- Amazon.co.jp ・本 (404ページ)
- / ISBN・EAN: 9784344406391
作品紹介・あらすじ
廃用身とは、脳梗塞などの麻痺で動かず回復しない手足をいう。神戸で老人医療にあたる医師漆原は、心身の不自由な患者の画期的療法を思いつく。それは廃用身の切断だった。患者の同意の下、次々に実践する漆原を、やがてマスコミがかぎつけ悪魔の医師として告発していく-。『破裂』の久坂部羊の、これ以上ない衝撃的かつ鮮烈な小説デビュー作。
感想・レビュー・書評
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すごいインパクト!
最初、書き方の感じからして、「これはノンフィクションだ」と思っていたけど、え?こんなことあったっけか?
えーっ?
って思って、調べてみたり、最後の方を読んだりして、、、混乱してしまいました(笑)
すごいわー。
こんなやり口、なかなか思いつかないですよね!
実際、「それもアリなんじゃない?」などと思ってしまったんですけど・・・(汗)
ほんと、引き込まれて読みました!
どんどん久坂部羊読もう!読もう!詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
久坂部さんのデビュー作。
実話なんじゃないかと思えるほどのリアリティだった。
今現在、下半身の麻痺でリハビリ中の父がおり、病院でリハビリを施してもらっている身内として、非常にうなずける点もあり、結末は果たしてどのようになるのかと不安にかられながら読了。本当に胸の苦しくなるような展開だった。
きちんとした取材もなしに面白おかしく記事にするマスコミも許せないし、それに乗る世論も腹立たしい。
医師会の縄張り争いにも嫌気がさす。
本当にフィクション? -
読みやすさ ★★★★☆
読後清涼感 ★★☆☆☆
戦慄度 ★★★☆☆
脳内映像度 ★★★★★
没入度 ★★★★★ -
どのみち、足手まといの重荷なんだから軽くなってくれ。
これからの若い世代に何を背負わせなければいけないのか。経済活動、出産育児、高齢介護。これらをやってもらわないといけないと考えたとき、何を軽くするか。考えさせられた一冊です。
でも、アリじゃないの?とも思いました。
悪趣味な考え方をすると、五体満足な高齢者は、手厚い介護を受けれている目印になる日が来るのでしょうか。
私?
十中八九切断されているんでしょうね。 -
「医学」が科学であることは認めます。しかし、「医療」は科学ではありません。
「医学」は科学的になればなるほど、「医療」から遠ざかります。すなわち、患者には直接関係のない研究者の趣味になるのです。
(P.173) -
フィクションなのにすごくリアル
今後の高齢化社会を考えさせられた、と
読み物として読み応えあった
実際に介護が必要な高齢者の方が読まれた時に
どんな気持ちになるのか気になる
ネット小説『CUC』に関しては
ふざけすぎの気もするが
初版発行から約20年経過の今、
高齢化社会は本当に深刻で
フィクションながら本当にリアルを感じました -
最初ノンフィクションだと思ってた!
小説として面白かっただけじゃなく、リアル世界でこれからどんどん増える介護の問題を考えさせられた。
ほんとにこの治療法、ありえるんじゃないか、と。 -
廃用身
脳梗塞などで麻痺があり、動かすことの出来なくなった回復する見込みのない手足のこと。
医師漆原の遺稿と、編集者矢倉の註釈によって構成される物語。
はじまりから終わりまで、漆原と矢倉の共著の形になっているため、この物語自体が創作物なのか、実際に刊行された書物なのかわからなくなるような一冊。
面白い趣向だなと思った。
漆原は、老人医療を専門とする医師。
老人医療に欠くことの出来ない介護。高齢社会となり、介護に関しての問題は深刻になるばかりだ。
麻痺のある高齢者の介護は、介護する側の負担が大きい。
動かないばかりか拘縮を伴ったりして、介護する妨げになる手足を切断したら、介護をする側もされる側も随分楽になるのではないか。漆原はそう考える。
患者の同意を得て、廃用身である手足を切断していく漆原だが。
本作も医師である久坂部羊の着眼点は的確で、漆原の考えは盲点とも言える。
それでも、動かなくなって邪魔になったからあなたの手足は切りましょうと言われて、わかりました、お願いしますと即答出来るひとはいないだろう。
虫歯を抜くのとは訳が違う。
きちんと動いて問題ない手足であって、現在介護を要する状態ではないため、想像することも難しい。
もし、手足が動かなくなったら。
もし、介護をしてくれる家族や介護士の身体的負担が重そうだったら。
もし、毎日介護される度に恐縮してばかりだったら。
もし、介護をしてくれる家族に虐待されたら。
もし、もし、もし。
わたしは、動かない手足を切ってくださいと言えるだろうか。
漆原のとった方法は、ベストではないかもしれない。
それでも、動かない手足を切断することによって身軽になったら、介護する側の身体的負担は軽くなるだろうし、介護される側も身軽な分動きやすいだろう。
高齢者が増える一方で、介護者の数には限りがある。
介護の負担が重ければ、介護者も増えにくいだろうし、少ない介護者に介護をされるには費用も嵩んでくる。介護の質も落ちるかもしれない。
現在の介護問題を一気に解決するような方策が無い以上、漆原の考えを馬鹿なことをと一蹴するのもどうかとも思う。
介護から遠い場所にいるひとは、とかく介護に精神論を持ち込みたがる。
高齢者は敬うべきだ。
親を介護するのは当たり前。
大切なひとなら頑張れるはずだ。
でも、実際はそんなものではないだろう。
愛情があれば何とかなるなどと、そんな簡単なわけがない。
こういった問題は、これが正解というものがない。
だから難しい。
本書のようなものを読み、ひとりひとりが他人事ではなく考えておくことが大切なことかもしれない。
久坂部羊さんの文章は、「無痛」においてもそうだったが、大変読みやすい。
切断など戸惑う表現も多いが、医師である作者の視点は説得力がある。
特に本書は現実味を帯びており、考えさせる一冊だった。 -
ノンフィクション的小説w あるある・・・でも、やっぱないよなー、みたいなww
でも、お医者さんが書いてるのでリアル。どこまでがホントか?とザワザワした気分になる。