- 本 ・本 (344ページ)
- / ISBN・EAN: 9784344410077
感想・レビュー・書評
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例えば。
「蒼穹の昴」や「壬生義士伝」、「シェエラザード」に「中原の虹」。映画化された「鉄道員」と近々映画も公開される「日輪の遺産」。
そういや「霧笛荘夜話」なんて短編集まで、ちゃっかり本棚にあったりする。(いつ買ったんだ?)
そう、浅田次郎・著の名作には枚挙にいとまがないし、聞けばたいてい誰でも(?)知っている。
そんなスバラシイ作品たちを脇に置いて、私はここで敢えて言う。
「これ(カッシーノ!)こそが浅田次郎の真髄だ!」と。
「これは私の人生教本だ!」と。
こんなモンが人生教本?
は、とんでもダメ人間だな。
そう思われても宜なるかな。
大丈夫、分かってます。
こんなモンを「人生教本」なんて言ってる人間、そりゃダメですよね^▽^
でもね、いいの。
だって私はこの本が大好きだし、初めて読んだ時の衝撃ときたら、呉さんのフライパンで頭ぶん殴られた様なものだったんだから。
ではこの本、いったいどんな本なのか。
簡単に言えば、「浅田氏と行くヨーロッパカジノ紀行!」な写真たっぷり、臨場感たっぷりのエッセイである。
モンテカルロにはじまりコート・ダジュール、カンノ、サンレモ、ウィーンetcを経て最後はドイツと、それはもうトランクに詰めてでもいいから連れてってと叫びたくなるようなヨーロッパフルコース。
しかも、行く先々でやることと言えばただ一つ――カジノに入り浸ること、だけ。
現地のカジノの様子やマナー、カジノ外のその国の風習まで、写真入りで紹介してくれている、ちょっと変わったガイドブックといったところか。
そう、遊びのガイドブック。
「遊べよ、日本人」
この本で氏が言いたいことは、この一言。
ああ、なんとも素敵な主張じゃないか(涙が出てくる)。
折しもこの本に出会ったのが、社会人三年目という「仕事に慣れたけれど毎日忙しいし彼氏とも会えないし、何だか心にすきま風が吹いてるよ…」な状況にあったがために、余計にこの一言は…キュッと効いた。
大変言いにくいことだけれど、私が働く理由は一つ。
遊びたいから。
(あ、ごめんなさい!石投げないで!)
そりゃ、この仕事だって人の役に立ってないことはないし充実感も感じるけれど、思い切り遊び倒しているときの充実感とは比較になりません^▽^☆
遊ぶために働く。
この不純極まりない動機こそが嘘偽りない私の働く理由。
けれどそれこそ私のエネルギーの原動力になっていて、これがなきゃ(つまり遊びを忘れちゃえば)きっと私、動き止めます。
と堂々言っても、ここ日本ではまだまだその思考はイマイチ理解してもらえない。
確かに戦後日本の高度経済成長を支えたのは日本人の稀に見る勤勉性・勤労性で、それは本当に世界に誇るべきだしこれからの日本人も絶対に受け継いでいくべき価値ある民族性には違いない。
幸い、私は免れたけども、「ゆ●り教育」なんて馬鹿やらかしたのどこのどいつだ?!
と叫びたいくらいには、日本人の勤勉性は大事だと思っている。
でもね、考えて欲しい。
勤勉性と遊びって、両立するんだよ?
どうも、『”真面目に働くこと”=”遊びはダメ、絶対”』というように、両者にイコールが成立しちゃっている気がするのよね、この国って。
ここで学校を思い出してみて?
学校で私達は何を学んだ?
「よく学び、よく遊ぶ」
そんなコトを学んでいなかったっけ――?
ちゃんと学校では「遊べ」と学んで成長するのに、社会人になった途端「遊ぶな」って、そりゃあナイでしょ…。
そう思うわけなのです。
そういうことで、正面切って「遊べ」と痛快に言ってくれているこの本が、私は大好きで「人生教本」になっているワケ。
浅田氏の軽快な文章と、お目に掛かったことのない豪奢なカジノの写真は、束の間、非日常の世界へと誘ってくれ、これこそ本の持つ魅力の最たるものだとも思う。
例えば、最初の国・モナコで登場する一人の貴婦人。
彼女は毎日オテル・ド・パリのスイートに滞在し、風光明媚な碧霄と紺碧の海岸を臨みながら、カフェで優雅にランチを摂る。
まさに夢のような暮らしじゃないか。
けれどこの貴婦人、オテルに一銭も支払いはしていないのだ。
ランチ代も、ルーム・ジャージ料さえも――。
なぜか。
それは、彼女の夫が存命のころ、そのオテルのカジノに莫大な利潤をもたらした(つまり、遊びまくっていた)から、その恩を、ホテル側が配偶者である彼女に返しているというのだ。
貴婦人は言う。
『おわかりになりまして?モナコとはそういうところですのよ』
く~~~!かっこいい!(ジタバタ)
落ち込んだ時だとか、人生に疲れた時なんかに、本棚から取り出してふと読みたくなる一冊。
ちなみに、実はわたくしギャンブルとかカジノとかに滅法弱かったりします(笑)
そう、自分の結婚式のレセプションのプロフに、「夢:ハイローラー」と書くくらいには…。
いつかこの本のとおりにカジノ巡りをしてみたいものです。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
小説ではない。浅田次郎の世界カジノツアー本
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暇潰しには最適。
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著者が書いたラスベガスが舞台の話があったが、
実に楽しそうなイキイキとした描写が印象的だった。
そのカジノを回ってエッセイを書くという、夢のような仕事。
しかも泊まるホテルも超一流。
賭け事はしない自分だけど羨ましい。(笑)
ドイツ人のくだりには笑ってしまった。
すべてにおいてなかなか観察眼&推察が鋭く、頷ける内容でした。
旅先に持っていきたい一冊。 -
羨ましいです浅田さん。世界でギャンブルしてみたい。
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はじめはなんだー、この本とおもったけれど。
面白い!
タイム・イズ・ライフ!
遊べよ!日本人! -
ギャンブルは全くしないのですが楽しかったです。
ちょっとしてみたくなりました。
そしてヨーロッパに住みたくなりました。 -
楽しめました。氏の著作を購入するたびに思う。この印税はすべてギャンブルに流れていっているんだろうな、と。
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痛快世界カジノ記行
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浅田次郎の作品





