スイートリトルライズ (幻冬舎文庫)

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  • 幻冬舎
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レビュー : 452
  • Amazon.co.jp ・本 (234ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784344408203

感想・レビュー・書評

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  • 「嘘」がキーワードになっている小説。
    夫婦の瑠璃子と聡がそれぞれ不倫をするが、どちらの視点で考えるかによって見えてくるものが違ってきました。

    まず、瑠璃子視点で考えてみると
    「なぜ嘘をつけないか知ってる?人は守りたいものに嘘をつくの。あるいは守ろうとするものに。」

    →「嘘」をつくのはその相手を愛しているということなんじゃないかと思いました。瑠璃子は不倫相手の春男や友人のアナベラには真実を告げている、対照に聡には真実を話さない。愛する人にだけ嘘をつく、それがスイートなんだそう。


    聡視点で読んでみると 、
    不倫相手の「しほ」は素直で嘘がない。
    対照的に瑠璃子は嘘を持っている。
    嘘の無いしほと一緒にいることによって、嘘を持つ瑠璃子を愛していると実感できるようになる。


    不倫によって嘘があるから聡を愛せる瑠璃子と、
    不倫によって嘘を持つ瑠璃子の方が良いと愛を実感する聡。この二人にとって「嘘」は必要不可欠で、それこそ二人が愛し合う理由なのだと思った。だから絶対この二人は不倫をやめないと思う(笑)




    不倫ものでした。『四月になれば彼女は』という川村元気さんの小説を読んで「愛」とはなにかを考えさせられ、「恋愛系の本読みたいなぁ」と思っていて読んだ本です。

  • 夫婦がお互いに不倫するお話し
    前に読んだはずなのに登録されてなかったようだ

    基本的に僕は不倫は受け入れられないと思っているけど
    何故か江國香織の書く不倫モノは不思議と受け入れられるんだよなぁ

    「真昼なのに昏い部屋」でもそうだけど、奥さんは多分旦那さんの事を好きな気持ちは変わらないし
    そして恋人の事も好きなことも否定はしないんだよね
    瑠璃子さんはウソをついていない
    秘密や隠し事はあるけど、嘘はない
    これが大事なところ

    作中の一部
    「なぜ嘘をつけないか知ってる? 人は守りたいものに嘘をつくの。あるいは守ろうとするものに」
    という言葉が結構響いた

    そうだよね、嘘をついてまで守りたいものなんだよなぁ
    でも、そんなに守りたいんだったら嘘をつかなきゃいけないような状況にするなよとも思うけど(笑)

    瑠璃子さんの気持ちに嘘はない一方、聡さんの方は典型的な男の浮気で、その対比も面白い

    森博嗣の四季シリーズで、太陽と扇風機の例えをしてたけど
    瑠璃子さんは太陽型、聡さんは扇風機型なんだねと思って納得

    お互い、不倫しててもやはり相手のことは好きなところがいいよね

  • 江國香織さんの言葉は本当にきれいだなと思います。
    ふわふわ軽くて、しっとりしてる感じがします。

    「地下鉄の窓に映った自分たちの姿は、でもすくいがたくよそよそしく、おそろしく淋しかった」

    好きで一緒になったはずなのに、いつからかお互いの心が遠いところに行ってしまって、
    妻の瑠璃子は夫の聡と心中しようかと考えるまでになる。
    お互いがお互いに隠れて恋をして、でもそんな時彼らが1番に考えているのはじぶんの妻、夫のことで。
    しかしそれにお互い気づくことはありません。

    本文中の、嘘は守りたい人のためにつく、というところから2人はきちんと愛し合っているのに、気づかないことがとても淋しいなと感じました。
    江國さんらしい恋愛長編でした。

  • 結局、男は束縛を拒む生き物、女は束縛を好む生き物なのかなと思った。

    嘘は、大切にしたい関係性でつくもの、という考え方には、大人になった今なら納得できる部分もある。

    何が嘘で、何が真実なのか。
    自分の気持ちは、一瞬にして、嘘が真実になり、またその逆もあるのだと、瑠璃子や聡の心の動きの描写を読んで思った。

    夫または妻への愛情と、愛人への愛情。
    どちらも、その瞬間瞬間には、嘘ではなく、真実なのかもしれない。

  • さらりと書いてしまっている、ダブル不倫の話。
    瑠璃子と聡。
    あまりにさらりと書いてあるし、そしてさらりと読めてしまい、
    ダブル不倫が普通にあることかのような感覚に襲われた。
    瑠璃子の最後はちょっと意外だったけど、でも女ってどこかで急に割りきれるのかも?


