火の粉 (幻冬舎文庫 し 11-4)

著者 :
  • 幻冬舎
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  • Amazon.co.jp ・本 (577ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784344405516

感想・レビュー・書評

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  • 雫井さんの作品を読むのは初。
    とりあえず1番登録者多く有名そうなこちらを購入。昨日今日で一気読み!分厚いのに。

    人の執着や動機って怖いな。
    その人にとっては、生きてきた環境経験などから作りあげられていることもあり、赤ちゃんの時のオギャーはみんな一緒のはずなのに。。
    なので、めちゃくちゃ怖すぎたけど、なんかなんとも言えない……もちろんこんな人身近にいたら恐ろしいが。(旦那の方が終始イライラ)
    ジワジワと攻めてきて、最後の恐怖感やばす。

    とにかく、今日は買い物途中とかで、道を知らない人に尋ねられただけでもビビりそう
    マンション隣の住人に偶然会い、挨拶されただけでもビビりそう
    な自分がおります。。笑

    義母さんの優しさ素敵でした!
    なんだかんだでミステリーばかり読んでしまうんだよなあ〜〜

  • 雫井脩介さんは初読みの作家さんだった。

    『火の粉』
    裁判官を引退し大学教授となった梶間勲の隣家へ裁判官時代に無罪判決を下した男・武内真伍が引っ越して来た。梶間を恩人と慕い、紳士的な身の振る舞いと溢れんばかりの親切心で徐々に勲の家族に接近してくる武内。だが、梶間家には次々と不可解な事件が起こり始める・・・

    法曹界を扱った小説は数あれど、裁判官目線で物語が進むのは珍しく、とても興味深くて冒頭で引き込まれた。
    そして武内と勲の再会以降は、勲に代わり2人の女性目線で物語が進む。

    1人は、勲の妻で同居する姑の介護を献身的につとめる尋恵だ。
    実母の介護はおろか看取ることすら出来なかった尋恵は、その分もと姑の介護に奔走し殆ど一手に引き受けている。家庭での勲はいわゆる亭主関白で、家ごとの一切合切は全て嫁の尋恵に任せているというタイプの人間である。
    それを理解し、愚痴一つ言わず懸命に奮闘する尋恵の姿は、私の亡き母にも重なる所があり胸がいっぱいになった。
    今から20年程前の作品なので、世相の影響も大きいが、直面する問題の本質はいつの時代も変わらないのだと思う。

    もう1人は勲と尋恵の長男で司法浪人中の俊郎の嫁・雪見である。夫が司法浪人中で収入がないため、義理の両親と介護が必要な祖母と同居する事となるが、実母よりも尋恵のことを母親として受け入れている。しかし3歳のまどかの初めての育児に悩みながらも、夫の俊郎には負担をかけまいと一人で抱え込んでいる節がある。勝ち気だが、少し無鉄砲な所があり、危なかしくも応援したくなる存在だった。

    この2人の女性の揺れ動く心理の描き方が巧みでリアルで、これを男性の作家さんが描かれたというのが本当に信じられない程だった。

    ネタバレになるので詳細は触れられないが、最後の別荘でのシーンはサスペンスホラー映画を一本観た時の様な、驚愕と戦慄で身震いしてしまった。

    真相を知ると、犯行の動機は全く理解不能でもなく、居た堪れない気持ちになった。誰でも見返りが欲しいのだと思う。それこそが歪んだ感情を生むのだとしても。
    その人間味まで読み手の感情を誘える所が、雫井脩介さんの筆力の凄さなのだろう。

    また、ある種の責任を全うしたラストの余韻が、瀬戸際で一番大切なものに気付けたという救いのあるもので安心した。

    でも心の隙間なんてきっと誰にもあると思う・・・
    (笑●せぇるすまんではありませんよ)
    身近な家族であっても、遠慮して言わなかったり、見て見ぬ振りをしたり、本当の意味で相手のことを思いやれなかったり・・・
    いやぁ気をつけなければ!!
    やっぱり家族とは何でも話して、言いたいことは溜めずに話し合うのが一番なんだろうなぁと本作を通じて改めて感じた。

    読後ふと見れば、全てはカバーイラストが・・・
    タイトルの付け方も、唸るほどセンスが抜群だ。
    565頁の長編小説だったが、展開も上手く、目線を変える構成が違和感なく秀悦で、全く長さを感じずにほぼ一気読み。

