星宿海への道 (幻冬舎文庫)

  • 幻冬舎 (2005年8月2日発売)
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本 ・本 (472ページ) / ISBN・EAN: 9784344406919

感想・レビュー・書評

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  • ここ最近宮本輝先生の本を立て続けに読んでるのですが、読んでてずっしり来過ぎて咀嚼するのにパワーが入ります。適当に読めないのです。そのぐらい、心に響きます。

    • ちゃたさん
      とおさん、こんにちは。

      ちゃたともうします。宮本輝さんの小説ってタイトルから引かれますよね。星宿海なんて聞くだけでどこどこ?行ってみたいと...
      とおさん、こんにちは。

      ちゃたともうします。宮本輝さんの小説ってタイトルから引かれますよね。星宿海なんて聞くだけでどこどこ?行ってみたいとなります。私も再読したくなりました。
      2023/08/21
  • なかなか読み進まず
    読了までに時間がかかってしまった

    血の繋がりが全てではないが
    それがない弟が戸惑いながら兄を想い
    行動することに心動かされた

    情景が鮮明に浮かぶ作者の言葉選びには
    この作品でも魅了された

  • 宮本輝さんの作品はタイトルが素敵すぎて思わず手にしてしまいます。なんかすごい旅が待ってそうだなと。「星宿海」実在すると知ったときにはすごいなと思いました。

  • 黄河の源泉の湖の星宿海。出口にはひょうたん形の湖がある。行方不明の雅人探しではなく、雅人の真実を追求する。物乞いの親子というのは重い。最後に行方が分かれば良かったが…

  • 久しぶりに凄い小説を読んだ気がする。
    実はスケールが非常にに大きくて深い。

    ウイグル族とのつながりが気になっていたが、なるほどなあ。

    尾道が好きで二度行ったが、やはり日帰りではなく、時間をかけて島まで渡ってみる必要があるなあ。

  • 戦後、日本がまだ貧しかったころ。貧困の中を「生きる」人間... 母娘の尊厳と苦難をここまで優しく、美しくそして切なく描ける宮本輝の筆はやはりすごい。好きだ。読み終えた時の余韻。切なさ、感動。何か人間らしい心の根底に触れてくるような、いつもそんなタッチだよね。人間って強くて弱いんだなと思った。雅人もね。

    彼は「異族」という言葉に惹かれたそうだけど、彼の孤独感と私のとは比べ物にならないけど、でも少し私も共有してる心理があるように感じる。私の場合は複合的な、先天的+後天的要因でそうなんだけど、結局は雅人と同じ、漂流者なんだよね。どこからきたのかわからない。どこへ行くのかもわからない。人生というのは海なのだ。山も谷もない、ただ流れに任せ、オールを漕いだり休めたり。常に何かを探しているのか、風に吹かれているだけなのか。

    ただ、雅人は私とは違う。彼には母という、星宿海という明白なデスティネーションがあった。彼は永遠にタクラマカン砂漠を歩き続けるのだろうか。彼は母に会えたのだろうか。

