砂の狩人 (上) (幻冬舎文庫)

著者 :
  • 幻冬舎
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  • Amazon.co.jp ・本 (487ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784344406780

作品紹介・あらすじ

暴力団組長の子供ばかりを狙った猟奇殺人が発生。捜査を任されたのは、かつて未成年の容疑者を射殺して警察を追われた〈狂犬〉と恐れられる元刑事だった。大沢ハードボイルドの新たなる代表作。

感想・レビュー・書評

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  • 面白い。下巻に続く。

  • 評価は4。

    内容(BOOKデーターベース)
    暴力団組長の子供ばかりを狙った猟奇殺人が発生。警察庁の上層部は内部犯行説を疑い、極秘に犯人を葬ろうとした。この不条理な捜査に駆り出されたのは、かつて未成年の容疑者を射殺して警察を追われた“狂犬”と恐れられる刑事だった。

  • 組の子供ばかり殺されこの事件に
    駆り出された元刑事。中国人狩りや
    その中で組野娘サチが殺されてしまう
    スリルがあって読んで面白かった。

  • ▼「砂の狩人」大沢在昌。初出2001サンケイスポーツ新聞連載。幻冬舎。

    ▼「北の狩人」に続いて「狩人」シリーズの2作目ということになるかと。どのあたりが「シリーズ」なのかというと、どうやら、

    ・舞台が(少なくとも一部でも)新宿である。

    ・新宿署の「佐江」という中年男性刑事が重要な脇役として関わって来る。
    (汚れたオッサンの現場最前線やり手刑事だけど、実はまっとうな刑事だという設定)

    ・主人公が何かしらか「標的を狩る」ことが目的である。

    ということみたいですね。

    ▼かつて職務内で容疑者っていうか犯人を(無抵抗なのに)射殺してしまって警察を退職した「西野」という男性が主人公。世捨て人になって千葉で魚を取っていたのが、警察幹部の美人な女性に依頼されたことから、「連続殺人鬼を追う狩人」として新宿に戻って来る。警察の特命だけど公式にはイチ民間人。当然そこにはややこしい事情が。トラブル歓迎前進あるのみな捜査活動は「暴力団員・原」や「新宿の刑事・佐江」などの曲者たちを巻き込んで。犯人像に迫る中で「暴力団vs中国人アウトロー勢力」の対決模様が深まり、真相に近づくにつれて流血と暴力が旋回していく…。というようなお話です。

    ▼全作「北の狩人」もそうですが、ハードボイルド・ミステリー・クライムアクション。その感傷性とご都合性とエンタメ性で言うとよりパワーアップした気もします。
     でも相変わらず、「かなり複雑ないくつかの偶然と、経済合理ではなくて個人の猟奇性によって生まれた事件」を作っておいて、それを読者に(主人公に)小出しにバラしていく素敵なイヤらしさ(笑)は技術です。つまりは面白く読めます。

    ▼読後考えると、「フィリップ・マーロウ・シリーズ」から、文明批評性を薄めて、アクション緊張感&男女のセンチメンタル性&エンタメ感を10倍にしたような感じですかね。


    (以下ネタバレ)

    ▼結論は、

    ・昔昔、警察の超幹部候補生の男女が職場恋愛して私生児を作り

    ・お互いに(特に男性の方が)出世する運命のためには良家のお嬢さんと結婚せねばならぬので、お互い結婚するわけにはいかず。(この辺がなかなかな力業…)

    ・というわけで生まれた男子は別の家の子供として育ったんだけど

    ・成長した息子は親(特に母親)への思慕と憎悪に焼かれて、結果、母が属する警察を憎悪。

    ・そんな息子に、たまたま偶然、香港の大マフィアのボスの息子が接近して友達になる。

    ・この香港息子っていうのがもともと香港で連続猟奇殺人者で。警察の手を逃げて日本に来た。で、日本息子と結託して、日本でも猟奇殺人を始めた。

    ・で、日本息子の両親は「うちの子がこの事件関連してるんじゃないか」とうすうす思っていたけれど、悩ましくて、警察の威信とかもあるし、平場の捜査に情報を降ろさずに主人公を「狩人」として雇った。

    …というなんともはや「金田一耕助的などろどろ力業展開」で。
    これだけ列挙すると「よくもまあこれでそれなりに引っ張れる面白い小説にできるなあ」と逆に作者に脱帽です。

    最後は関係者が(主人公も)ほぼほぼみんな死んでしまうところも金田一。(金田一は主人公だけは死なないですが)

    途中の盛り上げ活劇部分が真相から逆算するとほぼほぼ脱線とも言えるあたりもご愛敬(?)。

    ▼スポーツ紙連載だし、きちんと商品的役割を果たしている職人芸だと思います。前作もそうですが、後半はわくわくどきどきで読んでしまうんだけど、結果と真相が全わかりすると若干鼻白む(笑)。ただ今作は「暴力団員・原」、「主人公・西野」、「刑事・佐江」の間に生まれる奇妙な友情ラインで楽しませます。このあたりって新聞連載だし、書いているうちにドライブがかかってくるんだろうなあ。

  • 北の狩人に続く第二弾。今回はやめ刑事の西野が狩人。前回に引き続き、メインの舞台は新宿。新宿署の佐江はサブの役割でまた登場。暴力団組長の子供が狙われる殺人事件が立て続けに起こった。西野は犯人を挙げるべく動くが、警察庁、暴力団、中国マフィアの思惑が複雑に絡み合う中、死線を潜り、捜査する。上巻では、もはや誰が味方か分からなくなり、読者も疑心暗鬼になりそう。作者ならではのハードボイルドな展開も必見。新宿鮫シリーズとは異なるテイストで楽しめる。

  • 大沢在昌先生の作品で、部隊が新宿、主人公が一匹狼の(元)刑事であれば、面白いに決まっています。
    実際読んでみて、最初から最後までドキドキですごく面白かったです。

  • 久しぶりの大沢さん。この手の話が好きなので楽しめました。

  • 新宿鮫シリーズとは異なるものをチョイス。著者の手にかかると、「新宿」という都市が赤く、危険な雰囲気漂う世界に様変わり。ハラハラドキドキ無しに読むのは難しいです。

  • 2021/09/27 110読了

  • 砂の狩人 (上) (幻冬舎文庫)

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著者プロフィール

1956年愛知県名古屋市生まれ。慶応義塾大学中退。1979年に小説推理新人賞を「感傷の街角」で受賞しデビュー。1986年「深夜曲馬団」で日本冒険小説協会大賞最優秀短編賞、1991年『新宿鮫』で吉川英治文学新人賞と日本推理作家協会賞長編部門受賞。1994年には『無間人形 新宿鮫IV』直木賞を受賞した。2001年『心では重すぎる』で日本冒険小説協会大賞、2002年『闇先案内人』で日本冒険小説協会大賞を連続受賞。2004年『パンドラ・アイランド』で柴田錬三郎賞受賞。2010年には日本ミステリー文学大賞受賞。2014年『海と月の迷路』で吉川英治文学賞を受賞、2022年には紫綬褒章を受章した。


「2023年 『悪魔には悪魔を』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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