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本 ・本 (328ページ) / ISBN・EAN: 9784344409422
感想・レビュー・書評
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映画が好きな人に、貸したくなる本だった。
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私は大勢で集まって大騒ぎをするのも決して嫌いではないが
一人きりでいるのも大好きだ。
が、
大勢でいると、しんどく感じる時もあるし、一人でいると寂しいな…と感じる時もある。
一体どうなんだろう?
この我儘な自分の心を満足させてくれそうな記事がここにあった。
>一人でいることは必ずしも寂しい事だけでは無く
楽しみや喜びにも繋がるものだ。
『単独』は『孤独』と同じ事では無い。
しかし
「ひとりきり」でいる事が「楽しみ」を生み出す為には
その状態を側面から補ってくれるものが必要となる。
それは、
離れて住んでいるとしても、どこかで繋がっている家族の存在であり、
会おうと思えば、いつでも会える友人の存在であり
いざと言う時、助けてもらえる隣人の存在であろう。
このうちのひとつかふたつの存在さえあれば、
「ひとりきり」が「楽しみ」につながる可能性は充分にあるのだ。
本書は映画評であるが
いい映画を観た後はしばらく席を立ちたくない。
あの余韻に浸っている時に心の底のほうから湧いてくる言葉のように心地よく読みやすい本だった。
いつかGETしなくては。 -
沢木耕太郎の映画エッセイ集『世界は「使われなかった人生」であふれてる』を読みました。
沢木耕太郎の作品は、2年前に読んだ『不思議の果実―象が空を〈2〉』以来ですね。
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「使われなかった人生」とは何だろう。
それは、いまここにある自分の人生でなく、もう1つの可能性として「ありえたかもしれない人生」にほぼ等しい。
しかし、それら2つの言葉の間には微妙な違いがある。
「ありえたかもしれない人生」には手の届かない夢といった意味合いがあるが、「使われなかった人生」には具体的で実現可能な人生という意味が込められていると、著者は言う。ほんのちょっとした決断や選択で、手に入れられなかった人生。
著者は、歳をとるにしたがって、いつの間にかそんな「使われなかった人生」を映画の中に探し求めるようになったという。
ここに収められた30編の映画時評と映画にまつわるエッセイ2編では、いわゆる強くて格好いいヒーローやヒロインが主人公の映画は取り上げられていない。
スクリーンを見つめる著者の目に留まるのは、目の前にいる少年の才能にかつての自分を投影した中年女性であり(「出発するための裏切り」)、異国の町で自らを覆っていた殻を破った女性であり(「天使が砂漠に舞い降りた」「父に焦がれて」)、かつて恋心を抱いた女性と再会した初老の男(「飛び立つ鳩を見送って」)であったりする。彼らにとって、「使われなかった人生」は未来と同じ重みを持っている。
著者は、そんな彼らを静かに見つめている。
ときに冷静すぎるほどの抑制された筆致をもって。(文月 達)
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家庭向け総合生活雑誌『暮しの手帖』に連載された『映画時評』から30篇を選んで、2001年(平成13年)に刊行された作品です。
■世界は「使われなかった人生」であふれてる
■出発するための裏切り
■薄暮の虚無
■にもかかわらず、よし
■飛び立つ鳩を見送って
■天使が砂漠に舞い降りた
■焼き払え!
■最後まで降りられない
■官能的にしてイノセント
■不可視の街で
■敗残の可能性
■海を待ちながら
■郷愁としての生
■もう終わりなのかもしれない……
■行くところまで行くのだ
■悲痛な出来事
■プレスリーがやってきた
■水と緑と光と
■滅びゆくものへの眼差し
■貧しさと高貴さと
■切れた絆
■老いを生きる
■新しい世界、新しい楽しみ
■わからないということに耐えて
■男と女が出会うまで
■ひとりひとりを繋ぐもの
■懊悩に沈黙が応える
■笑い方のレッスン
■夢に殉ずる
■父に焦がれて
■神と人間
■そこには銀の街に続く細い道があった
■あとがき――心地よい眠りのあとで
「使わなかった!」と意識したとき、初めて存在するもうひとつの人生。あのとき……別の決断を下していたら――。
去りゆく女性を引き止めることができなかった初老の男、肉親以上に愛情を注いだ弟子に裏切られてしまう中年女性……透徹した眼差しで作品の本質をつき、そこから浮かび上がる人生の機微を抑制の利いた筆致で描く全30篇の映画評。
沢木耕太郎のモノの見方や価値観って独特で、それが好きなんですよねー 一般の映画評論家とは異なる沢木耕太郎の視点で語られる映画に対する評価を愉しめる一冊でした、、、
好きな作品が良い評価を得ていると、やはり嬉しいもので……『マイ・ライフ・アズ・ア・ドッグ』や『バグダッド・カフェ』、『スピード』、『許されざる者』、『青いパパイヤの香り』、『友だちのうちはどこ?』、『ロッキー』 等々、ジャンルや時代はバラバラですが、久し振りに観たくなりましたね。
観たことのない作品では『オリヴィエ オリヴィエ』の評価が気になった……観てみたいなぁ。 -
沢木耕太郎さんによる映画評
どれを読んでも、その映画を見てみたくなる
「私が書いているのは「映画評」などという大層なものではなく、単なる映画の感想文といった代物にすぎない。」と沢木さんは書いているが、その感想文が沢木さんが捉えた映画の世界を我々に映し出し、不思議なことに引き込まれてしまう。 -
沢木耕太郎が「暮しの手帖」に連載していた映画評。
子供を映画館に連れていく以外に映画を観ない自分が、「この映画観てみたい」と思ってしまうような鋭い評分。
著者の映画評は監督/俳優に詳しく焦点を宛てる。また、その演技だけでなくどんな人生がその背後にあるのかも書く。そこは世界各地を旅した沢木耕太郎だけあって、遠く離れた現地の情景がありありと浮かび上がってくる。
その瞬間不思議と、映画で映されているのは、自分とは無関係の世界ではなく、もしかしたら自分にも相関する/していた人生なんじゃないかとふと思う。 -
沢木耕太郎の書くものは、優等生的な「バランスの良さ」「卒のなさ」そして「フェアネス」を感じる。だから私情をむき出しにした書き物ではなく、むしろそのようにしてあられもなく露呈されてしまいがちな「私」を抑えてジャーナリスティックに対象と向き合い、言葉にしようとする姿勢が魅力的である。だが、その姿勢故の問題も生まれる。再読になるのだけれど、やはり映画に対して感動してしまう「私」をほどよく抑えたところから成り立つエッセイであると感じられた。シネフィルの書くものではないが故の斬新な見解が随所に見られ、なかなか面白い
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映画を通してみる人生。映画を見ることは、何か、自分が行かなかった人生を擬似体験することに似ている。どの作品評も映像が蘇るくらいに描かれていて、見てみたいと思ってしまう。
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沢木耕太郎さんの映画評集。同じく映画評の「シネマと書店とスタジアム」がおもしろかったので、こちらも。「暮しの手帖」に連載されていたとのこと。
映画の筋の紹介がとてもよい。その映画を見たくなる。連載中に読むのではなく、ずーっとあとに文庫で読んでいるのが、かえってよいのかもしれない。 -
2020.7.8 64
めっちゃ映画館行きたい。映画は旅。
著者プロフィール
沢木耕太郎の作品