  • 星宿海への道

    雅人という1人の男性が抱えていた、戦後から現代に至る壮絶な人間模様を描いた物語。

    雅人に関わってきたひとりひとりの人生や想いがそれぞれ交差して、読み終わった後何とも言えない気持ちになりました。

    再度、丁寧に読み返したくなりました。

  • 中国旅行中にタクラマカン砂漠近郊の村から、自転車に乗ったまま忽然と姿を消した瀬戸雅人。

    物語は、雅人の2歳年下の弟・紀代志と、彼の子を身ごもった千春の視点で進んでいく。

    雅人は彼が8歳の時に、瀬戸家の養子となった。

    それまでは、盲目の母と橋の下で物乞いをしていた。

    母の死をきっかけに、紀代志の両親が雅人を養子にしたのだ。

    進学を勧められながらも、中学を卒業してタツタ玩具に就職して30年以上。結婚もせず、地道に、地味なおもちゃを売って生き抜いきた雅人。

    雅人が少年の頃から憧れていた「星宿海」。

    そこから遠く離れた場所で、彼は突然に姿を消した。

    「もし子供が女の子だったら『せつ』という名前をつけたいと思います」

    「せつ」は雅人の実の母の名前。

    宿命に翻弄され、どん底のような境遇にありながらも、強く明るく生き抜いた母子。


    弟の紀代志が、恋人の千春が、雅人の人生をたどっていく中に、幾重にも深い人生の様相が見えてくる。

    宿命の嵐に晒されても、人は生き抜いていく。

    人間をだますのも人間。だが、人間を救うのも人間だ。

    胸の奥に手を入れられて、心をがっちり捕まれたような重さがこの小説にはあった。

    宮本輝の人間賛歌、ここにあり。

  • 読み始めていきなり、「何て素敵な文章だろう!」と思いました。
    久々に読み返した本ですが、この物語にはこれ以上の書き出しはないのでは?と思います。
    スッと文章が中に入ってきて、目の前に見たこともない異国の風景が広がります。

    中国のウイグル地区で消息を絶った一人の50代の男性-雅人。
    その弟、紀代志はそれを機に、兄との思い出を追憶すると共に、自分が今まで知らなかった兄の姿をたずね歩く。
    それと同時に、雅人の子供を一人で出産した恋人の千春により、大人になってからの雅人の姿が描かれていく。

    行方知れずとなった雅人は、8歳の時に紀代志の両親の養子になります。
    それまでの雅人は盲目の母親と朝から晩まで物乞いをするという暮らしをしていました。
    何故、それが養子になったのかというと、紀代志の父親が車を運転していた際、雅人の母親にぶつかった事があり、それが原因で母親が亡くなったのでは?と心を痛めていたから。
    実際にそれが原因で亡くなったのかは分からない。
    だけど両親は何のつながりもない雅人を自分の子供のように育てた。
    誰にでも出来ることじゃないです。
    養い親も弟も全員いい人たち、そして当の本人の雅人も穏やかな性格で人柄がいい。
    それなのに、とうとう本当の親子、兄弟にはなりきれなかった-。

    以前一度だけ読んだ本ですが、ちゃんと内容を覚えていました。
    特にとても衝撃を受けた文章があり、それがずっと記憶に残っていました。
    ホント人間って、これが同じ人間か?と思うような人がいるんだと・・・。
    そして信じられないくらい優しい心の人もいるんだとも思いました。
    物語の全てを知って改めて最初から読むと、雅人の言った「異族」という言葉がグッと胸に迫りました。
    それを言った雅人の心やそれを聞いた弟の心を思うと心揺さぶられる思いになりました。

    雅人という人はどういう人だったのだろう・・・。
    どこにでもいるような風貌と穏やかな性格。
    その心の奥にあったものは-。
    そう思いながら読み返すと、最初の文章が心に迫ります。
    そして「異族」という言葉が。
    ただこの物語は暗くて深刻なだけのお話じゃありません。
    それは雅人と千恵の子供、せつの存在があるから。
    優しい心はこの小さな命につながれていくのだ・・・。
    そこに小さな灯を感じる。
    せつなくて、温かい涙がこぼれました。

  • この本のタイトルに惹かれて読んで見ました。
    人の人生‥生き方‥それぞれ複雑に絡み
    凄く良かった。

  • このタイトルが目に入ったとき、以前、テレビで星宿海についてのドキュメンタリーを見たことを思い出したので読んでみた。瀬戸内海へ行きたい。

  • 人は自分のルーツをたどりたくなるものなのかしら?自分の子が生まれるのに、自分のルーツをたどって消息を絶つなんて…不幸な事故に巻き込まれたのか?それとも自分本位な勝手なのか?母と子が逞しく今を生きているラストが救いになりました。

