- Amazon.co.jp ・本 (310ページ)
- / ISBN・EAN: 9784344409279
感想・レビュー・書評
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百子は、デザイナーの展示会で衝撃的な演出をおこない、人々の注目を浴びます。しかしその一方で、前巻の最後で百子の部屋に押しかけてきた美香は、「ボヌール」の縫子の信子と交際していた不良学生と関係を結ぶようになり、百子を苛立たせます。
さらに、梯二郎とは違い陰険な氷室とのやり取りは、百子を消耗させます。そんな中、彼女は梯二郎から任されたバーで働く柏田という男だけは、そんな彼女の焦りを理解しますが、けっきょく両者の生き方には大きな隔たりがあったのか、2人の運命は一瞬交錯するだけで、百子を変えることはありません。
その一方で、梯二郎は不況のために資金繰りが立ち行かなくなり危機に陥りますが、彼が成功すると信じて疑わない百子は、彼の破滅をまったく予想していません。物語の最後では、そんな彼女の前に、かつてビジネスの師として振る舞っていた梯二郎が、尾羽打ち枯らして姿を見せることになります。しかし百子には、以前とはすっかり変わってしまった梯二郎の要求を拒み、かつての彼と同じのようにビジネスの世界へと突き進んでいく以外の選択肢はありませんでした。
ストーリーの構成とテーマが緊密なので、一気に読み終えることのできる満足感はありますが、もう少し遊びというか、余裕がほしかったという気がしてしまいました。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
一つのドラマを見たようだ。人間ドラマを描くには、当然ながら、役者一人一人の心理を違和感なく表現させた完成度の高い脚本が求められる。奔放ながら強い自我を持ち、尚且つ容貌に恵まれた登場人物のセリフ、行動とは。さて非常に上手く描ききったものである。
成り上がりのサクセスドラマ。更に飛躍した野望は果たせるのか。 -
野心、野望の果てに行き着くところは。信じられるものは金だけななか。人間が自らの制度、仕組みとして造った金に翻弄される様はまことに愚かと言うしかない。
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そして、物語は終盤へ、百子の従妹である美香が登場する。美香のする行動には少し哀しみが芽生えてくる。そして百子にも少しずつ影が出て来る。結果的なもので言うなら、こういう結末でありなのかと言うことであろう。
それぞれの人の運命はどうなるのか。
人間の闇を描いた作品の中ではかなり
いい部類に入るのではないかと思います。