スイートリトルライズ (幻冬舎文庫)

著者 :
  • 幻冬舎
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本棚登録 : 4091
レビュー : 451
  • Amazon.co.jp ・本 (234ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784344408203

感想・レビュー・書評

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  • 「嘘」がキーワードになっている小説。
    夫婦の瑠璃子と聡がそれぞれ不倫をするが、どちらの視点で考えるかによって見えてくるものが違ってきました。

    まず、瑠璃子視点で考えてみると
    「なぜ嘘をつけないか知ってる?人は守りたいものに嘘をつくの。あるいは守ろうとするものに。」

    →「嘘」をつくのはその相手を愛しているということなんじゃないかと思いました。瑠璃子は不倫相手の春男や友人のアナベラには真実を告げている、対照に聡には真実を話さない。愛する人にだけ嘘をつく、それがスイートなんだそう。


    聡視点で読んでみると 、
    不倫相手の「しほ」は素直で嘘がない。
    対照的に瑠璃子は嘘を持っている。
    嘘の無いしほと一緒にいることによって、嘘を持つ瑠璃子を愛していると実感できるようになる。


    不倫によって嘘があるから聡を愛せる瑠璃子と、
    不倫によって嘘を持つ瑠璃子の方が良いと愛を実感する聡。この二人にとって「嘘」は必要不可欠で、それこそ二人が愛し合う理由なのだと思った。だから絶対この二人は不倫をやめないと思う(笑)




    不倫ものでした。『四月になれば彼女は』という川村元気さんの小説を読んで「愛」とはなにかを考えさせられ、「恋愛系の本読みたいなぁ」と思っていて読んだ本です。

  • 夫婦がお互いに不倫するお話し
    前に読んだはずなのに登録されてなかったようだ

    基本的に僕は不倫は受け入れられないと思っているけど
    何故か江國香織の書く不倫モノは不思議と受け入れられるんだよなぁ

    「真昼なのに昏い部屋」でもそうだけど、奥さんは多分旦那さんの事を好きな気持ちは変わらないし
    そして恋人の事も好きなことも否定はしないんだよね
    瑠璃子さんはウソをついていない
    秘密や隠し事はあるけど、嘘はない
    これが大事なところ

    作中の一部
    「なぜ嘘をつけないか知ってる? 人は守りたいものに嘘をつくの。あるいは守ろうとするものに」
    という言葉が結構響いた

    そうだよね、嘘をついてまで守りたいものなんだよなぁ
    でも、そんなに守りたいんだったら嘘をつかなきゃいけないような状況にするなよとも思うけど(笑)

    瑠璃子さんの気持ちに嘘はない一方、聡さんの方は典型的な男の浮気で、その対比も面白い

    森博嗣の四季シリーズで、太陽と扇風機の例えをしてたけど
    瑠璃子さんは太陽型、聡さんは扇風機型なんだねと思って納得

    お互い、不倫しててもやはり相手のことは好きなところがいいよね

  • 江國さんの描く男性は、不思議と淡い。
    淡いけれど、今の時代の男性像にしっくりくる。
    そして、そんな男立ちと向かい合う女の心の内も。

    主人公と夫の距離感は、時折出てくる、夫の腕の中に入れてもらうという表現でよくわかる。
    「ふいに気がついた。愛ではなく飢餓だ」
    この言葉が頭から離れない。
    家庭という守られている場所の中にある孤独と飢餓は、この先も彼女につきまとうのだろうか。
    飢餓を癒す術はあるのだろうか。

  • この日常に不満はない、と瑠璃子は思う。淋しさは人間の抱える根元的なもので、自分一人で対処するべきで、誰かに―たとえ夫でも、救ってもらえる類のものではない。瑠璃子と二歳下の夫、総。一緒に眠って、一緒に起きる。どこかにでかけてもまた一緒に帰る家。そこには、甘く小さな嘘がある。夫(妻)だけを愛せたらいいのに―。恋愛長編。(「BOOK」データベースより)

    ソラニンの毒であの人を殺せたらという物騒な考えも江國さんにかかれば可愛くみえる不思議。心の満たされない部分を楽しむ江國さんらしい小説。瑠璃子は自分の裏切りはよくても夫の裏切りには目をつぶるつもりはない。そしてソラニン。距離が近くなればなるほど相手の姿って見えにくくなるのかな。