  • ずいぶん久しぶりに宮本輝の小説を読んだ。何でこんなにしばらく読むことなかったんだろうと思うくらいいい小説だった。いや、この小説がいいという以前に、宮本輝の小説ってやっぱりいいなと思った。貧しいけど品がある人々の物語という感じがするのだ。この小説なんかもそうで、物乞い生活をしていた幼い雅人とその母親の様子が悲惨さがなく仲よく明るく楽しそうに見えたというのなんか、物乞い生活の人をそういう描き方をするのも含めて象徴的だと思う。
    しかし、自分なりに清貧だけど満足しているらしき暮らしをしているように見えた雅人だけど心のなかではずっと母親の面影だけを抱えて生きていたんだね。それはどこか実生活でありながら現実に価値をおかないような生活だったんじゃないだろうか。それが千春との間にせつができたことで、人生を清算しようという気持ちになりカシュガルで消息を絶ったんじゃないかなあ。あるいは生まれてくる子どもに亡き母の名をつけてくれるよう頼んだことでやることをやり尽くした気で消息を絶ったかもとも思う。
    狼に育てられたため結局人間の生活に慣れることのなかった子のようだと書かれてもいたけど、心に巣食ったものに抗えないように雅人はその生い立ちや経験からそういうふうにしか生きられなかったのかなあ。ちょっと勝手な気もするし、一方でこれだけ周りに気にかけてくれる人がいるというのにかわいそうな人だという気もする。

  • 雅人は異族として瀬戸家に紛れていただけだった。弟のきよしはずっと一緒に住んできた兄のことを全く理解できていなかった、本当の家族にはなれなかったことを知った。雅人にとって本当の家族はせつだけだったのだ。雅人にとって星宿海はいなくなってしまった母の思い出。母から聞かされた昔話と先生から聞いた黄河の源流の風景の妄想が生み出した、雅人と母が作った場所。

    それぞれの道を辿って「星宿海」に辿り着いたことで、千春も雅人も家族になったんじゃないかなあ

    宮本輝の小説からは、町工場の油臭さと泥の匂いがする。

    お母さんが身体を売るところを見るのは辛くなかったのかな。あの親子が一緒にいるときはいつも屈託がなく幸せそうだった、というのが印象的。人の居場所を奪うのは大概人の目だったりする。

    千春と雅人が関係を持つとき、雅人がまるで大きな赤ちゃんであったというのはなんでだろう。雅人はずっと大人になれなかったのか?それとも千春に母を重ね合わせていた?行為から娼婦としての母を千春に重ね合わせていたのか?わからん…

  • 私が読むには早すぎたかも。。。

    面白さがイマイチわからなかったです。
    もうちょっと後に読むとまた印象は変わるのかな?

    終盤は読むのが辛くて流し読みしてしまいました…

  • 再読。

    満天の星空  また行きたいな。

    寒いけど。

  • 人間を書くのが上手すぎるなあ、
    1人1人魅力的やし、エピソード1つ1つが鮮明。
    一生読んでたくなる。

  • 「星宿海への道」
    読み終わった後、鳥肌がたつような一冊。

    弟の語り口から壮絶な過去を持つ兄との回想シーンから始まる。
    全ては繋がっている。
    輪廻転成や縁を感じずにはいられない。

    本来の星海宿、兄が想う星海宿。
    母が見た星海宿、全てはつまるところ繋がっていた。

    家族というものをもう一度じっくり考えてみたい人におすすめ。

  • あらすじ
    中国旅行中にタクラマカン砂漠近郊の村から、自転車に乗ったまま忽然と姿を消した瀬戸雅人。彼の帰りを待つ千春と幼子のせつ。血のつながりのない弟・紀代志がその足跡を辿るうちに明らかになる兄の人生──。少年期からの憧れ、黄河源流にある「星宿海」とは? 雅人が抱えていた戦後から現代に至る壮絶な人間模様を、抒情豊かに貫く感動巨編。

  • 人気小説ということで図書館で借りましたが、チョイと私の波長には合わなかったようで。
    完読できず、残念です✨

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著者プロフィール

1947年兵庫生まれ。追手門学院大学文学部卒。「泥の河」で第13回太宰治賞を受賞し、デビュー。「蛍川」で第78回芥川龍之介賞、「優俊」で吉川英治文学賞を、歴代最年少で受賞する。以後「花の降る午後」「草原の椅子」など、数々の作品を執筆する傍ら、芥川賞の選考委員も務める。2000年には紫綬勲章を受章。

「2018年 『螢川』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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