天下御免の向こう見ず (幻冬舎文庫 は 7-4)

著者 :
  • 幻冬舎
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感想 : 27
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  • Amazon.co.jp ・本 (206ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784344405288

感想・レビュー・書評

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  • 小説家の片鱗を95年時点で見せていた 天下御免の向こう見ず

    爆笑問題のラジオをもう5年以上は聞いていますが、
    最近は他の番組よりも爆笑問題さんの番組を聞く頻度が非常に高いです。

    そこで、今回ようやく、爆笑問題さんの本を読んでみました。

    なるたけ、古い本から読みたいと、20年近く前になるこの本を手に取りました。

    爆笑問題が作者ですが、8割以上は太田さんが書いています。
    TV雑誌の連載の単行本化のため、1つ1つのセンテンスが短いです。
    そんな中、学生時代に構想したSFストーリーを掲載しているところに、
    小説家でもある今への予兆を感じることができました。

    今回はエッセイですが、歴史系の本なども、読んでみたいと思います。

  • 爆笑問題の原石が転がっていた。
    結成10年目頃、TVブロスに連載していたコラムに、特別対談を追記した、爆笑問題初のエッセイ集。1997年初版。
    原石と言ってもほとんど完成型に近い。
    ともすれば相手を言い負かしてしまう現在の強い言葉と喋ってることは同じなんだけど、当時の言葉は、もしかしたら太田光自身確かめながら喋っているんじゃないかっていう気がする。完成までの工程を見たようで、太田光がどのように出来上がったか判ったような気がした。今の完成された主張はシンプルだけど、本書にはそこに行き着くまでにそぎ落とされた考えが転がっている。考えを突き詰めるのが面倒臭くなってしまう私なぞは、むしろそこにこそ一番共感できたりする。
    田中の“くだらなくて味のある粘土作品“馬鹿っぽくて面白い。

  • 2013.2.9
    ぴかりは天才だな
    やっぱりおもしろい、この人の脳みそ
    あんなブスで口の悪い奥さんのこと、とても愛している模様
    しかたない、奥さんを毛嫌いするのはやめよう

    世の中ってもしかしたら
    その人にとってのアゲマンてきな
    ベストパートナーてきな
    そんな人がいるのかも
    ぴかりにとっての田中や、奥さんや

    だって、田中に出会うまでのぴかりは
    根っこはかわらず強いぴかりだけど
    イマイチ冴えないじゃん
    それがこんな人気者になる
    うーちゃかに出会えたおかげ!ぷっ

  • テレビとはちょっとちがった印象。ざくざくしてて読みやすい。ひとつひとつは短いけど端的なわけではなくて、ああ、太田光はこんなことを思って生きてきたんだなあと思うとますます知りたくなりました。光代さんとか田中とかの話、ウケました。愛されてるなあ。

  • この本は「お笑い」についての価値観を変えてしまうエッセイだと思う。「作品と聴衆の間に、翻訳者なるものがいれば、それは芸術になりうる」っと村上隆が言っていたが、まさにこの本、太田のエッセイは、「お笑い」と「お客」をつなぐ「翻訳者」になりうるものだと思った。
    自分の表現、芸を説明するのは、本当にお笑いが好きで、本当に深く理解していない人しか出来ないだろうし、そう言った意味じゃ、太田さんは本当に「お笑い」が好きなんだろうなって感じる。

    こうやって「笑い」の力、「表現」の力を解説してくれると、その力を信じてみたくなるから、とても不思議だなぁ。


    ◎以下本文から気になる点引用。

    【大切なのはそれまで威張ってたいじめっ子を”笑い”の対象として見るという見方を皆に教える事である。日本では、より弱い立場の者を笑う人は沢山いるが、自分より強い立場の者を笑う人は少ない。それも”有り”なのだという事を、教える事によってそのクラスの価値観を変えてしまうのだ。一流のコメディアンは、この、笑いの価値観を変える技術に優れている。】

    【彼は審査員にコンプレックスを感じて毒づいたわけではない。作戦だったのだ。笑いやすい状況を創るために毒づいたのだ。審査する側とされる側、それを見守る客。その三者が生み出す緊張した空気の中では、笑いは生まれにくい。一番弱い立場である彼が審査員をボロクソに言う事によって、この三者の間に生まれた空気の垣根を取っ払うことが出来る。彼の目的は識者の化けの皮をはがす事でも、世の中にメッセージを伝える事でもない。笑いが生まれやすい空気を創る事だけなのだ。】

    【人々があの事件に引き込まれたのは、決してそれが事実だったからではなく、あの事件の中に”今”を感じさせる要素が沢山盛り込まれていて、事件全体がドキッとするほど”今の日本”を言い当てたからである。時代を言い当てる事こそ、大衆の心を掴み、商品をヒットさせる基本である。】

