孤独の賭け (下) (幻冬舎文庫 こ 19-3)

著者 :
  • 幻冬舎
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感想 : 7
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  • Amazon.co.jp ・本 (310ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784344409279

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  • 百子は、デザイナーの展示会で衝撃的な演出をおこない、人々の注目を浴びます。しかしその一方で、前巻の最後で百子の部屋に押しかけてきた美香は、「ボヌール」の縫子の信子と交際していた不良学生と関係を結ぶようになり、百子を苛立たせます。

    さらに、梯二郎とは違い陰険な氷室とのやり取りは、百子を消耗させます。そんな中、彼女は梯二郎から任されたバーで働く柏田という男だけは、そんな彼女の焦りを理解しますが、けっきょく両者の生き方には大きな隔たりがあったのか、2人の運命は一瞬交錯するだけで、百子を変えることはありません。

    その一方で、梯二郎は不況のために資金繰りが立ち行かなくなり危機に陥りますが、彼が成功すると信じて疑わない百子は、彼の破滅をまったく予想していません。物語の最後では、そんな彼女の前に、かつてビジネスの師として振る舞っていた梯二郎が、尾羽打ち枯らして姿を見せることになります。しかし百子には、以前とはすっかり変わってしまった梯二郎の要求を拒み、かつての彼と同じのようにビジネスの世界へと突き進んでいく以外の選択肢はありませんでした。

    ストーリーの構成とテーマが緊密なので、一気に読み終えることのできる満足感はありますが、もう少し遊びというか、余裕がほしかったという気がしてしまいました。

  • 一つのドラマを見たようだ。人間ドラマを描くには、当然ながら、役者一人一人の心理を違和感なく表現させた完成度の高い脚本が求められる。奔放ながら強い自我を持ち、尚且つ容貌に恵まれた登場人物のセリフ、行動とは。さて非常に上手く描ききったものである。

    成り上がりのサクセスドラマ。更に飛躍した野望は果たせるのか。

  •  最後の場面は、何か救いがたいものを感じさせる。この物語は最終的に、百子は千種との賭けに勝利して、彼女が勤めるボヌールは大繁盛した。それとは対照的に、千種がこれまで心血を注いだ観光業は、社会の不景気化によって、失敗に終わった。
     また、物語の終盤、信子が自ら命を絶つ場面は、百子と信子それぞれの性格を色濃く反映している。百子のように、精神的にたくましく自立した人間と、信子のような精神的に不安な人間と、弱肉強食社会を象徴してるように見える。人間には、過酷な環境下でも一定の成功をなす者がいる一方で、自分ひとりでは何もできず、他人の力を頼らないと生きていけない人もいる。本作はこのように、さまざまな人間社会を縮図にした物語として読める。

  • 読書期間:4/26~5/19
    上・中・下とあったわりにはけっこう読みやすかったです。
    時代設定もまだ生まれる前だという頃なのに、お金の価値をのぞけばそっくりそのまま現代に応用できるという驚きの内容でした。


    ていうか、いつの時代になっても永遠のテーマって感じで男と女。欲と金。とても見事に描かれてました。
    ドラマのほうでは、ハセキョーちゃんが頑張ってますね~~。

    千種役には伊藤英明って意外でしたけど、あの髪型で見事にハマってますな。


    ただ結末はちょっと物悲しい終わり方だったんですよね。
    ドラマではどんな風になるんでしょうか。





    それ以外の配役としては、青田典子がイメージとして妙にはまっててツボです(='m')

    しかしドラマったら最後の最後でまさか千種があんな結末を迎えるとは・・・!!


    ラスト、百子が勝ち組(厳密にはタイトルの通り、孤独な感じで勝ち組とはいえないんですが・・・)、千種が負け組って感じになって、でも原作では百子と千種は会えないままに終わってしまってたんです。

    だから、こんな結末におさまったんでしょうか。
    だとしても、ちょっとかわいそう・・・

  • 野心、野望の果てに行き着くところは。信じられるものは金だけななか。人間が自らの制度、仕組みとして造った金に翻弄される様はまことに愚かと言うしかない。

  • そして、物語は終盤へ、百子の従妹である美香が登場する。美香のする行動には少し哀しみが芽生えてくる。そして百子にも少しずつ影が出て来る。結果的なもので言うなら、こういう結末でありなのかと言うことであろう。
    それぞれの人の運命はどうなるのか。
    人間の闇を描いた作品の中ではかなり
    いい部類に入るのではないかと思います。

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