  • これを読んで結婚するということが
    すこし怖くなりました。

    秘密があったほうが夫婦関係はうまくいく。
    守りたいものにたいして嘘をつく。

    甘く小さなうそ。
    決して甘く小さくない嘘だらけだけど
    江國さんらしい作品。
    2時間もあれば簡単に読めちゃう一冊です。

  • クマのぬいぐるみを見たら、この小説を思い出してしまうかもしれない。
    出てくる誰もがおシャレで魅力的で優秀で・・・
    私の身近には一人もいなさそうな設定だけど、だからこそ、その熱い空気感を存分に吸い込みながら楽しめた。
    さすが江國香織さん。

  • 守りたいから嘘はつく。
    だけど、2人でいると感じるどうしようもないさみしさや、満たされない想いからは、おそらくこれからも逃れられない。
    それはたぶん、似たもの同士だから。
    プラスとマイナスじゃなくて、マイナスとマイナスだから。

    うーん、我が家はどうなんだろうなぁ・・・

  • 「二匹のごりらにさえなれないなら、それはやっぱりソラニンだわね」

    不思議なことに、瑠璃子にはこれが、自分と津川だけの、ごく個人的な出来事にすぎないことがわかった。聡にも、黒い長い髪をした津川の彼女にも、何の関係もないここだけの出来事。

    秘密を少し持つ方が物事はうまくいく。

    これ以上望んだらあなたを失うかもしれないと思う恐怖なんて、あなたにわかるはずがない

    「なぜ嘘をつけないか知ってる?人は守りたいものに嘘をつくの。あるいは守ろうとするものに。」

  • 面白かったです。
    人は守りたいものに嘘をつく。甘くも小さくもない嘘、でしたが。
    そして、淋しさは自分が一人で対処すべきもので、誰かに救ってもらえる類いのものではない…ここが、心に残ります。
    江國さんの描く結婚生活は、結婚って何だろう、と思うものが多いです。
    瑠璃子も聡も、外に恋人はいるけど、ふたりの家に帰ってくる。
    春夫はそうでもないのですが、しほがあまり好きでないのはわたしが女だからこのポジションの人が嫌なのか、と思いましたが、同じ江國さんの「落下する夕方」の華子には惹かれるので、単にあざとさも覚えるこのキャラの女の子に危険を感じているだけなのかもと思いました。
    この夫婦は夫婦であることを守れたかなと思います。トリカブトの出番はあったのだろうか。

    映画は中谷美紀さんと大森南朋さんが瑠璃子と聡らしいので観たくなりました。

  • 結婚生活3年目の瑠璃子と聡。
    特別仲が良くも、悪くも無く、変わらぬ毎日が流れていく。
    そんな中、それぞれ、夫とは、妻とは、違う相手と恋をすることになる。

    *****

    「浮気をしたら、私はその場であなたを刺す」と宣言したことがあるくらい、ある意味、聡に執着している瑠璃子。
    ただ、ある日出会った男性、春夫の前でと聡の前でと、熱っぽさというか、違う。

    「会いたかったわ」
    言葉が勝手に口をついてでた。

    「会いたかった。すごく会いたかったわ」
    予想外の出来事から、気持ちがあふれでるシーン。

    基本ぶれない女性の雰囲気だけれど、春夫との恋により、いくらか調子が狂わされているような。

    瑠璃子より狂わされているのは明らかに聡?
    恋にどんどんうきうきしていく聡と、静かに自分の恋に見切りをつける瑠璃子の対照的な姿が印象的でした。

    後半の方は瑠璃子を棚に上げて、「聡のバカ!」と何だかイライラしてしまいました…。
    可愛らしいしほに惹かれるのは分かるけれど、結婚までしたくせに何なんだ!って。
    恋と愛は別なのでしょうか…。
    不倫、浮気、ではなく、あくまでも“恋”としてそれぞれのストーリーが進む。
    この夫婦のラストの後も、何だか気になる。

    久々に江國香織作品を読んだのだけれど、面白かった。

著者プロフィール

江國 香織(えくに かおり)
1964年、東京生まれの小説家。1986年、児童文学雑誌『飛ぶ教室』に投稿した「桃子」が入選。2004年、『号泣する準備はできていた』 で、第130回直木賞を受賞。他、山本周五郎賞、中央公論文芸賞、川端康成文学賞、谷崎潤一郎賞など受賞歴多数。代表作として、映画化もされた『きらきらひかる』や『冷静と情熱のあいだ』など。女性のみずみずしい感覚を描く作家として、多くの読者を魅了している。また、小説から絵本から童話、エッセイまで幅広く活躍中。翻訳も手がけている。2019年5月2日、2年ぶりの長編小説『彼女たちの場合は』を刊行。

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