恋愛の格差 (幻冬舎文庫)

  • 幻冬舎 (2004年6月7日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (256ページ) / ISBN・EAN: 9784344405301

感想・レビュー・書評

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  • 「人間的な、あるいは経済的な魅力のない人は、まず、飽きられないようにするのが難しい。」
    最近は恋愛しない人が増えていると言う。
    著者はその理由に、女性の社会的地位が上がった、欲求が簡単に満たせる、人間が内向きになっているなど様々な理由を語っている。
    自分が恋愛で楽しむためには相手を楽しませることが必要だ。
    そして相手を楽しませるだけの人間的魅力、もしくは非日常を演出できるような経済力が必要である。
    ただ、自分の魅力に気づくために、ひたすら部屋で自分の魅力について考えていても見つからない。視線を外に向け、外部との交流を持つことで自分という人間がどういう人間か分かってくる。
    ただの憧れでは恋愛などできない。それにふさわしい人物になる必要がある。そして一見簡単に見えるこの魅力の作り出せない人物が大量に発生することで恋愛の格差が生じている。

  • 筆者からみた現代の恋愛/結婚観を語ったエッセイ。
    私には合わなくて途中で読むのを断念した。

    私がエッセイに慣れてないからかもしれないけど、話があっちいったりこっちいったりしてまとまって無くて読みづらい。
    あとやっぱり20代の女である私とは考え方が合わなすぎて微妙(“自分はおじさんだけど今時のジェンダー観を持ち合わせてますよ”アピールがうざい)。

  • これだから村上龍って信頼できる

  • 日本において恋愛、結婚は以前よりも困難で、経済的にゆとりがあり自立した者でないと一層厳しい。本書は上記以外にも、フリーターの未来の危うさ、人からの信頼を失わないことなど、著者なりに問題点、意見等を提示する。

  • 結婚において大事なのは、1人でも十分に充実して生きていけるけど、、2人だとさらに充実するし、危機にも有効に対処できる。というようなことだと思う。

  • 自立している人は自立しようと思って自立しているのではないという言葉、依存と愛情を勘違いしていることが多いこと、信頼は一度失ったら回復は難しいので気をつけないといけないことが印象に残った。何に所属しているかではなく、一人の人として魅力的になることが大切だと思った。

  • この人の信頼だけは失いたくない、か、

    信頼される人

    今と昔の結婚のちがい
    経済じゃなくて、精神的な安心のためか

  • 成人したらまた読みたい。
    「普通」という言葉、「頑張れ」という言葉、
    矛盾している点が沢山ある。
    生きていくのは難しい、信頼できるような人間になりたいと思った。

    学歴社会 、、、自立できる女性になりたい
    会社員になりたくないと思って生きてきて、
    小説家になるしかないという考えで
    素晴らしい作品を書き続ける村上さん、
    かっこいいです

  • 恋愛というのは意識よりやや深い部分で進行したり停止したりする。
    途上国型と先進国型な恋愛。
    自立することの難しさ。
    2017.10.29読了。ちょうどいい時期に読んだと思う。

  • ・日本が成熟国家になり、かつての「普通のサラリーマン」が崩壊して多様化した以上、「普通」で物事をくくることは不可能である。

    ・会社に入って出世だけを気にしている男はつまらない。その男は会社が潰れたら終わり。そういう男は、一度手に入れた恋人が永遠に自分を好いてくれると信じて疑わない。将来何が怒るかわからないから二人の間に信頼関係を築くための努力を払うということができない。

    ・失恋を他のことと結びつけてはならない。因果関係などないのだ。失恋から逃れるのに有効なのは充実した仕事だ。退屈より苦悩のほうがマシだ。

    ・「いい会社の男と結婚すれば女性にとって経済的に有利になれる」という前提が崩れた今、男は経済力をつけることはもちろん、それ以外の魅力も備えなければ恋愛は難しくなっている。

    ・ヒマな相手との恋愛は要注意。ヒマな時間に余計なことを考えることが、コンプレックスの肥大化や自意識の過剰を招くからだ。

  • この人、本当に神経質でとっても生きにくいだろうな。と読んでて思わさせられずにはいられない一冊でした。

    エッセイ?村上龍が思う恋愛のあり方。なんだが、人生やらなんやらいろんなこと考えて考えて考えて恋愛してる感満載だった。

    んなに考えんでも、楽しい。それでいんじゃね?

    とか思うほどなんも考えないわたしには到底理解できるものでもなく、結婚しない女の分析やら、男の分析やら、なんだかよくわからんが、んなこと言ったって、運だよ、運。

    と、思うわたしでした。

    まず、こんな神経質なやつとは結婚はできないな。

  • ひきこもりには恋愛は出来ない

    この飽食の時代においてパラサイト・シングルと呼ばれる人は生きていける(今は)
    ただ、寄生主(親等)がいなくなった後はどの様にして生計を立てていくのだろうか?

