Q&A (幻冬舎文庫)

著者 :
  • 幻冬舎
3.30
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本棚登録 : 5960
感想 : 691
  • Amazon.co.jp ・本 (382ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784344409361

作品紹介・あらすじ

都下郊外の大型商業施設において重大死傷事故が発生した。死者69名、負傷者116名、未だ原因を特定できず-多数の被害者、目撃者が招喚されるが、ことごとく食い違う証言。防犯ビデオに写っていたのは何か?異臭は?ぬいぐるみを引きずりながら歩く少女の存在は?そもそも、本当に事故なのか?Q&Aだけで進行する著者の真骨頂。

感想・レビュー・書評

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  • それでは、これからあなたに幾つかの質問をします。ここで話したことが外に出ることはありません。正直に、最後まで誠意を持って答えることを誓っていただけますか?
    『はい。誓います。』
    まず、あなたのお名前と読書歴、一番好きな作家さんを教えてください。
    『「さてさて」です。読書を始めて約半年、恩田陸さんから読み始めて、最近好きな作家さんがどんどん増えています。』
    あなたは、半年前からブクログに大量に感想を書いていますが、よくそんなに時間がありますね?
    『はい、睡眠時間がどんどん削られていっています。毎日ただただ眠いです。』
    そんな状態で翌日の仕事には影響しないんですか?
    『この前、上司に別室に呼ばれて、最近ぼーっとしているんじゃないか、しっかりしろと叱られました。』
    そこまでして、読書は楽しいのでしょうか。
    『うおおおっ、という作品に出会うと眠さも吹き飛ぶような気がします。』
    そうですか。ところで、今日は、「Q & A」という作品を読んだそうですが、どんな作品でしたか?
    『12人の老若男女に順に質問と回答を繰り返して、どんどん真実に迫っていくという凝った作りの作品でした。』
    なるほど。まるで、このレビューみたいですね。
    『はい、ずっとこういう形式でレビューを書いてみたかったんです。』
    それで、どんなストーリーですか?
    『舞台は、旭が岡という街のスーパーマーケット・Mで、有毒ガスが発生して、負傷者が多数発生したそうなんです。』
    もう少し具体的に教えていただけますか?
    『ええ。まず、ショッピングセンターで毒ガスが撒かれたらしいんです。』
    毒ガスが撒かれた?それは物騒な話ですね。
    『物騒すぎますね。それで、建物の中では、人々が逆流し始めたんだそうです。辺りが有害物質に汚染されているのではないか、もしかしてここにいてはいけないのではないか。恐怖は伝染しますから、誰かが走り始めるとみんなが走り始める。そのうち、車を残して、逃げ出す人が現れました。映画の場面みたいだったそうなんです。』
    凄い人数だったでしょうね。
    『ええ。二時過ぎ頃、店内には一フロア平均で五、六百人からの客がいたそうです。少なく見積もってもざっと四千人近くが建物の中にいたそうです。』
    亡くなった方もいるのでしょうか。
    『最終的に死者六十九人、負傷者百十六人にまで膨れ上がったんだそうです。』
    それは、とんでもない事故ですね。
    『ええ。ただね、事故なのか、事件なのか、それすらちっともわからないようなんです。何が原因で混乱に陥ったのかも分からない。』
    なるほど。
    『でもね、もっと気になることがあるんですよ。』
    もっと、とはどういうことでしょうか?そう言われるととても気になりますね。
    『いえね。消防士が言うには、どこをどう捜しても、あの時のMの店内には、火災はおろか、何かのガスの発生した痕跡、もしくは何かの事故が起きたあとは全くなかった。言い換えれば、彼らが死ぬべき原因はどこにも見つからなかったと言ってるらしいんですよ。』
    それは、まさしくミステリーですね。
    『そう思うでしょう。でも、そう思って読んだ方は必ず結末に失望して☆一つをつけられるんですよ。』
    この作品は、ミステリーじゃないんですか?
    『ええ。全否定はしませんが、これは恩田さんの作品なんです。』
    どういう意味ですか?
    『話を膨らませるだけ膨らませおいて、結末で読者を突き放すということです。』
    はあ?
    『恩田さんの作品は、読書の過程を楽しむものだということです。』
    なんだか、おっしゃっていることがよく分からないんですが?
    『この「Q & A」の中で恩田さんは次のように書かれています。「事実と呼ばれているものだって、嘘をつく。事実はいっぱいあるってことを認識するしかない。人の目の数だけ事実はある」。わかりますか?』
    つまり、結末は読者それぞれが考えろということですか?
    『そうです。読者の数だけ結末があるなんて素晴らしいじゃないですか。そう思いませんか?いやあ、とっても面白かったですよ。』
    なんだか、とても評価されていらっしゃいますね。他の人にも読むのを薦めますか?
    『もちろんです。こんな風に質問と回答の繰り返しだけで、最後まで飽きさせないって、凄いことだと思いますよ。』
    ところで、ここだけの話にしますから、結末をちょっと教えてくださいよ。
    『ネタバレと二度漬けは禁止ですからあ。』
    いやいや、串カツの話ちゃいますからあ。
    『同じようなもんでっしゃろ。』
    なんで関西弁になってんねん?
    『先言うたん、あんたやん。』
    このレビュー、結構長くなってきてるんですから、脱線しないでくださいよ。
    『どの口が言うてんねん。』
    では、最後にもう一つだけ聞かせてください。今回、「Q & A」の書き方を真似してレビューを書かれましたが書いてみてどうでしたか?
    『いやあ、ただただ恩田さんの才能に感服しましたよ。真似しても書けるもんじゃないって思いました。恩田さんにはビールの呑み比べでもとても勝てそうにないし、あらゆる意味で完敗ですよ。凄い人だ、恩田さんって。』
    まあ、そんなに肩を落とさないでください。
    『冗談ですよ。恩田さんの作品もこれで40冊目になりました。完読したらサインをもらいに出かけようと思います。ハハハハハ。』
    はあ。もっときちんとレビューを締めてくださいよ。これじゃあ、ここまで読んでくれた方に申し訳ないでしょう?
    『そうですね。この作品は、質問に回答する老若男女それぞれについて、我々が期待するそのキャラクターの個性を巧みにずらすことで、不思議なギャップを生み出していました。そして、スーパーマーケット・Mで発生した事象について多彩な視点からそれを上手く描き出し、作品冒頭からは全く予想もつかないまさかの結末に向けて非常に練り上げられた作品づくりがなされていたと思いました。恩田さんの作品は、結末がどうこうではなくて、その雰囲気感に浸って読書の過程を楽しむのが魅力だと思っています。この作品では、12人の老若男女それぞれに垣間見える個性、そしてその回答から少しずつ真実へと近付いていく過程、そしてそれらが織りなす巧みな連鎖を存分に味わわせていただけたと思います。そう、これはミステリーではありません。そう、これはハッキリした結末を期待してはいけません。このことさえ理解すれば、とても面白く、とても楽しい読書の時間を過ごすことができます。これは、そういう作品だと思いました。』
    なるほど。よくわかりました。本日はどうもありがとうございました。

