永遠の仔 4 抱擁 (幻冬舎文庫)

  • 幻冬舎 (2004年11月5日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (352ページ) / ISBN・EAN: 9784344405837

作品紹介・あらすじ

失踪を続けていた聡志は笙一郎の前に現れ、事件の真相と姉への思いを語り出すが、再度警察から逃走を図り交通事故に遭う。病院で聡志に会った優希は長年抱えてきた秘密を告白し始めるが……。

感想・レビュー・書評

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  • 母親を焼死させ、失踪していた聡志が笙一郎に真実を語っている途中で、警察が現れる。再び逃走した聡志は交通事故にあい、亡くなってしまう。

    梁平が、子供の頃から距離をおこうとして来た養父母を横浜でもてなした際、養母が梁平にかけた言葉が刺さった。
    「結婚しなくても、家族を持たなくてもいい。でもね、できれば、一緒に生きる相手は見つけてほしい。相手を認めること、相手から認められることが、生きてゆくには、大事だと思うもの。・・・人を信頼してまかせたり、まかせられたりできるのも、ひとつの成長かなって思うし。ゆっくりでもいい、自分を開いてみたら、どう・・人にすべてを託して甘えることを、自分自身に許してあげたら、どうかしら」
    どんなに距離を置かれても、その心境を理解し、常に寄り添おうとしてくれる、そんな養父母に育てられたことに気付き、養母の言葉に勇気付けられて、梁平は奈緒子のところに行ったが、奈緒子はすでに冷たくなっていた。
    一瞬光が見えた気がしたのに、やるせない。

  • 古本屋さんで1、2、3,5を手に入れたまま読み進めたこの本。
    あっという間に1、2、3と終わり、4冊目がどうしても欲しく、平日にも関わらず本屋さんへ駆け込んでしまった。
    一刻も早く読みたかった。

    どう見てもハッピーエンドには向かっていないけど、それでも話の中に引き込まれてしまう。
    早く5巻が読みたい!
    結末はどうなるんだ!!

  • 主人公たちを取り囲む人たちが語る言葉にも、
    心揺さぶられた。人は1人では生きていない。
    いつでも、誰かしらと関わっている。
    その中で、どうやって自分の存在を感じることができれば、生きていけるのだと思った。
    人と関わりながら、最後には自分と対話することで、現実と向き合い受け入れられたら、いいと思う。

  • 長瀬笙一郎の母まり子はまだ許せるとして、久坂優希の父、雄作の腐れ具合に心底げんなり。
    それに比べると、多摩桜病院でたまたま一緒になった岸川夫妻と、有沢梁平の義父母の人柄は救い。さて、最終巻はどんな展開が待っているのか?

  • 記録用(感想は(一)に記載)

  • 笙一郎と梁平の三人だけで母の葬儀を終えた優希は、悲しみを振り払うように再び病院に戻っていた。失踪を続けていた聡志は笙一郎の前に現れ、事件の真相と姉への思いを語り始めるが、捜査の手が伸びたことで再度逃走を図り、交通事故に遭い病院に搬送される。意識を取り戻した聡志に、優希は長年抱えてきた秘密を告白する決意を固めたが…。

  • 梁平と養父母の会話がとても切なく胸に迫るものがあった。お互いに大事に思っているのにどこか遠慮して踏み込めないでいる。一言で分かり合えるのに。。たぶん永遠に通じることがないと思うととても切なくなりました。

  • 死んでゆく人が増えた。ラストの方の、義理の親と梁平のやりとりのところが、切なくてつらい。

  • 悲しみばかりが降り注ぐ。
    過去、自己嫌悪、猜疑心、悲しみ、憎しみ、傷痕。
    そんな全てをそのまま受け入れ、自分を1人の人間として認め支えてくれる存在に出会う、そんな奇跡が起こるのかな。
    そんなことが起きたら、とても幸せなことだと思います。

  • 親の罪の大きさを思わせる。

    自分の両親がまっとうに、目立った歪みを生じさせることなく育て上げてくれたことは、当たり前のことじゃなかったんやと改めて感謝する一方で、自分が将来ちゃんとした親になれるのか怖くなる。

  • 前巻で優希の実家が全焼して、その中に母親の遺体が発見された。近隣の目撃情報から、弟の聡志が放火した犯人だと疑われる。実際、放火事件以降、彼は失踪して連絡が取れない状態だったため、彼が実行した可能性が高かった。しかしその後聡志は笙一郎の前に現れて、姉に関する秘密を語ろうとしたが、再び逃走した。そんなときに彼は交通事故に遭った。このことから、優希は子どものころに秘密、とりわけ父親との関係を明かそうと決意する。

  • 優希、笙一郎、梁平が四国の霊峰で実行したことは誰にも言えない秘密で、徐々に読者にもわかってくる。でも、その罪のつけなのか優希の母志穂、弟の聡志が続けて死んでしまう。そして、遼平の恋人だった奈緒子までも。
    4巻では、虐待をうけたこの人たちが救われることを祈る。

  • 後一巻 ここまで読んで 悲しすぎる
    三人の話に事件が絡んでいてストーリーを深くしている 早く続きを!

