- Amazon.co.jp ・本 (447ページ)
- / ISBN・EAN: 9784344410190
作品紹介・あらすじ
両親の離婚で、別れて暮らす元家族が年一度、集う夏休み。中学生の練は妹・千華子、母とともに、考古学者の父がいる中米のG国までやってきた。密林と遺跡と軍事政権の国。すぐさま四人はクーデターに巻き込まれ、避難中のヘリから兄妹が落下、親子は離ればなれに!?疲労困憊でさまよう二人の身に、異変が…。息もつかせぬ面白さの新装版上巻。
感想・レビュー・書評
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これは、素直に面白いです。まだ上巻を読み終えただけなので100%言い切れるものではないですが、とってもストレートなストーリー。直近で読んだのが理瀬シリーズや常野物語だったこともあって、こんなにストレートな作品も恩田さんなんだとビックリです。
ただ、そうは言っても恩田さんです。作品途中までの時間軸を混ぜこぜにしたような展開はまるで時と踊っているかのようです。そして、一気に作品世界に我々を引き込んだ後は、エンタメ・アドベンチャーの世界がスピード感を持って展開しはじめました。ところどころ少々都合が良すぎるように感じられる部分もありますが、なんと言ってもこれは小説ですから、それも含めて楽しめばいいんです。
それよりも登場人物の複雑な親子関係を背景に恩田さんの親と子に対する見方が垣間見える部分がそこかしこに出てくるところがとても興味深いです。
一番印象に残ったのは「親は概ね子供を信用しているが、最後のところで信じていない。子供は普段の生活の細々としたところでは親のことを信用していないけれど、最後のところでは信じている。そのボタンの掛け違いが、お互いに不信感を生んでいることになかなか気付かない。」という父親の自問自答の箇所です。確かにそういう部分があるのかもしれない。だから、追い詰められた親が、また一方で最後のところで親に裏切られた子が、相手を殺めるような悲惨な事件がこの世から後を絶たないのかもしれない。親と子についてこういう見方もあるんだ、できるんだ、と。まさかこの本からこんなことを考えることになるとは思わなかったです。
こうなってくると下巻もとても楽しみです。この期待がどうか裏切られませんようにと、マヤの神々にお祈りして続きを読みたいと思います。 -
クーデーターに巻き込まれて離れ離れになった家族。というあらすじからは、どんなストーリーか全然わからなかったけど、とにかく訳もわからないけど読み進んでいくと「王の息に触れるな」あたりからどんどん面白くなってきた!心配でずっとハラハラしてる。14歳にしては賢いな!と思ったり。回想による、おじいちゃんの言葉がすごく刺さる言葉が多くて恩田さんの言葉選びすきです。あと恩田さんの少年少女が主人公のお話しいいですよね。
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2000年に文庫6冊で書き下ろしされた作品を2007年上下巻にまとめた新装版。
子どもの視点で書かれているので、子どもにも読みやすいでしょう。
祖父と暮らす中学2年の練と、母と暮らす小学6年の妹・千華子。
両親が離婚した後も、一家4人で年に一度は集まっていた。
この夏休みも中米G国で発掘調査をしている考古学者の父・賢のもとへ。
異様な緊張がただよっていたのは、母が恋人との再婚を決めていたから。
しかし、クーデターに巻き込まれて事態は急転、子ども達はジャングルに放り出されてしまう? -
ありふれた日常から非現実的な世界へと入っていった。今回は紛争、秘境的な所だが、日本人で海外にあまり出たことのない私からすると日常ではなかった。どのように下巻に続くのか気になって読み進めた。
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ワクワク、ドキドキ
子供も好きそうだ -
舞台は好み。マヤ遺跡とかワクワクする。
地下迷宮とかも大好き。もっとスペクタクルでミステリー感あればいいな。ダビンチコードみたいな。
森林サバイバルものかと思いきや、意外な展開。
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私の年齢ではこういうのをゲーム感覚というのかな、ということになる。
変化に富んで、急展開でジェットコースタに乗っているごとく面白かったということ。
あらすじは、夏休み、離婚した夫婦とその子供の兄妹がマヤ文明の遺跡のある土地で再会する。
さて、無事に観光を終えて帰る前日、その国にクーデターが勃発、ジャングルをヘリコプターで飛んでいるうちに事故にも合い父親、母親と兄妹が離れ離れになってしまう。
放り出された秘境のジャングル。
果たして再会できるのか。生き残れるのか、冒険と、ゲームがが始まる。
マヤ文明聞いたことはあるけれどよく知らないな(恥だが)と思わず世界史年表と地図帳を出して確かめた。あった、メキシコのそば、ユカタン半島、ティカル、王のピラミッド。G国らしき国。そのシティ。
私の友人にそういういわゆる秘境が好きで選んで旅行している人がいるが、なにを好き好んででいく必要があるのか思う私。中国の桂林しか行ったことがない。桂林が秘境ならだが…。(川下りの船上はトイレの凄さとか食事に生臭さに辟易としたので、そうだったのだと思うのだが)
そんな貧弱な経験に照らしていうのだが、そんなところ厭だなーと思う、さよう、主人公の兄妹「レン」(15歳)「チカ」(12歳)の二人も絶えず東京の、文明の便利さを懐かしんで慨嘆しては余儀なく冒険している。しかーし、様々な試練に立ち向かい兄妹は強くなっていくのだろうか?というところが物語り。
ところどころ、恩田さんらしい書き込みがはいる、「じいちゃん」の人生哲学。
その地の文が「恩田ワールド」と私は思う。
自分のことにかまけている大人。大人って者は目配りが出来てこそ大人なんだよ。どうしようもない情けない父親のいつわらない姿。自分勝手なタイプの母千鶴子。悔いて行いを改めて変わっていけば普通なのだが、どっこい。(あれ、ネタバレでないよね)
単行本の緑色っぽい表紙と中表紙の見開きのイラストがいい。読み進むとヒントになるから面白い。 -
恩田陸さんの子供が主人公っていいですね。