    • miomsさん
      とても面白いレビューでした!
      読みたくなりましたが、「結末を期待してはいけない」ということで読みたい気持ちが若干しぼみました笑
      が、読むと思...
      とても面白いレビューでした!
      読みたくなりましたが、「結末を期待してはいけない」ということで読みたい気持ちが若干しぼみました笑
      が、読むと思います。ありがとうございました。
      2021/05/03
    • さてさてさん
      miomsさん、こんにちは。
      構成がQ&A形式というとても面白い作品でした。思わずレビューも合わせてみるとこうなりました。恩田さんの作品は結...
      miomsさん、こんにちは。
      構成がQ&A形式というとても面白い作品でした。思わずレビューも合わせてみるとこうなりました。恩田さんの作品は結末というより、作品のふんいきを楽しむものが多いと思いますので、この作品もその視点から読めばとても面白いと思います。そもそもQ&Aで展開する小説というだけで他にはない経験ができるかと思います。
      2021/05/03
  •  本当に君の悪い小説でした。もちろん褒め言葉です。何が何だかわからない状態で読み進めました。起こっていること自体はわかるけれども、何かしっくりこない。終始そんな感想でした。




    以下ネタバレ含みます。

     結論として犯人はいません。強いて言うなら政治の陰謀が犯人なのですが、あとは人間の弱い心が全ての原因です。いっそのこと凶悪な犯人や猛毒によるテロの方がよかったと思えました。

     事件はすでに過去のことになっていますが、話が進む中で2時災害がどんどん起こります。特に最後の奇跡の少女の人生は悲惨と言わざるを得ないものでした。最後には自ら死を選び物語が終結します。悲惨な開幕、腑に落ちない真実、そして絶望に満ちたラストと終始嫌な部分が浮き彫りになっていました。



     何度も言いますが、ここまでのマイナス評価は全て褒め言葉です。本書に出会えてこんな本を探してたんだと思いましたし、恩田さんの作品はもっともっと読んでみたいと思いました。

