檸檬のころ (幻冬舎文庫)

著者 : 豊島ミホ
  • 幻冬舎 (2007年2月1日発売)
3.78
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  • 本棚登録 :1835
  • レビュー :241
  • Amazon.co.jp ・本 (283ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784344409224

作品紹介

保健室登校の女友達とのぎこちない友情。同級生と馴染めない、音楽ライター志望の偏屈な女子に突然訪れた恋。大好きな彼とさよならすることになっても、どうしても行きたかった、東京-。山と田んぼに囲まれた田舎の高校を舞台に、「あの頃」のかっこ悪くて、情けなくて、でもかけがえのない瞬間を切ないまでに瑞々しく綴る、傑作青春小説。

檸檬のころ (幻冬舎文庫)の感想・レビュー・書評

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  • タンポポのわたげみたいだね…女子高生のゆるい友情。ここが分かれ目みたいなピンポイントで友を救う。
    金子商店の夏…弁護士を諦め商店を継ごうかという気持ちが諦めとは違う形で揺れながらもまとまっていく。
    ルパンとレモン…本当は好きなのにそれを行動で表すことができないために自然消滅する恋愛。しかも友だちがその子に接近するジレンマ。自己犠牲が素直な気持ちの邪魔をする。
    ジュリエット・スター…ロウソクが印象的だった。ロウソクのこんな利用法もあるのかと思ったが自分にはもはや関係ないのかと思うと羨ましいような寂しいような複雑な気持ち。
    ラブソング…すごい歌詞が生まれる瞬間の感情の爆発が伝わってきた。そしてその歌詞を耳にした人が感情を共有する素晴らしさ。多分経験から生まれた歌詞ほど人の心を強く惹きつけるのだろう。
    担任稼業…小嶋、なんともいいキャラ。目に涙をためるシーンは女の子らしくて好きだ。
    雪の降る町、春に散る花…評価はこの作品。大学進学のため別れる二人、別れが迫っていることを意識しながら最後の時を共にする。誰もが必ず別れを経験する。無情な瞬間は確実にある。それでも著者の性格なのか丁寧で優しさあふれる文字が読む人を暖かく包み込む。悲しさも包まれる。

  • 初めて豊島ミホさんの小説を読んだ。ただ、思ったより豊島さんがすごく若い頃に書かれていた小説ですこし驚いた。

    青春の甘酸っぱさが詰まっている、と言ったらかなり安っぽく聞こえてしまうかもしれないが、「檸檬のころ」というタイトルがぴったりだな、と思った。

    特に好きなエピソードは「雪の降る町、春に散る花」。加代ちゃんは他のエピソードでも出てきているけれど、この回の加代ちゃんには、胸が締め付けられた。加代ちゃんと佐々木くんのピュアな恋愛にはほっこりしてしまう。
    加代ちゃんが「田舎には何もない、東京に行かなくちゃいけない」と決めたけど、加代ちゃんの東京での新たな生活もどうなったのか気になった。
    私自身、加代ちゃんと同じように「海外に行かなくちゃいけない」と出てきた。だからこそ、余計に東京に行ってからの加代ちゃんが気になったのだと思う。

  • 文章は口語的で平易。この本から学べることは何一つないと思う。ただ素敵な学生生活を過ごせなかった大人が感傷に浸るには十分な一冊。あときびすめっちゃ返す。

  • 「私こんな青春しなかった!!!」と、どこか悔しく思いながらも「高校生の青春ってこんな感じだよね!」と感じる一冊。
    これはエンディングじゃなくて、彼らの物語はまだ続くんだ、と思います。

  • 「『地味な人なりの青春』を、いつか書きたいと思っていました」(著者のあとがきより)

    「豊島ミホは、ふつうをかがやかす達人である」(高橋敏夫さんの解説より)

    田舎の高校を舞台にした、ごくふつうの人たちの人生のひとときが描かれる短編集。でも、その一つ一つが「ふつう」なんかじゃなく、どれもが「特別」な輝きを放って見えるのは、やはり豊島さんの作品だからこそなんだと思います。どの登場人物たちにも感情移入できる。できることなら、彼ららしく笑っていてほしいなって思ってしまう。そしてふと、自分自身の高校時代を思い出して、あの頃の甘さも苦さも思い出して、まさしくそれが“檸檬のころ”だったんだと痛感させられて。いやはや、すっかり豊島作品のとりこですね、私。

