ひな菊の人生 (幻冬舎文庫)

  • 幻冬舎 (2006年4月7日発売)
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  • 本 ・本 (144ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784344407824

感想・レビュー・書評

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  • 終始人の死に触れているのに、暗さはそんなになくて。
    世の中には色んな人がいて、その人たちだけの関係性がある。だから、恋人とか、家族とか、友だちとか、そういう枠にとらわれない関係も、良いとか悪いとかないんだと思う。そんな風に感じさせてくれる作品だった。

    何か大きなことが起きるわけではないから、ゆったり読めたけど、印象も薄い作品だったかも。

  • 再読。年に数回、吉本ばななに戻ってきたくなる病を発症し、今回は『ひな菊の人生』に戻ってきました。フランス製のいちじくの香水は他の作品にも出てくるモチーフで、気になってるけど買ったりせず頭の中で良い匂いを反芻しています。ひな菊がお店の鉄板で作るソース焼きそばがすごく美味しそうで、小さい頃からの親友ダリアとの距離感が最高で、大人になってからの不便そうでありながらも良く考えて生きている感じがとても安心します。
    ひな菊の生き方に倣って、淡々と、でもしっかりと生きていきたいと、読み終わるといつも思う。
    奈良美智さんの挿画もとても素敵です。

  • 『ひな菊の人生』読了。
    家族や友だちの生と死やひな菊がこれまでに生きてきた人生について。一瞬一瞬を切り取ったようなゆっくりな時間の流れを感じました。お好み焼きや夢の話が延々と繰り返すような感じだが、空間の話はよかったな…ばななさんの小説はここ数年いいなぁ〜と思って読んでいるけど、人が死んでこの世から去ったとしても、人と会うことで空間ができて、思い出となって、その思い出に生かされている…という解釈でいいか分からないけど。なんかすごくいいな〜って思った。会えるうちに会いたい人に会っておきたいなって思った。結構ね、場所とか空間って重要要素なのかもね。
    去年の今頃、母校に訪問したんだけど、私が高校時代に過ごした廊下の長椅子や図書館の椅子がまだそこにあってちょっと嬉しかったんだよね。友だちがいなかった頃ひとりでこの廊下の長椅子に座って弁当食ったなとか勉強をサボって図書室の死角になるところにある椅子に寝たなとか。そこで出会った親友との思い出にたまに胸が熱くなる時がある。

    2024.5.16(1回目)

  • 奈良美智さんとのコラボレート作品。ひな菊の切なくも悲しい人生を、奈良美智さんの絵が華やかに彩っている。
    焼きそばを焼く店を手伝う日常を愛し、母や友達の死を乗り越えて、生きることへの渇望を感じた。

  • 目次
    ・崖の途中の家の夢
    ・居候生活
    ・いちぢくの匂い
    ・再生
    ・写真
    ・雨
    ・首の話

    長男を妊娠していた時、直属の係長が貸してくださった『TSUGUMI』を読んで、こんなに私の生きづらさをわかってくれる作家がいるんだ、それもこんなに若い作家が、と感動しました。
    でもその後彼女の書くエッセイをいくつか読んで、ものすごくオープンなようで実はすごく人の好き嫌いの烈しい人だなと言うのがわかり、好きなもの好きな人に囲まれた生活は、彼女の成長を妨げたのでは?なんて思うほど、彼女の作品が色あせてしまいました。

    好きな作品もあるんですよ。
    『デッドエンドの思い出』とか。

    でもこれは、いまいち。
    親と死別した子ども、恋愛とは違う異性のやさしさ、スピリチュアル的な気付き。
    彼女の得意のパターンだな。

    こんなに周囲の人に大切にされて、自立していると言いながらの居候生活で、何が人生?って思う。
    おじさんやおばさんと距離を取りながらも、手の届くところに居続ける。
    彼女の人生は、まだまだこれからではないのだろうか。

  • よしもとばなな氏が好きかと問われたら、はいと言えない気がする。それなのに、作品中そこここに言葉のきらめきを感じる。それが私がよしもと作品を読む理由になっている。この作品は驚くほど何も起こらない。ただ、個人的に今現在生と死についての考え方が変化してきているので、この作品のラスト数行は気になるものだった。

  • 奈良美智とのコラボレーション。ひな菊の一人称で語られる、淋しい夢を見たかのような物語。主人公のひな菊と、他の登場人物との関係性がなんだか希薄だ。かといって、ひな菊が孤独だというわけでもない。お互いの間に葛藤や目立った軋轢もない。それでも、ひな菊は一人暮らしを選ぶ。日常はありふれていつつも、輝きがないわけではない。しかし、「たった一瞬前のことだというのに、もう時間は戻らない」。環境こそ違え、同じような人生を送って来たはずのダリアは亡くなり、ひな菊は彼女の生を生きている。はかなさの中に暖かさのある物語だった。

  • 再読⭐️
    奈良美智さんの絵とすごく合っていてとっても長編の絵本を読んでいる感覚です。

  • 吉本ばななさんの本は3冊目です。
    ばななさんの世界というか、空気というかとにかく好きです!
    奈良美智さんの絵ともすごく合っていて、哀しいけど優しい雰囲気で読書の秋にはピッタリだと思いました。

  • 「天とか運命とかは、首の事故で彼を俺たちから奪うことはできても、あの楽しかった時間を奪うことは永遠にできないから、俺たちの勝ちだと思うんだ。」
    自分が経験したこと、関わった人と過ごした時間、それらの積み重ねが人生だと思わせてくれる。大切な人を想い出しながら読んで胸が熱くなった。

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著者プロフィール

1964年、東京生まれ。日本大学藝術学部文芸学科卒業。87年『キッチン』で第6回海燕新人文学賞を受賞しデビュー。88年『ムーンライト・シャドウ』で第16回泉鏡花文学賞、89年『キッチン』『うたかた/サンクチュアリ』で第39回芸術選奨文部大臣新人賞、同年『TUGUMI』で第2回山本周五郎賞、95年『アムリタ』で第5回紫式部文学賞、2000年『不倫と南米』で第10回ドゥマゴ文学賞(安野光雅・選)、2022年『ミトンとふびん』で第58回谷崎潤一郎賞を受賞。著作は30か国以上で翻訳出版されており、イタリアで93年スカンノ賞、96年フェンディッシメ文学賞<Under35>、99年マスケラダルジェント賞、2011年カプリ賞を受賞している。近著に『吹上奇譚 第四話 ミモザ』がある。noteにて配信中のメルマガ「どくだみちゃんとふしばな」をまとめた文庫本も発売中。

「2023年 『はーばーらいと』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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