    夫婦お互い秘密があるのは当たり前で・・・。
    お互いが大事だから嘘をつく。

    言えないことが一つあるほうが、他のことを話しやすい、という一節がある。
    その通りだと思う。
    それでうまくいくならそれでいい。

  • るり子と聡の結婚生活は、ものすごく静かで穏やかなのに、お互いの抱えている秘密は、ものすごく情熱を秘めている。
    なんかすごい空気が流れている。江國さんの技が冴えてる。

  • 江國さんの描く男性は、不思議と淡い。
    淡いけれど、今の時代の男性像にしっくりくる。
    そして、そんな男立ちと向かい合う女の心の内も。

    主人公と夫の距離感は、時折出てくる、夫の腕の中に入れてもらうという表現でよくわかる。
    「ふいに気がついた。愛ではなく飢餓だ」
    この言葉が頭から離れない。
    家庭という守られている場所の中にある孤独と飢餓は、この先も彼女につきまとうのだろうか。
    飢餓を癒す術はあるのだろうか。

  • たまたま再読。三、四年前に読んだ時よりおもしろい、るりこさんも聡さんも春夫さんもみんないいと思う。
    映画でも観たいと思った。嘘 の章の最後の方のシーンとか

  • なんとなくわかるような気がする話だった

  • めっちゃ好きな物語。
    すごく好きなセリフがあって、そのセリフを見たくて何回も何回も読んでる。

    どうしてあなたに嘘がつけないかわかる?このくだりがとても好き♡

  • 登場人物それぞれに、度々気持ちがシンクロして胸がざわつく。嘘を重ね合う夫婦が、不自然だとは思わない。これも一つの夫婦の形。

  • この日常に不満はない、と瑠璃子は思う。淋しさは人間の抱える根元的なもので、自分一人で対処するべきで、誰かに―たとえ夫でも、救ってもらえる類のものではない。瑠璃子と二歳下の夫、総。一緒に眠って、一緒に起きる。どこかにでかけてもまた一緒に帰る家。そこには、甘く小さな嘘がある。夫(妻)だけを愛せたらいいのに―。恋愛長編。(「BOOK」データベースより)

    ソラニンの毒であの人を殺せたらという物騒な考えも江國さんにかかれば可愛くみえる不思議。心の満たされない部分を楽しむ江國さんらしい小説。瑠璃子は自分の裏切りはよくても夫の裏切りには目をつぶるつもりはない。そしてソラニン。距離が近くなればなるほど相手の姿って見えにくくなるのかな。

  • 初読のときは救いがない2組だな、と思ったけど、
    もういちど読んでみれば、幸せな2人の話だった。

    2人は守りたいものに嘘をつくのだ。
    話が噛み合わなくても、長らく体の交わりがなくとも、
    そういったものはすべて春夫としほに外注し、
    2人は2人の良いところだけを、大事にしていくのだ。

    スイートな別の記憶、これは何の後ろめたいことのない、
    ただの分業なのだ。

    ただし、その手段が目的にすり替わってしまったときには、
    それはもうトリカブトしかないだろう。

  • こんなに愛しているのに…他の誰かに恋をする


    その気持ちを私も確かによく知っていると思う。







    私を芯から満たすヒトがいたから、落ち着いて読めたんだと感謝している。
    いつか私がそのヒトに、甘い嘘をつくとしても。

  • これを読んで結婚するということが
    すこし怖くなりました。

    秘密があったほうが夫婦関係はうまくいく。
    守りたいものにたいして嘘をつく。

    甘く小さなうそ。
    決して甘く小さくない嘘だらけだけど
    江國さんらしい作品。
    2時間もあれば簡単に読めちゃう一冊です。

  • 守りたいからうそをつく。それは別のひとを愛することと矛盾しないのだ、ということ。
    不穏だなあ。そして江國さんの不穏はとてもあらがいがたい。

  • 結果オーライなダブル不倫の話。見も蓋もねえ。
    帰ってきてから話すことのない夫と話したがる妻はなんかリアルだった。かと言って愛情が夫<妻なわけではないんだよなあ。

  • ダブル不倫の話。どこまでが嘘でどこまでが本当なのかわからない。そういったことが、静かに穏やかに書かれていて、きれいだけれど、おそろしい物語。

  • 夫婦になっても、瑠璃子のように夫を想っていなくても共感してしまう孤独。お互い不思議な違和感を感じながら浮気をしてでも守ろうとする相手との関係って何なのだろう。分かち合えないもどかしさが苦しかった。

  • クマのぬいぐるみを見たら、この小説を思い出してしまうかもしれない。
    出てくる誰もがおシャレで魅力的で優秀で・・・
    私の身近には一人もいなさそうな設定だけど、だからこそ、その熱い空気感を存分に吸い込みながら楽しめた。
    さすが江國香織さん。

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著者プロフィール

江國 香織(えくに かおり)
1964年、東京生まれの小説家。1986年、児童文学雑誌『飛ぶ教室』に投稿した「桃子」が入選。2004年、『号泣する準備はできていた』 で、第130回直木賞を受賞。他、山本周五郎賞、中央公論文芸賞、川端康成文学賞、谷崎潤一郎賞など受賞歴多数。代表作として、映画化もされた『きらきらひかる』や『冷静と情熱のあいだ』など。女性のみずみずしい感覚を描く作家として、多くの読者を魅了している。また、小説から絵本から童話、エッセイまで幅広く活躍中。翻訳も手がけている。2019年5月2日、2年ぶりの長編小説『彼女たちの場合は』を刊行。

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