  • 大型ショッピングセンターで起こった惨事。死者69名、負傷者116名もの被害者を出したにもかかわらず、原因は特定できず、それどころか、「あの日そこで何が起こったのか」ということさえわからない、という。
    事件なのか事故なのかさえ、わからない。って、そんなことがあるのか、と、そこだけでざわざわする。
    問う者、と問われる者のやり取りだけで話は進む。しかも、問う者が誰なのか、その意図も、わからない。わからない尽くしのまま話は最終章へ。もやもやが頭と胸に積もったまま小説は終わる。
    たまたま偶然が重なって、そこにいた人々の中にあったそれぞれの「恐怖」に火が付いたのか、あるいはなにか大きな力による陰謀なのか、あるいは、テロなのか。
    あの日起こったことはあの日で終わっていない。そこから始まった物語の中でそれぞれの人生は続いている。あの惨事によって変わった何かのそばで。

  • うーん。
    恩田陸さんの作品は初めて読んだが
    どうしても終わり方に納得ができない。

    最後の章?だけ別の小説を手に取っているような
    感覚。

    ただ、会話形式のみでここまで想像力を
    膨らませる文章が書けるのは素晴らしい。

    他の作品も手に取ってみて、
    この本の評価を再度確かめてみたい。

  • あれはいったいなんだったんだろうとか、誰がやったんだろうとか、以外と現実世界でもことの真相がはっきりしていないことって多いなと改めて思わせる作品だった。
    願わくば先述したことが善意や良いことだけに起こってほしいと思う今日この頃である。

    この本たくさん考察できそうな気がする。
    なんかふと気になったことを書いてみる
    ※以下若干物語のネタバレ要素含むので読んでくださる方は注意してください。

    商業施設の名前は「M」。最後の方で虫かごを踏みつける話があるけどこのMって箱を真上から踏みつぶしたような形になってるよね

    最後教祖様と会っていた人は実は教祖様に押し戻された子の親なんじゃないか、、、

    パニックで人を○せるようになればコスパ上がるよね。同調圧力や周りの目に押しつぶされたり、流されないようにしたい。

    てか恩田さんってこういう類の本もお書きになるんやなぁー
    面白い。

  • 普通の小説ならば相手の表情や様子・主人公の感情などの情景描写によって気づくのであろう展開の急転が一切排除されているので、ミステリーの持つ「人間の怖さ」が人物の会話後半に一気に明らかにされる。

    現実世界でもそうだが口先だけ良い人は沢山いて、情報がない中でその裏に潜む本質を解き明かすのは非常に難しいんだろう。

    善人の面を被って怪しいカルト集団を作り上げる女性や、サラリーマンのフリをして真相を知る者の口封じを実行する男の会話なんかは、予想もつかない展開で、ありきたりなホラー映画よりもよほど恐怖を感じた。

  • Q&A方式で進展していく斬新さ!それ故に登場人物の感情の変化というものが感じ取りやすかった!
    この本を読んで感じたのは、この事件は実際にありそうで恐い!内容に関しては、読み進めていくうちに色んな情報が混ざりあって複雑になってしまうところもあったがもっともっと読みたくなってしまう!
    この事件で様々な説など挙げられるが、明確な原因はなく集団パニックによるものとされているが、なんだか釈然としない。
    また、この事件を経験し、変わり果ててしまった人の所は鳥肌が立ってしまった、、、
    これは凄く読み応えのある作品だと思います!

  • デパートMで起こった謎の多い事件がQとAで進む展開。
    なにこれ…変っている…。

    静かで不気味で、気味が悪い。不穏。
    何が起こってるのか分からない恐怖。今、世の中にある分からない事件がたくさん思い出される。

    トラウマ、PTSD、宗教、カルト、神、自我・真理、光と闇、今と未来…。

    読めば読むほど胸騒ぎ…。なんだろうこの感覚。
    でも読んだあとも、後味が悪くて忘れられない本。
    不可解な世の中の、不可解な作品。

    身近で感じる穢れ、見えない恐怖。『死』について書かれているのかも。

  • タイトルが表しているように、すべてがダイアローグ

    前半は都内のある大型スーパーで起きた謎の惨事に関わった人たちへの取り調べで、後半は惨事に関わった人たちのその後
    後半はそれぞれが短編のミステリーのようで面白い

    まだSNSがなかった頃だから、現代だったらもっとシュールでもっと悲劇的かも

    恩田先生らしい作品

  • 久しぶりに1日で読み終わった本、サクサクと読めて次々に現れる登場人物と質問者の会話が小気味いい、そして恐ろしい

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著者プロフィール

1964年生まれ。92年『六番目の小夜子』でデビュー。『夜のピクニック』で吉川英治文学新人賞と本屋大賞、『ユージニア』で日本推理作家協会賞、『中庭の出来事』で山本周五郎賞、『蜜蜂と遠雷』で直木賞と本屋大賞を受賞。その他『木漏れ日に泳ぐ魚』『消滅』『ドミノin上海』など著書多数。

「2021年 『SF読書会』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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