    雫井脩介さん、また素敵な作家さんに出会ってしまった。是非他の作品も読んでみようと思う。

    余談だが、
    参考文献にあった『窯焼きピザは薪をくべて』
    ここからあのバームクーヘンが生まれたのか・・・と感慨深くも癒されつつ、そりゃあピザじゃなくてやっぱりバームクーヘンですよね、
    何回も何回も・・・ね。
    って、やっぱり怖いわ〜
    と最後まで尾を引いてしまった。


  • こちらはオーディオブックで拝聴。移動中にちまちま聞いておりましたが漸く聞き終えました。
    怖すぎる隣人と言えば『クリーピー』を思い出しますが、あの気持ち悪さをまろやかにしてシリーズで深掘り(?)されていたらしい特殊性癖をとっぱらったような主人公一家のお隣さんの武内。一家の長である勲が裁判官時代に無罪にした男です。

    勿論、この無罪の真偽を物語を通して読者は考えさせられる事になるのですが、後半は最早そんな事考える余裕がなくなります。
    武内のテンションMAXになっていく姿が怖すぎて思わず私の家の隣人さんの顔を思い出しては、大丈夫!優しい奥さんと旦那さん、それに紳士的なおじいさまだから!と言い聞かせてました。

    オーディオブックだったので読み手さんの演技力のお陰でかなり肝を冷やしましたが、前半は介護問題と育児問題にかなりのページを割いてあります。
    物語の大事な肝なので仕方ないとは思うのですがこの介護問題についてが少し長く感じられ、もしかするとサスペンスではなくて社会問題の話?と前情報も無しに聞いていたのでテーマが迷子になりそうでしたが、後半はきちんとサスペンスに戻り、人を裁く事の難しさを考えさせられました。

    司法試験を目指している敏郎がもう、本当にイライラさせてくれます。雫井さんの力量による所なのですが頼むから嫁の雪見に謝って欲しい、と真剣に思う程。土下座を教えてやらないといけません。
    しかしこの俊郎が司法試験を目指しているという点も、皮肉のようにも、問題提起にも思えます。

    冒頭で気持ち悪さをまろやかにして、と書きましたが武内も中々に別方面で凄いです。
    詳しくは書けないのですがこんな友人がいたら三日三晩どうしたら穏便に縁を切る事が出来るだろうかと徹夜して考えると思います。

    聴く小説についてなのですが、オーディブルとオーディオブックの両方を試してみましたが、使いやすさと書籍の数で圧倒的にオーディブルに軍配が上がりました。
    ご検討されている方は、オーディブルの方をお勧めします。

    • ゆーき本さん
      ※ 「クリーピー」の特殊性癖は 隣人でも犯人でもなく 作者さんの性癖であると思います笑
      ※ 「クリーピー」の特殊性癖は 隣人でも犯人でもなく 作者さんの性癖であると思います笑
      2023/11/14
    • yukimisakeさん
      1Qさん、
      ひとーつ!
      それは1Qさんラブ♡のあれですかぁ?!好きー!(((((((((っ・ω・)っ (ポリコレ関係の方に怒られそう笑)

      ...
      1Qさん、
      ひとーつ!
      それは1Qさんラブ♡のあれですかぁ?!好きー!(((((((((っ・ω・)っ (ポリコレ関係の方に怒られそう笑)

      ふたーつ!
      ちょっと雫井さんに進言してきます!おらぁ!そこにまず膝をつけぇ!!

      みーつ!
      結局、紙の本が良いと思います笑。聞いてると登場人物がごっちゃになってきて誰?ってなる時が…笑
      2023/11/14
    • yukimisakeさん
      お姉様、読んでらっしゃったー!
      ヤクルト、ダメ、絶対:( ˙꒳​˙ ):
      あとなんでしたっけ?マドレーヌ?あんな作り方する人初めて見ました:...
      お姉様、読んでらっしゃったー!
      ヤクルト、ダメ、絶対:( ˙꒳​˙ ):
      あとなんでしたっけ?マドレーヌ?あんな作り方する人初めて見ました:( ˙꒳​˙ ):
      大人でも食べたくない…

