半島を出よ 下 (幻冬舎文庫 む 1-26)

著者 :
  • 幻冬舎
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  • Amazon.co.jp ・本 (591ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784344410015

作品紹介・あらすじ

さらなるテロの危険に日本政府は福岡を封鎖する。いまや九州は反乱軍の占領下となった。逮捕、拷問、粛清、裏切り、白昼の銃撃戦、被占領者の苦悩と危険な恋-。絶望と希望が交錯する中、若者たちの決死の抵抗が始まる。現実を凌駕する想像力と、緻密な描写で迫る聖戦のすべて。各紙誌で絶賛を浴びた、野間文芸賞、毎日出版文化賞受賞作品。

感想・レビュー・書評

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  • 登場人物の多さから、章ごとに主観を入れ替える手法が薄く感じ、有効でない気がした。
    話の終わりも尻切れトンボ感があり、“なぜ?”の残る内容だったが、北朝鮮軍というセンシティブなテーマを、リスペクトを込めて巧く消化し、近代エンタメとしての完成度は凄まじいものと率直に思った。随所のディテールも非常にリアリティがあり、調査の努力と正確性も感じる。
    もう500pあれば。。と思わずにはいられない、引力のある作品テーマだった。

  • 若者たちが最後は一体となって作戦実行できて非常によかった。ヤドクガエル自体の登場は少なかった。日本政府は結局何も役立ってない。政府が指導力を発揮するのが良いのかどうか。

    読んでいる最中、ウクライナ侵攻を指揮したプーチンを批判したナワリヌイ氏が、刑務所で謎の死をとげた。ウクライナはアメリカからの武器調達が遅れているために苦戦している。

    他国が侵攻して来た時に自分はどういう行動ができるか。

    みなそれぞれの人生がある。

  • 一瞬で読んでしまった

    ムカつくと思ったら、すぐ同情して
    結局、人間はその環境の当たり前が当たり前で、ひとが悪いというか、環境が悪いんだなって思った

    コリョに支配されてる時の日本人、コリョ、政府の人間、密告した県庁員、全員それぞれの正義があって、それぞれの人生があってその中で生きているんだなって

    俯瞰でみると、おかしくても、当事者になるとそうなるだろうなって、、、

    今後自分の正義を社会の正義って勘違いしないようにしないと

  • 上巻と変わらない物凄いディテールと冷静な文章で話が進む。
    村上龍の小説は、目を背けたくなるようなしんどい世界の描写を全体にわたって徹底しつつ、最後にさわやかな希望を匂わせる、といった感じがある。歌うクジラとコインロッカー・ベイビーズを読んでそう感じていたが、今作もやはりそうだった。

    歴史や政治や経済や国際情勢について知識が少ないからこの物語を読んでも貧しい意見しか出てこない。情けなく、これではダメだと思った。勉強します。

  • いやあ、面白かった。後半のシーホークホテル倒壊工作の場面はハラハラしっ放しだった。
    高麗遠征軍を一撃で壊滅させるという大工作を問題児集団のイシハラグループがやってみせ、かつ、その偉業を誰に誇るでもなく、仲間内で黙っている、というラストシーンが印象的だった。

    P580
    明日も来てよかですか、と部屋を出るときにそう聞くと、イシハラという人が振り返って、言った。
    「それは、お前の自由だ」

    事件収束後も、NHK福岡の細田佐起子が、チョ・スリョン中尉の減刑の為に奔走したり、九州医療センターの世良木顧問がキム・ヒョンモク少尉を守る為に養女にした上で崎戸島に職を準備したり、と、国家の思惑とは関係なく、人とひとの関係が続いていく様は救いだった。

    エンタメであり、戦時体制のシミュレーションであり、安全保障の提言書でもある、というかなり欲張りな本だった。


  • 圧倒的な迫力。

  • 上巻で細かく積み重ねた物語を、下巻で一気に回収、終結させる感じで面白かったです。物語の進みも早く、上巻とは真逆ですいすい読めました。上巻を我慢して読んだなら絶対下巻を読んでください(笑)


  • 読み終わった。
    濃密。
    昭和歌謡大全集が好きなんで、やっぱりホームレス編が良かったね。政治的な軍事的なシミュレーション、ではなくて、技術と人間たちのSFが楽しい。

    第5刷は島田雅彦による解説だった。
    最近のSFといえば肉体の意味がなくネット上の自我が暴走してばっかりだが、村上龍にはそんな事ができないので安心できる。どこまで行っても、汗をかいて汚らしい人間たちが主人公だし、チェーンソーで柱の絨毯をキレイに切る方法を丁寧に描くことに執着してしまう話にこそ感情移入ができる。

  • 〜2023.05.21

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著者プロフィール

一九五二年、長崎県佐世保市生まれ。 武蔵野美術大学中退。大学在学中の七六年に「限りなく透明に近いブルー」で群像新人文学賞、芥川賞を受賞。八一年に『コインロッカー・ベイビーズ』で野間文芸新人賞、九八年に『イン ザ・ミソスープ』で読売文学賞、二〇〇〇年に『共生虫』で谷崎潤一郎賞、〇五年に『半島を出よ』で野間文芸賞、毎日出版文化賞を受賞。経済トーク番組「カンブリア宮殿」(テレビ東京)のインタビュアーもつとめる。

「2020年 『すべての男は消耗品である。 最終巻』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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