遺書 5人の若者が残した最期の言葉 (幻冬舎文庫)

  • 幻冬舎 (2004年7月6日発売)
3.27
  • (29)
  • (64)
  • (194)
  • (20)
  • (8)
本棚登録 : 723
感想 : 92
サイトに貼り付ける

本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています

本 ・本 (240ページ) / ISBN・EAN: 9784344405424

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 数ある人生の選択の中で、果たして自死は一番最悪な選択なのだろうか?
    逃避だけではない。逃げたらこう悪化する、誰かに告げたらこう仕返しされるのではないかという想像力、妄想も一役買っているのではなかと思う。勇気を出して言ってみても無駄だった…とか。諦めもあるのかな。考えれば考える程気力も体力も奪われる。でも四面楚歌も実は妄想。悪い方に考えない方がきっといい。
    自分がいなくなった後の、自分を励まし、応援してくれた周りの人の悲しみや人生は、想像以上だった。答えは出ないし帰ってこないし、どう折り合いをつけていいかわからないだろう。人それぞれ。
    この5人の人生の選択の中で、楽になれてよかったねと思う人は何人いるだろうか?
    世界は広い。生きたいなら諦めない。生きたくなくても諦めない。

  • いじめや鬱による自殺の真実に迫る。
    5人の若者のノンフィクションの〝生〟と〝死〟。

    この本は、1998年にあった少年の自殺をきっかけに作られたそうです。
    そして2000年に、13歳、14歳、19歳、25歳という若さで
    〝死〟を選ぶしかなかった5人の若者達から、
    今私達が知るべきこと・考えるべきこととして、この本が出版されました。
    実物の遺書、遺族からの返信の手紙を全文掲載。
    何故彼らが自殺することになったのか、取材・調査をもとに描かれ、
    その後の遺族への取材も収録されています。

    ……今も、いじめが原因で自殺してしまう子ども達が沢山います。
    そして、その彼らの命をかけた最後の訴えさえも
    自分の保身のために隠そうとしたり、
    事実を認めなかったり、捻じ曲げたり、責任転嫁したりと、
    〝大人として〟〝人として〟決して許せないことをする人たちが
    沢山居るのが、哀しいけれど現状です。
    そして、この本が出てからもう何年も経つというのに、今の社会が
    この本に描かれている頃と被ってしまうのが、哀しくてなりません。
    このときから、私たちはちゃんと前に進めているのだろうか……?と
    改めて考えさせられました。

    〝命は大切〟〝死んではいけない〟
    私は正直、頭ではそう考えても、〝実感〟としてそうは思えていません。
    でもこの本を読んでいて、この少年達が
    彼らの命を全うしようとしていたこと、必死に生きようとしていたこと、
    しかしその結果として〝死〟を選ぶしかなかったことが
    痛いくらいに伝わってきました。
    〝命〟について考えさせられました。

    (2007.05メモ→2010.04ブクログ)

  •  これを読もうと思ったのは、本屋で実際に本を見かけたから。これをじっと読んでいる女性が何人かいて、何の本なのかと気になったから。
     で、何の本なのかというと、遺書を残して自殺した人たちが、なんで死んで、遺族はどう思っているかっていうドキュメンタリー。
     で、結局なにを思ったかって言うと…私が今死ぬことにしたら、誰がなんて思うだろう。なんで死んでしまった人と、死んでしまわなかった人がいるんだろう。私はどうして死にたいと思ったときに死ななかったんだろう。なんでそんなことで死ななきゃならなかったんだろう。
     今、生きていて良かったと思う。でも、今が幸せじゃなかったら早く死んでしまいたいと思うんだろうか。でも、本気で死のうと思ったことはない。どんなに疲れた時期でも、本当に死のうとしたことはない。死にたいと思ったときでも。
     私が今死ぬことにして、遺書を書いたら、どんな風になるんだろう。


     死にたいと思うことがある。死んでしまう人がいる。残される人ももちろん。残される人は、どんな気持ちなのだろう。私も身近な人を亡くしたことがないわけではないので、いた人がいなくなる感覚は、わかる気がする。でも。自分から死んでしまった人を思い出すときはどんな感覚なのだろう。自分のせいで死なせたという罪の意識や、殺されたという行き場のない怒りや、思い出話もできない気まずい空気。
     結論は、私は死ぬほうも死なれるほうも経験はしたくはないということか。