      あ、そうかー!笑。『クリーピー』にとんだ風評被害を食らわせてしまいました!笑
      (でも作者さんだから、良いか笑)
      2023/11/14
  • 初めて読んだ雫井作品。

    純粋に面白かった。
    ストーリーこそ読んでいてなんとなく分かってしまうが、それでも飽きることなく、読まずにはいられない流れでした。見事に一気読み。

  • 豹変型サイコパスのお話。
    前置きが丁寧で、背景をしっかり理解することが出来る。これが、クライマックスの臨場感に拍車をかけてくれた。
    ユースケ・サンタマリアさん...怖い

  • 何かの作品に似ている?そうだ!貴志祐介「悪の教典(ハスミンの再来)」だと自分自身で納得。サイコパス系の犯人だからかな。雪見は犯人に気付くが、何故、武内の正体を家族は気付かないんだとドキドキしながら読むが、そこが恐怖与えるポイントですね。俊郎が雪見を信頼していない点が残念で、俊郎にはこの事件を教訓に夫として、弁護士として、親として信頼を勝ち取って欲しい。過去、難しい判例での冤罪(裁判官のミスジャッジ)はゼロではないと思いますが、それによって多くの家族の人生が犠牲になるのかと思うととても辛くなる。

  • 元裁判官、梶間勲の隣に、2年前に無罪判決を下した男、武内が越してきた。

    無罪か、死刑か。。。
    無罪判決では無かった場合、相手は死刑を免れない。
    しかし検察は武内が自身を痛めつけたのが自分自身で、武内が真犯人であるということを立証出来ない。

    武内は溢れんばかりの善意で梶間家族の心を掴む。
    梶間家の周辺では、その頃から次々と不可解な事件が起こり。。。



    いやぁ、良かった!
    ずっとドキドキが止まらない。
    何が起こるのか!?
    次は何が起こるんだ!?
    もう目が離せない。

    読み出したらノンストップで読みたくなる。久々にがっつり心掴まれる本だった。

    最後は俊郎に、奥様に土下座くらいして欲しかったが、最後の纏まりも良く、私には★×5

    非常に好みの作品だった(*^o^*)

  • 最後まで読み終わると「火の粉」というタイトルの意味が分かりますし、第1章「判決」と最終章「判決」がどうして同じタイトルなのかもわかります。この理由が分かった時、ドキドキ感が増します。

    主人公の元裁判官の隣に引っ越してきた男。ある事件で無罪とされた男が主人公の家族を自分の世界に連れ込もうとして、家族関係が乱れていきます。この男から逃れることがなかなかできず、またじわじわと間合いを詰めてくる様子、この男の手中に収まっていく家族の心理描写がリアルな感じがしてページをめくるスピードも速くなっていきました。また、この男のような人、もしかしたら自分のすぐ近くにもいるのではという気持ちにさせられるような恐怖が読みながら襲ってきます。

    人が人を裁くということの難しさを痛感する作品でした。

  • お願いです
    これ以上 私たち家族に関わらないで下さい
    近寄らないで下さい

    早く気づいて!
    ほら、早く逃げてー!!

    ってなる。

    隣人の怖さ……。

  • イヤや〜〜!
    こんな人隣りに引っ越して来たらと思うと怖くて…
    ただ、ウチの隣りは、空いてないし、こんなに広い訳でもない(^^;;
    ホッとするけど、もっと広い家には住みたい。脱線した…(^◇^;)
    ヒシヒシと迫ってくる恐怖!
    後半は一気読み。なかなかでした。

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著者プロフィール

1968年愛知県生まれ。専修大学文学部卒。2000年、第4回新潮ミステリー倶楽部賞受賞作『栄光一途』で小説家デビュー。04年に刊行した『犯人に告ぐ』で第7回大藪春彦賞を受賞。他の作品に、『火の粉』『クローズド・ノート』『ビター・ブラッド』『殺気!』『つばさものがたり』『銀色の絆』『途中の一歩』『仮面同窓会』『検察側の罪人』『引き抜き屋1 鹿子小穂の冒険』『引き抜き屋2 鹿子小穂の帰還』『犯人に告ぐ2 闇の蜃気楼』『犯人に告ぐ3 紅の影』『望み』などがある。

「2021年 『霧をはらう』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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