかし、その一方で、今を生きていくサヤ、そしてユウスケの幸せなこれからの人生の歩みが垣間見えるその結末。う〜ん、良い作品だったなあ…穏やかに余韻の残る結末を読み終えて静かに本を置きました。

    『ささや さら…』。『すごく懐かしくて哀しくて、そしてとても大切な音』。そんな音が聞こえてくるその瞬間を読者が目にする奇跡の物語。加納さんらしく、短編それぞれに身近なミステリーをアクセントに織り交ぜながら展開するその物語は、主人公であるサヤが、力強く、たくましく、そしてしたたかに生きていくための力を得ていく姿を見る物語でもありました。

    その音が『世界一哀しくて、懐かしい』と感じることになるその結末に、まばゆい光差す世界を遠くに垣間見た、そんな優しい作品でした。

  • 半年前、読み友さんに教えてもらった加納朋子さんの「ささらさや」、漸く読めた。表紙絵があまり好きではなかったので若干の敬遠気味。しかし早く読むべきだった。日本版「ゴースト N.Y.のまぼろし」、デミ・ムーアが頭にちらつく。夫とデパ地下で鰹を買い、帰る途中夫が交通事故で亡くなる。しかし、夫は妻(サヤ)を心配し幽霊となり出現。佐々良市でお節介婆さん3人組+1人のヤンキー女性に助けられ1人息子を育てていくサヤの成長譚。夫の妻への愛情が切なく温かい。最後の場面は久しぶりにウルウル。加納さんの心に訴える描写が秀逸。⑤

    • アールグレイさん
      お邪魔致します!
      ゆうママです

      おふたりの会話、読ませて頂きました。ごめんなさい(>_<)
      「ささらさや」興味深く感じています!
      今図書館...
      お邪魔致します!
      ゆうママです

      おふたりの会話、読ませて頂きました。ごめんなさい(>_<)
      「ささらさや」興味深く感じています!
      今図書館の嵐が吹いているので(笑)すぐには読めませんが・・・・
      ポプラさん、さてさてさんありがとうございます♪
      2021/12/06
    • ポプラ並木さん
      どうぞ、どうぞ、いつでもお邪魔してくださいね。「ささらさや」は3冊のシリーズで、3冊読破しようと思ってます。是非完読を目指しましょう!感想言...
      どうぞ、どうぞ、いつでもお邪魔してくださいね。「ささらさや」は3冊のシリーズで、3冊読破しようと思ってます。是非完読を目指しましょう!感想言い合えると嬉しです。ではでは。
      2021/12/06
    • さてさてさん
      ゆうママさん、私も二冊目まで読みました。読み終えてしまうのが惜しくっていつ読むかは葛藤中です(笑)。出会えて本当に良かった作品でした。
      ゆうママさん、私も二冊目まで読みました。読み終えてしまうのが惜しくっていつ読むかは葛藤中です(笑)。出会えて本当に良かった作品でした。
      2021/12/06
  • H30.3.28 読了。

    ・お夏さん、久代さん、珠ちゃんの3人のおばあちゃんがいい味出してるね。

  • ミステリーとしては、謎解きの面白みに欠け、人間ドラマとしては、文学的な感情の機微を感じることができなかった。あくまでライトな感じ。

    別にライトな感じが悪いと思っているのではなく、私としては、ミステリーとして訴えたいのか、人間ドラマとして訴えたいのかが分からなかったということです。

    だから、サヤの体験は辛いものだとは思うのだけれど、サヤ自身の心情表現があまりに少ないために、読んでいて特に何も思わなかったし、敢えて、そういう書き方をしているのかと思ったが、そうではなさそうだし・・

    ただ、ユウ坊の愛くるしい描写や、三人の老婦人のユーモア溢れる温かさや、赤ちゃんを育てる苦労を知らないふざけた大人への皮肉等、良かった点もありました。でも、「ななつのこ」と比較すると、何か突出した感じがありませんでした。

  • 加納さんの本は5冊目。
    久々に読みました。

    大阪の本屋さんで手にした本。
    新刊コーナーで見つけたのですが、初版は2001年でした。
    文庫が2004年発刊で、私が購入したのは12版。

    本の帯に『亡き夫が、ゴーストとなって事件を解決!?』と。
    ライトミステリーだろうと読み始めてみたら、あの映画「ゴースト ニューヨークの幻」が思い出される…

    さやとユウスケを残し、事故で亡くなった夫。
    途方に暮れるさやの周りに起こる事件。
    ゴーストとなってさやを見守る夫。

    読み終えて、解説を読んでみると、そこには「加納朋子版ゴースト」と書かれていました。
    納得!