     読んでいて思う。私の人生も死んでいく人たちと比べてひけをとらない。それは、どっちが上とか下とかいうのではなくて。死んでいてもおかしくない人生を送ってきたということだ。死んでいく人は、私ととても近いと思う。
     じゃあ、どこが違ったんだろう。どこの部分が違ったために、私は生きているんだろう。私は、人より強かったんだろうか。
     死にたくなかったわけではない。かといって、「自殺をしたら生まれ変われない」なんて木蓮の言葉を信じたわけでもないつもり。大切なものはあったけど、それのために生きていられたかどうかはもうわからない。
     ただ、その場所から逃げてみて、逃げるのはいいことだと思った。今まで逃げることができなかった自分が不思議だった。逃げたらいけないと思った。人生がそれこそ地獄になるんだと思った。他の学校にいっても、受け入れてくれないだろうとか、試験に受からないだろうとか、ほかに行く場所がないとか、親に迷惑とか、周りにかける迷惑とか、それこそいろいろ考えた。それがきっかけで退学になってしまったら、今後どうするんだとか。働く場所はあるのかとか。こんな自分が働けるのかとか。
     そういうとき考えてしまうんだ。死んでしまえば先はない。自分に苦労は無い。今後の不安を抱えることはもうない。
     でも、死んでしまうより前に、やっぱりどっかに逃げてみるのっていいんじゃないかと思う。私は、逃げていく瞬間、どこかのシミュレーションゲームの剣を持った王子が、宿で休憩するシーンを思い出していた。そんな気分だった。どっかで休まなきゃいけないと思った。ほら、王子だって、いったん休まないと戦えないじゃん、みたいな。
     結局、私が手に入れたのはこれだ。苦しかったら逃げろってことだ。あそこで逃げたから、私は今生きてるんだと思っている。
     学校がいやならやめてしまえばいい。義務教育中だったら登校拒否でもしてみるといい。会社がつらかったらやめて貯金で食いつないでいけばいい。家がいやなら旅に出るのはどうだろう。

  • 自殺にせよ、アクションまで取れる人間というのは、それだけ追い込まれていたという見方もできるが、元々アクションオリエンテッドない人間だったということもあるかもしれない。つらくても自殺しようという意志を持てない、という状況はそれほどつらくないと捉えるべきか、ただ意志の弱い人間ということか。意志の弱さが、生を長引かせるということも、もしかしたらあるかもしれない。

  • H24.8.11

    自殺について、
    学生の頃は、自ら「死」を選んでしまうこともある意味個人の自由だと考えていた。
    身近にいる人が自殺した時、生きている人の中に途方もなく悲しみに暮れる人がいるだろうが、それは自殺を止められなかった、自殺に至るまでの苦しみからその人を救ってあげられなかった責任として背負うべきだと思っていた。
    今、「自殺」の話題を聞くと、本当にいたたまれなくなる。今苦しくても、先には必ず違う未来がある。人は自分の行く先を自分で選択できる。先に必ず何かしらの可能性があると思う。その未来を待たず、人生で一番辛い時に人生を終えてしまうことが無念でならない。
    社会人になって、辛いことも経験した。自分って何て無能な人間だろうと思うときには「死にたい」と口にしてしまうこともある。
    ただどうしても辛くて前が見えなくなったら、いっそ仕事を辞めてしまおうと思えている。辞めても何とか生きていけると考えられる。

    自殺をする前に助けてあげられる方法はきっとたくさんあるし、死ななかった先に「生きてて良かった」と思わせてあげられると思うから、本当に生きて欲しい。
    改めてそう感じました。

  • 2009/12/03
    これはテレビ番組だ。
    1時間のドキュメンタリーテレビ番組をそのまま文章に起こしたような構成。
    遺書原文を原本文字を追いながら音読が入り、自殺の日の様子、生い立ち、死に至るまでの全容が語られ、遺族がコメントし、イメージ映像が流れ、遺族の手紙で締められる。
    それが5本。
    読了後、何に対してなのかがわからない、怒りがこみ上げてきた。
    余りにも若さを含む文章だからか。死を選んだ自殺者へか。平均年齢25歳、という筆者グループへか。
    詩的にイメージ映像に仕立て上げてある文章。記憶の中だけが美しい、とは何の言葉だったろうか。遺族その後、どれも美談なのが素晴らしい。
    どうしてこの本を買おうとしたのか、に立ち返ってみる。「死なない理由」が欲しかったからだった。

  • 本気の人は、突然いなくなる。

    他人にこぼしてるうちは、まだ本気ではない。

    生きていたいけど、もう生きられない。

    死を選ぶ理由は、人それぞれである。

  • すごく悲しくなりました。
    この本にでてきてしまった人たちが死を選択してしまったことが。
    この本はおすすめです。
    でもあたしは自殺は100パーセントしちゃいけないと思っているので星はみっつ。
    いじめなんてこの世に存在しなくていい。

  • 遺書原文を読むというだけでもショックが大きくて涙が止まらなかったけれど、何が辛いって遺族の方が書かれた遺書に対する返信を読むということ。両親が生きてるうちはどんなにつらくても生き抜かなければと思わされる

  • 星で評価するべきではない書、という意味で。昨今コロナの影響か自殺が急増している。著名人の自死も相次ぎ、社会的にも不安が拡散されていくのを感じる。幸せそうに見えた人がなぜ。人の心の中は、他人におろか近くにいる人にもわからないものなのか。せめて自分の周りにいる人が自死に向かうことは何としても避けたい。そんな思いで開いた本。でも心の病は病だし、イジメはもはや他死だと思う。決して許されてはならない。

全92件中 1 - 10件を表示

verbの作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×