    世の中の大半の人は、みんな「ふつう」なんです。でも、その一つ一つが、それぞれの個性を紡いでいる。そういう意味では、みんな「特別」なんです。唯一無二だからこそ、誰だって輝ける。輝き方すら人それぞれなんだから、自分の人生を真っ直ぐ生きればいい。

    いろんな人たちの“檸檬のころ”を見つめて感じた、私の今の想いです。

  • 私にとって2冊目の豊島ミホ。ある高校を舞台とした、連作短編集。
    思春期真っ只中の少年少女が主人公の話と、彼らの周囲にいる大人を語り手とした話があるが、大人がメインに据えられた話でも結局彼らは狂言回しにすぎないものが殆ど。大人が主人公なのは「金子商店の夏」くらい。
    しかしほんとこの著者は思春期の一場面を眩く切り取るのが巧い。読んでいるともう遠い昔になったあの頃の感情が蘇って、時折胸が痛くなる。
    どれもよかったが、特に印象に残ったのは「金子商店の夏」「ルパンとレモン」「ラブソング」 。

  • うーん!甘酸っぱい!!きゅんきゅんする。連作短編集なのだけど、特に最後の「雪の降る町、春に散る花」が素晴らしい。同じ経験と同じ感情、持ったことがある人はたくさんいるんじゃないかなあ。とにかく甘酸っぱい!タイトル通りの一冊でした。

  • この作品を原作とした映画が地元で撮影されたと聞いて、興味を持ってずいぶん前に購入した本です。
    多分高校入りたての頃だったかなと思います。
    その頃読んだときは全然面白くなくて1回読んだきり本棚の奥にしまいこんでしまった本でした。

    今回改めて読んでみると、なかなか素敵な作品じゃないか!と思いました。
    短編集といえば短編集なのですが、私には全てで1つの物語のように感じられました。
    当時読んだときは高校生の恋愛の短編集というイメージが強かったのですが、それだけじゃなかった。
    このノスタルジックな感じは今になってやっとわかるものだなぁと思いました。

    高校生が羨ましくなります。
    出会いも恋も別れも受験勉強も、なんだか全部羨ましい。
    きらきらした青春を見たような気がします、合間合間主人公に置かれる大人たちと一緒に。
    昔、よくわからなくて全く感情移入できず好きじゃなかったこの本を「良い作品だなぁ」と思い、そう思えたことを実感すると同時に私も大人になってしまったんだなぁとちょっぴり切なく思いました。

    まさに「檸檬」のように甘酸っぱい作品でした。
    ただし、フルーツのレモンじゃなくてレモンの香りのリップクリームのような匂い。
    今だからこそおすすめできる作品です。

  • 2018.1.5-
    「タンポポのわたげみたいだね」
    やえちゃんを思い出しながら読んだ。
    当たり前の日常は、今となってはキラキラした期間限定の青春そのものだったな。

    「金子商店の夏」
    夢を諦めるときの、胸がじりじりするようなフワフワ居場所なく浮いてるような、居心地悪い感覚。
    でも人生は1回。
    軌道修正はいつだって可能なはずだ。

    「ルパンとレモン」
    少しわかってしまう。加代子の感情、接し方、居心地の悪さと居心地の良さ。まさに甘酸っぱさ。

    「ジュリエット・スター」
    高校の頃の、かわいくて小さくてちょっと魔性さもある同級生を思いながら読んだ。あの頃と少し、違った形で高校時代を楽しんだら、こんな青春もあったのかな。いや
    でもあの頃があるから今がある。
    寮生活が懐かしい。

    「ラブソング」
    切ないね~
    胸が痛いくらい切ないね。
    でも、いい恋をするって、素晴らしい。

    「雪の降る町、春に散る花」
    これは、色ーんなことを思い出させてくれた。
    大学合格を知った瞬間、一緒に受けた友達が補欠合格だったこと、高校に伝えに行ったこと、友達と報告しあったこと、向こうで住む場所や家具を探したこと、親と離れる瞬間、母がいつも握手を求めてきたこと、父はすんなり帰ったこと笑、両親をお店に連れていったこと、愛犬もいつも一緒に来てくれたこと、階段から愛犬が落ちたこと。。止まらない。笑

  • 作者はあとがきで“地味な人なりの青春”を書きたかったと述べているが、私も学生時代その“地味な人”だったために、登場人物に自分を重ねられる部分が多く、最初から最後まで胸が苦しかった。当時はあまり自分が青春できている感覚が無かったけれど、今の時点から当時を振り返って見ると、あれは青春で、檸檬の頃であったのだなあと思う。
    かなり好きな作品でした。

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