半島を出よ〈上〉 (幻冬舎文庫)

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  • 幻冬舎
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レビュー : 290
  • Amazon.co.jp ・本 (509ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784344410008

感想・レビュー・書評

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  • 2回目読了。
    やはりすごく面白い。
    北朝鮮の特殊部隊の過酷な訓練や、残酷な拷問の話を読んで、ものごとの考え方や価値観が全然違うんだなぁと感じた。
    そして、少なくとも自分は恵まれた環境で生きているなと思った。
    もっとちゃんと生きていかねばと思った。
    日本の犯罪者のグループがどう対抗していくのか、
    あまり記憶にないので下巻も楽しみ。

  • 北朝鮮の特殊部隊が福岡を占領するという小説である。この本が書かれたのが2005年、舞台は2011年。わずか9人の先鋭部隊が最初に福岡ドームを制圧することから始まるが、まともな対応ができない日本政府はまさに今の状況と重なるのか。まったくの空想とも言えない時代に今なってきている中でリアリティをどこまで感じればよいのかわからない恐ろしさがある。

  • 古本で購入。上下巻。

    「反乱軍」として祖国北朝鮮を出た9人のコマンドによる福岡ドーム占拠。
    数百人の後続部隊が飛来し、高麗遠征軍を名乗った北朝鮮軍が日本政府によって封鎖された福岡の統治を開始する。
    無為無策の日本政府が右顧左眄する中、12万人の北朝鮮軍が福岡へ向けて出港する―

    経済的な凋落と国際社会における孤立により、一等国から滑り落ちた「近未来」の日本。
    軍部の対外強硬派を反乱軍に仕立て上げて日本へ派遣、成功すればよし、失敗しても強硬派の消滅でアメリカなどと対話できると目論む北朝鮮の狡猾。
    膨大な情報で構築された情勢がリアルに描写されている。
    周辺国が静観する中で「暗黙の了解の内に日本は嵌められたのでは」と政府関係者が訝るあたり、大友克洋『気分はもう戦争』を彷彿とさせたな。

    この作品は、言わばリアルさに裏打ちされたエンターテインメント小説。
    どこかカリスマ的な奇矯な老人イシハラの下に集まった、殺人・放火などの重罪を犯した青少年らが高麗遠征軍の打倒に動き出すという筋書は、極端な話ラノベ。ちょっとご都合主義的な部分もある。

    「他者」「世間」との致命的なまでのズレを抱える彼らを主題に描くための題材として、北朝鮮コマンドの福岡占拠っていうのがある感じ。
    あとがきにあるように、小泉元首相の訪朝より以前から構想していた内容のようだし、何かしらの警鐘を目的にした作品ではおそらくない。

    何だか文句言ってる感じになったけど、小説としてものすごくおもしろい。特に下巻は一気読みをオススメしたい。
    福岡市中心部辺りの地理を頭に入れて読んだらもっとおもしろかったかも。
    これが初村上龍だったわけだが、他も読んでみたくなったな。

  • 偶然だが、小説内で設定の今年2011年3月、4月。
    現実の2011年3月には未曾有の震災があり、
    4月頃には、まだ混乱の只中だった。

    経済の破綻という意味では、
    アメリカ経済が崩壊していく
    イコール
    日本経済が破綻していく
    ことをリアルタイムで見ていると、
    決して空想では終わらないのではないかと、
    考えさせられる。

    危機的な状況で優先順位を決めること、
    命を懸けて生きること、
    冷静に距離を持って出来事を眺めること。
    生き抜くための手段が、
    凄まじい情報量の中に、
    埋もれることなく確固として描かれている。

  • 間違いなく名作!
    非常に精緻に書き上げられており、現実世界と混同してしまうほど。余程取材をしたものと推測される。
    この混沌をどう纏めるのか、下巻が楽しみだ。

  • 経済が破綻した日本の九州福岡を、北朝鮮の武装ゲリラが占領する。プロローグは退屈でしたが、後は引き込まれて一気読み。読み終った後、もう一度読みたくなる。おもしろい!

    いやーすごいです。龍さんのチカラを見せられた気がする。これを執筆するために、どれだけの時間をかけて情報収集したのだろう?

    登場人物も多いですが、ストーリーに引き込まれ、先を急いで読むため、ほとんど気になりません。下巻に続く・・・
    http://booklog.jp/users/kickarm/archives/4344410017

  • 村上龍あんまし、という人に堂々と貸せる本。一気に読めます。これ読んだ後に昭和歌謡大全集を読むと、また半島を出よを読みたくなるループ。

  • 作者の知識の豊富さに驚愕した。
    冒頭の近未来の経済状況が悪化した日本の描写を読んだとき、この人ものすごく勉強してるなあと思ってしまった。
    そのあと北朝鮮の軍隊について詳細な記述がなされていて、読むのがやめられなくなった。取材に相当な時間をかけたことが伺えるし、得た知識を物語の流れからそれないように伝えていることがすごいと思った。
    とにかく、この本を読めば友人より北朝鮮に詳しくなれること間違いなし!

  • 大恐慌で地獄絵図となりつつある日本に某国が攻め込んできたらというお話。
    緻密に練り上げられた電撃作戦により、完全に陥落した博多。

    某国の占領体制が完成したかに思えたそのとき、それを阻止したのは、社会からはじき出された不適格者集団だった・・・・。

    村上龍の小説って、どんどんディテールの緻密さが増してて感心する。このお話もリアルすぎて、現実との区別つかなくなってくるほど。

    この辺、リアルすぎて気持ち悪くなるから、村上龍の小説って万人受けする人気が出ないのかなぁと思うこともある。

    とくに、村上龍のこの辺の小説は、社会的弱者を執拗なまでに描写するから、それが一部の人を不快にさせるところがある。

    これは、アマゾンの書評みてるとすごく実感できるところ。
    「おまえはなに上目線で書いてんだよ!!」
    と、ついプリプリして、生理的に全否定してしまうのだろう。

    余談だけど、「ヨサコイ踊り」への冷酷なまでの批判(画一的で創造性ゼロなど)は、どの小説にも、ちょこちょこ出てきてる。「あっ、また出てる」とか思って笑ってしまう。

    日本って、社会的強者と弱者の差異をあいまいにして成立してきたところがあるとおもうけど、その辺をずいぶん前からえぐってきた人だからねぇ。

    最近の経済状況でこの人の小説を嫌でも思い出してしまうのは、そうしたきれいごとで、曖昧にされてきた資本主義の本質が、現実にあぶりだされてきたからなのかもしれない。

    高城剛(エリカの旦那ね)も昔、村上龍の小説に出てくる、既存秩序がぶっ壊れて無法地帯になっている状態にカタルシスを覚えると書いてたけど。ほんとにそうだなと思う。

    だけど、ほんとにぶっ壊れてみると、なかなかスリリングだがね。

  • 感想は下巻で

著者プロフィール

1952年長崎県生まれ。76年に『限りなく透明に近いブルー』(第75回芥川賞受賞)でデビュー。2003年には、514の職業を紹介した『13歳のハローワーク』が125万部を超えるベストセラーに。財政破綻した近未来日本を舞台にした『半島を出よ』(05年)では野間文芸賞を受賞。10年には『歌うクジラ』(毎日芸術賞)を電子書籍として刊行。 近著に『55歳からのハローライフ』、『オールドテロリスト』などがある。16年に『日本の伝統行事 Japanese Traditional Events』を刊行。

「2018年 『収録を終えて、こんなことを考えた』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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