    この本は切り口が鋭く、賛否両論あるだろうが、かなりの部分で本質を突いているのではないか?

    結局最後に判断を下すのは自分だから

  • 日本社会では、会社から離脱しない限り、個人としての自分に出会うことがないのではないかと思った。自分は何に喜びを感じ、何を嫌悪し、何が最も嬉しく、恐れているのか。しかし会社で上司に気に入られミスをせずに出世することのみ目的で生きてきたおじさんはどうだろうか。サラリーマンはひょっとしたら他人は自分の話を面白いと思わないかもしれない、好みが違うかもしれない、外の世界ではじぶんと価値基準が違うのかもしれないと思ったことがないのではないか。

    苦悩は退屈よりもましだ。もっとも苦しい時期を過ぎると彼らの苦悩が充実したものに見えるときがあるのだ。退屈な人生を送る人は苦悩とは無縁だ、彼らは退屈だと知らず平穏だと勘違いして、退屈な人生を生きている大勢の人たちがいる、最悪なのはそういう人たちだろう。

  • 格差社会が進行し、「普通」の人が「普通」の恋愛をすることが難しくなった時代、個々の人間が「恋愛」の意味を問いなおさなければならなくなったということを論じたエッセイです。

    恋愛というのは、相手に依存することではないのはもちろん、相手のことを理解してあげられる(とカン違いする)ことでもなく、「個」としての自分が「個」としての相手に向き合うことだと言えるのではないかと思いました。

    だいたい納得しながら読んだのですが、この本に書かれていることは、恋愛に限らず、広く人間関係一般について当てはまることではないかという気がします。

  • 恋愛を含めた社会論。鋭い視点でサバイバルを生き抜き自立した恋愛を営むヒントを与えてくれる。

  • 恋愛の話から様々なところに話が飛び火するけれど、この方はあまりにも【普通】ではないので生きにくいだろうなと思ってしまった。でもとにかくうなずける事が多々あった。
    これを読んでから【普通】と【頑張る】という言葉をなるべく使わないようにしたいと思った

  • 今年一番感動し、勇気を与えてくれた本かも知れないです。

    「忘れることのできない写真がある。それは大戦前のドイツでユダヤ人がひざまずいて通りを歯ブラシで磨いているという写真だ。その人物がある宗教に属しているというだけで、その人物の人格や法的な立場とは関係なく差別すると言うのはもっとも恥ずべき行為だが、私たちは立場が危うくなるとそれを恥じだと感じなくなる。
     わたしはどんなことがあっても、宗教や信条の違いによって、他人をひざまずかせて通りを磨かせたりしたくない。それはわたしがヒューマニストだからというより、そういったことが合理的ではないというコンセンサスを作っておかないと、いつ私がひざまずいて通りを磨くことになるかわからないからだ。
     わたしたちは、状況が変化すればいつでもマイノリティにカテゴライズされてしまう可能性の中に生きている。だから常に想像力を巡らせ、マイノリティの人たちのことを考慮しなくてはならない。繰り返すがそれはヒューマニズムではない。私たち自身を救うための合理性なのだ。」

  • 恋愛は誰にでもできるもの、ってのは真っ赤な嘘で、特別な人たちにしかできない。
    私たちはパッケージとして用意された“恋愛”をなぞっているだけなのか。
    いろいろ考えさせられてしまうな。

  • 「その事を教えるアナウンスは非常に少ない(だから私が書いている)」みたいな内容が多い。
    小泉内閣時の構造改革っていうのは、経済的に足を引っ張る弱者切り捨てで、切り捨てられる側の立場の人の多くはその事の認識がなかったという解釈でいいんでゲソ?
    何年か連続で(小泉政権時から?)年間自殺者3万人越えという事実や湯浅誠や雨宮処凛による反貧困活動を通してようやく小泉・竹中のネオリベラリズムの問題に気付いた人が増えたという事でゲソ?
    2002年に出た村上龍のエッセイでは構造改革の実態のアナウンスがされてないという事が繰り返し出ている。恋愛に関するエッセイだけど、経済活動が恋愛にも影響するという観点からそういった事が書かれている。

  •  さすが村上龍のエッセイだと思った。単なるハウツー本でもなく、社会情勢などもからめながら、しかし専門書っぽくなりすぎないところにらしさが感じられる。

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著者プロフィール

一九五二年、長崎県佐世保市生まれ。 武蔵野美術大学中退。大学在学中の七六年に「限りなく透明に近いブルー」で群像新人文学賞、芥川賞を受賞。八一年に『コインロッカー・ベイビーズ』で野間文芸新人賞、九八年に『イン ザ・ミソスープ』で読売文学賞、二〇〇〇年に『共生虫』で谷崎潤一郎賞、〇五年に『半島を出よ』で野間文芸賞、毎日出版文化賞を受賞。経済トーク番組「カンブリア宮殿」(テレビ東京)のインタビュアーもつとめる。

「2020年 『すべての男は消耗品である。 最終巻』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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