- 本 ・本 (496ページ)
- / ISBN・EAN: 9784344406360
感想・レビュー・書評
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時代劇版、まさに大脱走!
これ映画化したら面白そうです。
井伊直弼と家臣、南津和野藩の藩士の攻防、といったら
大げさかもしれませんが、面白い。
そして、この物語を通して感じる「意志」や「誇り」の尊さや強さが
いい味わいを出していますね。
いい作家と巡り合ったな、という感じです。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
久し振りに再読。意外と内容を忘れていてハラハラ読み進めていった。最後の逆転劇が爽快!
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姫君をお助けする為に命懸けで穴を掘って掘って掘りまくる。
泥で汚れた姿になっても姫への忠誠心と武士としての誇りは微塵も動かぬ南津和野藩士の心意気に胸が熱くなりました。
あり得ない設定ながらも実在の井伊直弼の登場と日本人らしい忠義の大脱走劇で、ハラハラドキドキとても楽しい一冊でした。
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めったに挙げない五つ☆。面白かった!こんなに面白い小説を読むのは久しぶりだ。しかも読後感が深い。
歴史ものでありながら冒険小説でもありサスペンスでもある。でも実は実は深く濃い恋、愛を描いた小説なのでありました。愛があればこそ耐えがたきを耐え、希望に生き抜くことができる。本当のエロくない真のエロスを感じました。
こんな面白い小説があったこと、たぶんそれほど話題にならなかったのが(知らないけれど)不思議です。P441~P442のやり取りは読後に再読しました。秀逸です。
まったく知らない作家だと思ったら「1995年のスモークオンザウォーター」で読んでいた。あの小説は…だったなぁ -
脱走に向けて身分の差を超えて藩士、商人約一名が一丸となって行動するところは感動もの。道具もなしに素手で穴をほり抜くなどはご愛嬌、ラストの奇想天外な脱出成功劇も見ものである。美雪姫と上士、桜庭の二人の予想外な結末にはただただ驚いた(笑
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「大脱走」江戸時代バージョン。
ようこんな設定考えつくな~と感心してしまう。時は幕末争乱期のちょい前、井伊直助が権勢を誇っていた時代。
僅か4万5千石の小藩のお姫様に一目惚れした井伊直助が大老の権限を振りかざして、津和野藩士51名に無実の罪を被せて断崖絶壁に建つ収容所に放り込んでしまう。姫が側室にならなければ津和野藩に謀反の意志ありと判断され51名全員牢獄行き、但し1ヶ月の猶予あり。
まぁ、なんてご無体な。止めてください、大老様!
1ヶ月の間に脱出不可能な収容所から脱出するか、玉砕覚悟で討ってでるか、思案のしどころ。
中央突破は不可能、海への脱出も不可能な断崖絶壁、空を飛べるわけも無し、さぁどうする?
ここで江戸時代武士階級には黒鍬者という身分があって土堀り専門の人材がいるとの展開。へ~、そんな身分あるの。
思わぬところに活路を見出し、居住小屋の畳の下から、姫が居住する寺と、外の登り口に繋がる林の中まで2本立てで掘り始める。
まんま「大脱走」だ。落盤があったり、窒息しそうになったり、穴の距離が若干短くなってしまったり、「大脱走」を知っている人は一層楽しめる展開になっている。
脱出は明日と決めた日に大老の懐刀、長野主膳が突然来訪、穴は見つかってしまう。「大脱走」ならもう1本穴があるところだが、さあ本作は?
ここで奇想天外な脱出方法を披露してくれる、これには吃驚。そういえば物語序盤で井伊直助への献上品の中にさり気なく蒸気機関車と共に紹介されていた。
中々上手い。姫は無事に脱出、姫の行方を追うために手薄になった収容所から藩士は易々と脱出、は少しイージーでは?
直後に桜田門外の変が発生し事件はなあなあで処理され津和野藩はお咎めなし。
明治維新後、姫と脱出のリーダーであった桜庭敬吾は身分を超えて英国で仲良く暮らしましたとさ。
いいねえ~、凄くいいオチだ。ほのぼのしてしまう。江戸時代でも、これだけのエンタメ小説が描けてしまうんだ。凄い!「大脱走」ファンならお勧め! -
安政五年の大脱走!
井伊直弼が密かに心を寄せる姫を我が物にするために姫の藩士達を脱出不可能なすり鉢状の山へ幽閉する。
さて、藩士達はどうやって脱出を図るか?!
掘って掘って掘りまくり!!
最後も壮絶!
こんな歴史本なら気軽に読めると思います! -
逃げる手段は穴を掘る――ひたすら穴を掘る話なのだが、全然飽きることなく読み進めることができる。穴を掘りすぎて(素手で掘るものだから)手の爪が割れるとかいう描写があると、自分の爪も痛くなるように感じる。心の中で何度「がんばれ!負けるな!!」と叫んだことか。男たちの絆を描く物語でアツく、おもしろいのだが、個人的にラストが「う~ん...」って感じでした。
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大老井伊直弼の謀略により、謀反の濡れ衣を着せられ、海や断崖で脱出不可能の山頂に幽閉された小藩・南津和野藩の美雪姫と南津和野藩士50余名。美雪姫を救うため、自分たちの濡れ衣を晴らすため、男たちは脱出すべく奮闘するというストーリー。
南津和野藩士たちが脱走を図るべく奮闘する臨場感が伝わってくるようで面白かった。最後のどんでん返しにもちゃんと伏線が張られていて読みごたえ充分でした。 -
井伊直弼に見染められた津和野藩の姫。そして姫を我がものにするため、人質として脱出不可能な山上に拉致される 津和野藩士。痛快娯楽作ながら、それだけではない熱い血が 隅々まで通っている。 姫のため仲間のため、今己に出来る事を決して 諦めない藩士達。そして姫も。 最後の1頁までエンターテイメント。ちなみに盛岡の某書店のTwitterから全国に火がついた小説です。
著者プロフィール
五十嵐貴久の作品





