まわれ映写機 (幻冬舎文庫)

  • 幻冬舎 (2007年2月6日発売)
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  • 本 ・本 (344ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784344409071

感想・レビュー・書評

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  • 「椎名誠」の映画への情熱と愛情が詰まった大河私小説『まわれ映写機』を読みました。

    『インドでわしも考えた』に続き「椎名誠」作品です。

    -----story-------------
    小学校で幻灯機を知った時、映画監督への道は始まっていた。

    「汝よ映画を作りなはれ」。
    アフリカで受けた神の啓示を実現してやろう!
    その日から、素人集団によるムボーな映画製作が始まった。
    僅かな予算、ロケハンなし、撮影スケジュール無視、連夜の宴会…。
    そうして誰もが完成を危ぶむ中、ようやく公開に漕ぎ着けた『ガクの冒険』は、予想外の大成功を収めたのだった。
    映画会社設立後の、記念すべき第一作『うみ・そら・さんごのいいつたえ』では、15万人もの人が観てくれた。
    そして、世界を飛び回りながら、撮りたいものを追い求めていた僕は、遊牧民と馬の交流を描いた『白い馬』に辿り着いたのだった。
    初めて幻灯機を手にしてから、名作『白い馬』を撮るまで。
    映画への情熱と愛情にあふれるタタカイのものがたり。
    -----------------------

    監督作品は、『うみ・そら・さんごのいいつたえ』と『あひるのうたがきこえてくるよ。』の2作品を観たことがありますが、どちらも印象深い作品… でも、その作品が産み出される背景には、いろんな苦労があったことがわかりました。

    まっ、本人も認めているように「椎名誠」というよりも、まわりが苦しんでいる感じですけどね、、、

    でも、「椎名誠」って、支えてくれる仲間に恵まれているんですよねぇ… それだけ魅力があり、求心力のある人物なんだろうなぁ。

    一度、会ってみたいですね。


    そして、本作品を読んでいると映画を撮りたくなってきますねぇ… しかも、デジタルじゃなくて、フィルムを使ってアナログな手法で、、、

    若い頃、映画を撮ることに憧れ、8ミリカメラを入手し、フィルムを購入し、映写機も入手したことがあったんですが、その頃のドキドキワクワク感を思い出しましたね。

    まぁ、そのきっかけは、フランス映画『シャルブールの雨傘』の監督として知られる「ジャック・ドゥミ」の映画への憧れに満ちた少年時代を描いた「アニエス・ヴァルダ」(「ジャック・ドゥミ」の奥さん)監督作品の『ジャック・ドゥミの少年期』を観たことだったので、、、

    影響されやすいのは、昔も今も同じですかねぇ。


    情熱と信念を持って取り組めば、きっと結果はついてくる… ということを改めて感じた一冊でした。

  • シーナ氏の映画にかける情熱が伝わってきます…が、シーナ氏自身、撮るのは好きでもあまり映画の方は観られないみたいですねぇ…個人的に「撮ること」には興味ないのでこの小説はそこまで僕の心の深い部分には刺さらなかったですかね…。

    ヽ(・ω・)/ズコー

    決してつまらなくはなかったんですけれどもね! 映画というか、カメラフェチ? なシーナ氏の一面を知れる本でした…おしまい。

    ヽ(・ω・)/ズコー

  • あー、こんな仲間と時間を共有してみたい。椎名さんが幼い頃に“幻灯機”というものに出会って、「物を映写する楽しさ」にとりつかれて、青年時代に8mmで無認可保育園のドキュメンタリー映画を撮るまでを描く第一部と、長じて発作的に映画「ガクの冒険」を撮った時の事を描いた自伝的小説。「ガクの冒険」から20年も経つのかぁ。椎名隊長の突然の思いつきに振り回されて映画を実現させていく当時のドレイである彼らと私は同世代な筈で、「本の雑誌社」の伝説的怒涛のアルバイト募集も目にしていたから、ひょっとしたら自分も近場に居られたかもしれないと思うと、悔しいなぁ。現実には「やってられないよう」な状況なんだろうけれど。文庫解説の沢田さんの言葉は、なんだか「なるほど」と思わせる。曰く「椎名の魅力、不思議さ、というのは実はどうもそこらへんにあって、どうしても僕らは彼の欲望を実現させてあげたくなってしまうのだ…」リーダーシップと発想力、そしてこの人間的魅力が椎名さんなんだよなぁ

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著者プロフィール

1944年生まれ。作家。1988年「犬の系譜」で吉川英治文学新人賞、1990年「アド・バード」で日本SF大賞を受賞。著書に「ごんごんと風にころがる雲をみた。」「新宿遊牧民」「屋上の黄色いテント」「わしらは怪しい雑魚釣り隊」シリーズ、「そらをみてますないてます」「国境越え」など多数。また写真集に「ONCE UPON A TIME」、映画監督作品に「白い馬」などがある。

「2012年 『水の上で火が踊る』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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