- 本 ・本 (347ページ)
- / ISBN・EAN: 9784344405066
感想・レビュー・書評
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近未来を予言する連作短編集。1990年代後半の作品。
警視庁捜査七課主任の城ヶ崎唯人と、環境省所管の近未来局総合コントロール室長の佐東巡哉が未来の危険なテクノロジーに挑む。
取り上げているのは、テレパス能力が身につく危険な薬物、多重人格が生み出される危険なゲーム、寿命を縮める快適な老人ホーム、デザイナーベビーの試み、隔離されたローテク村、若返り、記憶力を高める危険な薬物、生殖能力を犠牲にした不老長寿技術、そして自我を持つコンピュータプログラムの誕生。
読みやすく、そして面白かった。「博士の異常な発明」もそうだったが、著者のサイエンスもののSF、星新一ばりのキレがある。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
いくつかの積み重ねられたエピソード。
それぞれは短く、かつインパクトもあり、興味深い。
飽きることはなく引き込まれる。
ただ、ちょっと気になったのは、それともあたしの理解が悪いのか?
散りばめられたエピソードが一気に収束するのではなく、一部は別の方向に投げられ、一部は連綿とつながり、
一部はストーリーのコアの回りをただよう構成になっている点。
これはこれでいいのだが、できれば一気に引っ張ると、最後に一本の線になってほしかったかな。
ぐちゃぐちゃにからまった糸を、ゆるゆるひもといて、一度も切らずに修復するような作品の方が、あたしは好きだ。 -
文庫本です。 またまた本を買った後から気づいたのだけれど、2000年の単行本時題名は『二重螺旋のミレニアム』。 フーム、たぶん読んだなあ。きっと読んだ。絶対だぁ! 改題して文庫化するときはもっと良くわかるところへ、その旨をハッキリと書いて欲しい。巻末に小さな字でこっそりと書くのはやめて! でも、たぶん内容はキッパリと忘れてるし、せっかく買ったのだからもう一回読むべ、ということにした。 ところが、これが大変面白かった。何本かの短編小説で出来ているのだけれど、全部が繋がっている連作短編(そんな呼び方あったか?)というやつです。 内容はSF。もう完璧なSFです。しかし、最近の難解なSFとは大違い。とーっても解りやすいSFなのです。そりゃ少しはコンピュータ用語やバイオテクノロジー関係の言葉なんかも出てくるけど、大丈夫フツーの人なら絶対わかる。 そして☆は5つです。 清水義範の作品はどれも面白い。面白いけど今一歩のところで感動や驚きにはとどかなかった。でもこの作品はその(わたしにとっての)壁の様なものが存在しなかった。 大好きなSFであって、難解でない。だから肩も凝らないしお気楽に読める。それでいてキチンとSFしていて大いに楽しめる。 清水義範というと「パスティーシュ」作品だけを得意とする様な先入観もありますが、こういうパスティーシュとは全く違った作品も面白く書けるのだなぁ、と思いました。 ハードなSFに挑戦し続けて、少しお疲れ気味のあなたにお勧めです。
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清水義範らしくないハードボイルドな語り口で進むSF。嫌いじゃないが笑いが少ない。サイエンス好きにはオススメ。
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2007/5/16読了。近未来SF、’70年代のSFを彷彿とさせる展開です。
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清水義範の作品





