天使の代理人 下 (幻冬舎文庫)

  • 幻冬舎 (2006年4月7日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (328ページ) / ISBN・EAN: 9784344407800

感想・レビュー・書評

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  • あくまで中絶、妊娠、出産に関する価値観が一つに結論としてはまとまらない。しかしそれぞれの人物がそれぞれの経験の中で価値観が変容し、それぞれの思いとなって馳せていく。

    どれが正解ではない。しかし妊娠というのは人間にとって単に体の変化というにはあまりにも単調過ぎる表現で、非常に考えさせられる大きな出来事である。
    そんな事を通して人について、生命について改めて考えることができる問いかけ、内容となっている。

  • 内容(「BOOK」データベースより)
    胎児の命を守る“天使の代理人”という組織を運営する桐山冬子。突然銀行でのキャリアを捨て精子バンクを利用する出産を決意した川口弥生36歳。妊娠が分かった直後、人違いで中絶させられた佐藤有希恵26歳。一時は中絶を考えたが産み育てることを選んだ佐藤雪絵20歳。それぞれの人生と“天使の代理人”が交錯した時、奇蹟が起ころうとしていた。

  •  テーマは妊娠中絶の是非なのだが、本巻では組織暴走の恐ろしさも描かれている。最初は少人数で始めた組織でも活動が知られ、賛同する人が増えることで活動が活発になっていく。それはそれでよいのだろうが、その反面様々な思惑がメンバー内に交錯し始める。それは当初の目的から外れたものも少なくない。果たして、組織はどのような方向へ向かうのか、当初の目的はどうなるのか、といったところにも触れられている。これも現代社会が抱える闇の一つかもしれない。
     最後はいきなり終わるのかという感じもしなくはないが、読んでおきたい内容の本であることは間違いない。

  • HappyEndでちょっぴり心があったくなりました。

  • 産むんじゃなかったと言われた過去のある中絶擁護派、外国のエリート達のバンクを利用し自宅で人工受精し障害どころか女の子であるというだけで中絶を希望する女性等、考え方がそれぞれしっかりと違い多角的な所がとても良い。脅迫、懲罰と加速する活動仲間、堕胎に立ち会う苦しさ。新米父の責任だけ素直に喜べなかった。

  • やっぱり中身が重いっす。
    結論が出ないことを延々書かれてて
    イライラ感が募るぜい。

  • 面白かった。
    かかわる人が増え 時を経ていくと 必ずこういう風に方向が変わっていってしまう。良きにつけ悪しきつけ。

  • 大きくなり、行きすぎた方針に変わってしまった『天使の代理人』。ひとつの事件を期に、穏健な方向へ軌道修正。(とはいえ、最後のエピソードは全然穏健ではなく強引だったけど)

    ラストは、『天使の代理人』という組織の在り方からはフォーカスが外れ、個人のエピソードに収斂していった。この点、期待していた展開とは違ったのが少し残念。

    とはいえ、非常に考えさせられ、感動ありの作品でした。

  • ◼うしろに書いてあるあらすじ通り妊娠、中絶、にまつわった女性たちが交差しあう。ちょっと最後は意外な展開で、どうなるのどうなるの?と加速した。
    映像化されそうな気もするね。

  • 何人かの女性の視点で描かれる妊娠中絶への考え方。
    胎児は人間なのか?中絶は殺人なのか?
    重いテーマだ。
    さまざまな年齢層、境遇、立場からの考え、また時代を前後しながらの描写。
    男性の作者だとは思えないほど、女性の心理に深く触れていると思う。
    簡単に中絶出来てしまう世の中に、考えさせられる作品。

    2014.4.27

  • 生まれた~~~っ。
    ふぅ~。

    女性は強い!!!

  • ふと思ったんだけど、サトウユキエさんたちは、同じ病院で同じ日に、かたや検診に、かたや中絶の手術の予定だったんだよね?
    そして、病院のスタッフが情報を漏らして、1人のサトウユキエが手術をキャンセルした…。
    その漏らした病院スタッフは、手術に立ち会わなかったのか?
    立ち会わなくても、取り違えに気付かないのか?
    正義を語る割に、やることが杜撰過ぎないかなぁ?
    そして、中絶を止めきれず、最終的に自殺してしまった人と同じか、個人的にはそれ以上に、佐藤有希恵に与えてしまった哀しみは、許されることじゃない。
    偽善ならいいけど、独善じゃダメ?
    いやいや、最初から独善的じゃん!!と途中本気でイラついちゃうくらい、真剣に入り込んで読んじゃいました。
    でも、有希恵が前向きに生きていって本当に良かった。
    出てくる人みんなが、色んな山を乗り越えながら、前向きに生きていく気配を感じる終わり方で、1番しっくりくるきがした。
    重い内容だけど、最後までダークな感じじゃなく、清々しく読み終えるところが、オススメなところです。

  • 上巻に記載

  • 中絶件数が年間20万件以上あるそうです。反対に、不妊治療を受ける人も多いと聞きます。
    天使の代理人は、中絶を少しでもなくそうとする有志のあつまり。志は高いけど、実際は個人情報の無断使用で犯罪でもあります。それを承知で彼女たちは代理人業を続けていくのですが。
    代理人の考えは尊重されるべきものですが、ちょっと余計なお世話のようにも感じます。
    中絶する側にもそれぞれの事情があるし、翻意して出産しても後から後悔してしまうこともあるのでは?
    代理人は言うだけ言って、後の面倒は見ないわけですし。
    いろいろと考えさせられる話でした。地名が具体的なので、現実味がありました。

  • 助産師の仕事の重さ、命に関わる仕事の重さを思い出させる。

  • 中絶。
    倫理的な観点考えなきゃ自分の中ではクリアな結論出るんだけど…ね!

  • 重い内容ではありますが、
    すごく引き込まれて
    スラスラ読めました。

  • 現在子どもが欲しい私には非常に
    心へガツーンとくる話でした。
    最後はイイ終わり方だったな~
    でも、マーヤは妊娠した友達にどのようなことをしてあげたのか
    謎だ~(私の文章理解力不足か。。。)

  • やっと授かったわが子を同姓同名の中絶を予約していた人と取り違えられて、中絶させられるなんて、読んでいただけでも腹立たしかったし、悲しかった。

    私もこんな状況になったら、同じ行動をとってしまうかもしれないなぁ。

  • 『私にとって中絶は、時間を超越した自死だったのかもしれない。』

    テーマは人工中絶。「人工中絶の是非」ではなく、あくまで「人工中絶」。そもそも1か0で判断できるテーマでないことは自明の事実であり、それを逆手に取ってこそのストーリー展開。考えさせられるっていうよりは、考えるきっかけを与えてくれる、そんな構成。個人的には、嫌われ松子の一生よりだいぶ好き。

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著者プロフィール

1965年愛知県生まれ。筑波大学大学院農学研究科修士課程修了後、製薬会社で農薬の研究開発に従事した後、『直線の死角』で第18回横溝正史ミステリ大賞を受賞し作家デビュー。2006年に『嫌われ松子の一生』が映画、ドラマ化される。2013年『百年法』で第66回日本推理作家協会賞を受賞。その他著作に『ジバク』『ギフテット』『代体』『人類滅亡小説』『存在しない時間の中で』など。

「2022年 『SIGNAL シグナル』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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