    【簡単に社会に自分の存在を訴える方法など、いくらでもある。社会の外に出て、特殊な犯罪を起こせばいいのだ。でも、それを誰しもがやらないのは、善悪以前に、それが、挑戦者としてあまりにレベルが低く、安易で、とるに足らないからだ。それは注目されるためだけの表現で、その先に何も無い事は、ものを表現する苦しみをしっている人なら誰でもすぐ解る。順序が逆である。訴えるべき事が先になければ、注目されても、何も伝わらない。チャップリンの映画「ライムライト」の中にこんなセリフがある。「薔薇は美しくあるために咲くのではない。ただ咲きたいがために咲いているのだ。だからこそ美しいのだ。」注目されたいがために咲いた薔薇は、美しくも何ともない。】

    【自分自身の判断という事について、こういった、オウムなどの宗教にハマりやすい人というのは、物事の価値基準を”善か悪”かで判断する人が多いのではないかという気がする。「今の社会は悪である」「あなたの様な生活をしていると神の怒りに触れる」】などといったセリフに弱い。必死で、自分を”善”にしようとする。しかしこの善という基準ほど、あてにならないモノはない。時代や状況によってコロコロ変わる。】

    【だから僕は物事を全て”好きか嫌い”で判断している。笑わせることが好きだから漫才をする。笑わせるためには一般的には、”悪”とされる立場でものを言う事もある。笑わせられれば、それが”悪”とされても構わない。ネタの善し悪しは、”善悪”ではない。”ウケるかウケないか”だ。たとえ、神の怒りに触れるとしても、ウケれば嬉しい。】

    【パチンコの持つ人を熱中させる力の凄さに驚いてしまう。・・・サブリミナルとは、通常の映像の中に、はっきりと内容を知覚できないほどのスピードで、ある映像やメッセージを組み込み、潜在意識に訴え、人の行動や思想を誘導するという手法・・・高速で回転する数字の中で一瞬、7が三つ揃い、また過ぎていく。客は近く出来ないほどのスピードで現れるスリーセブンの映像を意識下で何度も繰り替えし、見続ける。改めて、別の映像を組み込まずとも全てのパチンコ台でこの現象は起きている。これがサブリミナル効果を生んでいるとしたらどうだろう。人が”洗脳”によって殺人まで犯すという事は、オウムで実証済みだ。パチンコに夢中で、車に子供を置き去りにした親達を無責任と言う事だけではすまされないのかもしれない。】

    【薬害エイズ訴訟でそれに関わった医師や製薬会社の社長、元厚生省の役人などが次々に逮捕され、事件は解決の方向にむかっているのだろうっとおもっていたが、ふと、果たしてそうだろうか?と考えた。・・・この人たちが一生牢獄で暮らしたとしても、エイズの研究がっ飛躍的に進むという事ではない。例えば、これからの一生をエイズの治療のための研究に捧げる事といったような判決は下せないものなのだろうか。逮捕された医師の知識や頭脳は監獄の中で無駄に腐らせるべきモノではなく、エイズ感染者や血有疫患者のために使われるべきなのではないだろうか。】

    解説から引用。
    【爆笑問題は人を無理矢理笑わせるのではなく、またなにかのメッセージを伝えるのでもなく、ただ「人が笑いやすい状況をつくる」ために全力を投入するという、新しいタイプのお笑いだ。】

    【自分と相手をつくづく見やってあきれ果てたあげくに笑いだし、お互いのことを許しあえるような状況をつくるというのが、お笑いの実存というもので、そういう限界だらけの人間を否定し、完全や理想に向かって人をひっぱっていこうとするものに、お笑いは抵抗するのだ。お笑いは不完全を否定するのではなく、最終的にそのことを許す。そのとき「人が笑いやすい状況」というのが生まれる。】

  • 文筆家としての太田はテレビとは一味違う雰囲気を持っている。エッセイや小説はそれが必ずしも笑いだけに着地していない。文才も人を惹きつける力がある。いい意味で類を見ないお笑い芸人。
    田中のイタさもキラリと光る(笑)「ウーチャカ」って何よ?

  • 好きな人です。

    物事を違った面からとらえるのがとっても上手な人だなと

    思いました。

    ひねくれではなくて。

    だから本質がとらえられるんだな☆

    だから見えてる世界もおもしろい。

  • ★☆☆ 太田さんのエッセイ集☆面白い♪
     
    (2007.10メモ→2010.04ブクログ)

  • 学校を拒否したら、学校を批判できない、と思っていた。というよりも、拒否するならば、批判する必要などないのだ。

  • エッセイであり、小説でもあり、馬鹿馬鹿しくて、なおかつ洒落ている。
    面白さのエッセンスをこれでもかと本の中に押し込んでいる。
    なぜこうも、太田さんは巧いのだろう。

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著者プロフィール

一九六五年埼玉県生まれ。八八年に田中裕二と「爆笑問題」を結成。二〇一〇年初めての小説『マボロシの鳥』を上梓。そのほかの著書に『違和感』『芸人人語』『笑って人類!』などがある。

「2023年 『文明の子』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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