  • 三人が優希の父親を殺すことを決意。4巻後半は養護老人ホームの実態など脱線しまくっているのがちょっとルポ感強くてあまり。

  • 3.0

  • 重かったけど、先を読まずにいられない

  • 再読

  • 「…でも、あの人が認めてくれる。メロドラマに泣くわたしも、新聞の勧誘を断れないわたしも、認めてくれる。掃除も洗濯もできなくたって、怒らない。ただ生きてるだけで、認めてくれる人がいる…。だから、どんな感情も、素直に出していいんだって、ようやく思えるようになった。そして、もうひとつ大切なことは、わたしも人を支えることができるんだって、自覚できたこと…。自分を犠牲にしたり、身を粉にしてつくす形じゃなく、ただ相手を認めるだけでよかったの。あの人が、一番望んでいたことも、結局わたしと同じだった。あの人が、あの人として生きていることを、わたしが、ただ認め、受け入れるだけで、支えになるとわかった。そんな単純なことで、わたしの人生は、意味のあるものに変わっていったの…」

  • せっかく救いの梯子がかかったと思ったのに…。普通に幸せになることって、奇跡のような巡り合わせなんだと感じた。もちろん、幸せだと決めるのは自分だから、でも、幸せなんだなって決められる尺度を持てることも、幸せであっていいんだなって自分を許せる寛容さも、そうやって育ってこれた巡り合わせって奇跡だと思う。
    至る境地は感謝だって、よく読むのだけれども、この本の最後にもそんな救いが待っているのだろうか。

  • 天童荒太は初めて読んだと思うが、かなり作家として気に入った。
    彼自身、この本(ストーリー)には相当なチカラが入っているようで、後書きの量もかなりある。
    幼児虐待が根底に流れており、参考にしたという本も謝辞を含めて列挙してあるのだが膨大な量だ。その中に「おたんこナース」も含まれているのが笑えるが。
    単行本で五冊にも別れているぐらい長編小説であるが、一気に読み終えてしまう。
    それほど、ストーリーにグイグイ引っ張られる。続きが読みたくてしかたがなくなる。ある時は午前四時まで読み耽けてしまったぐらいだ。
    そうとう内容が深いので、どういう本とかうまく表現できないのが残念なのだが、是非とも皆さんに読んでいただき、その感動をわかちあいたい。(かなり大袈裟)

    さて、昨夜、夕飯を食いながらTVを見ていたんだが、所ジョージが司会で「あらすじで楽しむ 世界名作劇場」というのをやっていた。
    文学とか名作とか、私にはほとんど解らない。
    昨夜は太宰の「人間失格」を取り上げていた。確か中学ぐらいの時に読んだかもしれない。なんとなくストーリーは解っていたから。
    ただ、改めて昨日の番組を見て思ったんだが、これ、カミュの「異邦人」に似てないか?どちらも主人公はマイノリティで、ストーリーは淡々とすすむ。。。のみ。それだけ。
    番組で取り上げられていた綿矢りさの「蹴りたい背中」も「インストール」もストーリーは淡々と進む、面白い展開など何もない。そもそも芥川賞って、芥川の本もなんか面白いと思った事がないからなぁ。
    文学とか名作とか言われている本で、面白い、感激した・・・とかそう言う感覚を持ったことがない。今回読み終えた「永遠の仔」などと比べたら雲泥の差だ。池波正太郎とか山崎豊子とか次も次もと読みたくなる作家、内容とはまったく違う。
    文学とか名作って、それほど深い物なのか、その深さが理解できないのはダメなことなのか、理解できる事が国語力なのか、、、
    わからない、悩むなぁ。

    さて、次は何を読もうかな

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著者プロフィール

天童 荒太(てんどう・あらた):1960年、愛媛県生れ。1986 年、「白の家族」で野性時代新人文学賞受賞、1993年、『孤独の歌声』が日本推理サスペンス大賞優秀作となる。1996 年、『家族狩り』で山本周五郎賞受賞。2000 年、『永遠の仔』で日本推理作家協会賞、2009 年、『悼む人』で直木賞、2013 年、『歓喜の仔』で毎日出版文化賞を受賞する。他に『静人日記』『ペインレス』『巡礼の家』『青嵐の旅人』『昭和探偵物語 平和村殺人事件』などがある。前作『包帯クラブ』は2006 年ベストセラーになり、映画化もされた。

「2025年 『包帯クラブ ルック・アット・ミー!』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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