    連絡短編集。
    最後の「トワイライト・メッセンジャー」は、涙がほろり。

  • 星星峡1998年9月号トランジット・パッセンジャー、99年9,10月号羅針盤のない船、12月号,00年1月号笹の宿、5,6月号空っぽの箱、9,10月号ダイヤモンドキッズ、12月号,01年1月号待っている女、6,7月号ささらさや、7月号トワイライト・メッセンジャー、の8つの連作短編を2001年10月幻冬舎刊。04年4月幻冬舎文庫化。ささらシリーズ1作目。さやと赤ちゃんのユウスケのささら町への逃避行。幽霊の夫が守ってくれる!?。というトンデモ話だが楽しく面白い。さやさんが頼りなくてハラハラしました。次巻が楽しみ。続けられるの?!

    • さてさてさん
      hisakareiさん、こんにちは。
      ささらさや良いですよね。なんとも不思議世界の話ですが、ホロリともさせられてとても印象に残りました。最...
      hisakareiさん、こんにちは。
      ささらさや良いですよね。なんとも不思議世界の話ですが、ホロリともさせられてとても印象に残りました。最近、続編の「てるてる あした」も読みましたが、こちらはこちらで良かったです。雰囲気感は随分違いますので、好みが分かれるかも?とは思いました。
      2021/08/31
    • hisakareiさん
      そうですか雰囲気違いますか。これから読むところなのですが、楽しみです。
      そうですか雰囲気違いますか。これから読むところなのですが、楽しみです。
      2021/09/01
  • 新妻さやと赤ん坊のユウ坊をおいて死んでしまった夫が
    自分を見ることのできる人に一度だけとりついて、家族を守るという話。

    も~~~さやが、か弱過ぎ!!!
    ただの理想かもしれないけど、もっと母は強くあってほしい。
    死なない覚悟があるのに、
    どうして夫の家族を説得するだけの覚悟がないの!と、
    いろいろともやもやした・・・

    それと、私は家庭を持ったことも、
    子供を持ったこともないからかもしれないけれど、
    さやの子供に対する悩みなどに若干読みづらい部分が・・・

    前半の部分はなんだかもやもや~としました。

    途中から登場する
    三人のお婆ちゃんとママ友のエリカとダイヤ親子、
    佐々良の雰囲気が良かったです。

    子供が可愛いからって、誘拐までする
    夫の家族の神経は最後まで理解ができなかったなぁ。。
    そうか、この作品はヒーロー物なのか!

    続編、「てるてるあした」も買いました。
    さやとユウ坊の成長に期待!

  • 読みやすく、さらさら読める、ささらさや。

    生まれたばかりの赤ちゃんを抱えて未亡人になってしまったさや。
    事故で亡くなった夫は、押しに弱くお人好しでか弱いさやが心配で、成仏できずに近くで見守ることになり…。

    温かいお話を楽しみました。

  • 若くして夫を亡くした妻サヤと、残された乳飲み子のユウスケの二人が、田舎に引っ越して様々な事件に巻き込まれるなか、元夫が色んな人にとりついてサヤを助けるという話。
    元夫のキレキャラ?具合もなじめず、やたらと奥さんのことをバカバカ言うし、妻も妻でどんだけお人好しなのよって感じで、??といった感想でした。
    おせっかいおばあさんが3人出てくる(なかなか区別付かない)のと、こどもの成長に懐かしみを感じたので、そういう世代向けの本なのかなと思いました。

  • 評価は5.

    内容(BOOKデーターベース)
    事故で夫を失ったサヤは赤ん坊のユウ坊と佐佐良の街へ移住する。そこでは不思議な事件が次々に起こる。けれど、その度に亡き夫が他人の姿を借りて助けに来るのだ。そんなサヤに、義姉がユウ坊を養子にしたいと圧力をかけてくる。そしてユウ坊が誘拐された!ゴーストの夫とサヤが永遠の別れを迎えるまでの愛しく切ない日々。連作ミステリ小説。

    SFミステリーな上、人が死んじゃう話だが出てくる人達が個性的でいい人ばかりな為か、ほんわかとして後味の良い作品だった。さやがいい人過ぎだわ。

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著者プロフィール

1966年福岡県生まれ。’92年『ななつのこ』で第3回鮎川哲也賞を受賞して作家デビュー。’95年に『ガラスの麒麟』で第48回日本推理作家協会賞(短編および連作短編集部門)、2008年『レインレイン・ボウ』で第1回京都水無月大賞を受賞。著書に『掌の中の小鳥』『ささら さや』『モノレールねこ』『ぐるぐる猿と歌う鳥』『少年少女飛行倶楽部』『七人の敵がいる』『トオリヌケ キンシ』『カーテンコール!』『いつかの岸辺に跳ねていく』『二百十番館にようこそ』などがある。

「2021年 『ガラスの麒麟 新装版』 で使われていた紹介文から引用しています。」

加納朋子の作品

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