- Amazon.co.jp ・本 (512ページ)
- / ISBN・EAN: 9784344410206
感想・レビュー・書評
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恩田さんの作品は、以前に「ライオンハート」を読んでいた。
その時は、特に残るものはなく、特別面白いと感じたわけではなかった。
むしろ、つまんね・・・に類するぐらいだった。
がしかし、この「上と外」は非常に面白かった。
特に、終盤のストーリー展開は息をもつかせぬ勢いで、最後のシーンでは涙が出てしまった。
いつも、新幹線の中なので恥ずかしいんだよね。本読みながら涙するのって。
なんだぁ、恩田陸って面白いじゃん・・・と思って次(現在)も「夜のピクニック」を読んでいる。
ん~、ちと期待はずれ。
それにしても、これも映画になってるんだね。
主演の多部未華子
はい、ど真ん中のストライクです。
山田太郎ものがたりで、眉間にしわを寄せながら
「えっ!」
っていう顔が抜群でした。
ん?何の話だっけ。。。。
「上と外」
これも中学生が主人公みたいなものなので、中高生が読んだら良いのになと思う本でした。お勧めです。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
この本を読んでいる途中、恩田陸のエッセイ「小説以外」を読んだ。そこで恩田さんは、つまらない本には本当に腹がたつ、いつもわくわくするような本を読んでいたいし、そんな本を読みたいという気持ちが、本を書く原動力なのだと。
まさにこの小説が、「わくわくする本」。始めは、亀裂のはいった家族の問題から話ははじまるのだけど、ジャングルや地底へ場面が移ると、描写や心理の変化がリアルで、ずっとわくわくできた。ニコや祖父との練の関係もあたたかく、最後まで裏切らない展開だった。
分厚いけれど、読み応えがあり。 -
★★★☆☆
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下巻を読み終わるまでかなり時間がかかった。正直私にはよくわからない。知恵を絞ってジャングルを切り抜けるのはいいが、その後の成人式とか。マヤ文明なら遺跡だけじゃなく他にもだし。G国の手合いも薄い。ほぼラストのニコが大使として来日辺りのみが「かっけーじゃん」と。ニコのキャラは好みだけに好感度大。どーもしっくりこない、感動が中途半端、なんだったんだろう。結果あまり面白くなかったということなんだろう
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主人公たちが助かるのだと信じてはいても、ずっとハラハラさせられながら読了。
そう、大変な経験をしたからといって、それ以外の現実的な問題が劇的に変わるわけではないし、日常が明らかに私たちを形作っている。それでも一つひとつの経験が私たちのどこかを少しずつ変えていくのだと、冒険小説としては妙に現実的な読後感。
夏に読んだらきっと何倍か暑苦しかったことだろうなぁ。 -
読ませます。
まさに、この言葉がしっくり来る作品でした。
本当に沢山の要素がぎっしりと詰め込まれ、それが目まぐるしく展開していきます。
それでいながら、窮屈な感じは微塵も感じさせません。
ハラハラドキドキしながら、その怒濤の展開に圧倒されるばかりです。
4人の視点をどんどん切り替えながら、ぐいぐい引き込まれる物語。
この速度感が、恩田陸氏の真骨頂だなあ、と改めて思いました。
ほんと、頁を繰る手を止める隙が見当たらないほど、引きずり込まれます。
そしてまた、細かい台詞や場面に、思わずハッとさせられることも多かったです。
何気なく発せられている台詞でも、こう、すとんと腑に落ちるというか。
ふーむ、という唸りが洩れてしまうかのような、そんな感銘。
<blockquote>情報通信が発達すると、デマが流れやすくなる。顔が見えなくなればなるほど、嘘はつきやすい。遠いところならなおさらだ。いったんデマが発生すると、広がる速度も規模も大きい。匿名性の高い社会では、情報の真偽を判断するのがますます難しくなっていく。たった一言の嘘が世界を駆け巡って国家予算規模の損失が出るってことはおまえがよく知ってるだろ? みんなバブル期以来慣れっこになってるみたいだが、それはものすごく異常なことだ。目で見て判断せずに、誰かが言った言葉だけを頼りに自分や客や国民の財産をホイホイ差し出すんだからな。相手を信用してたからだって言い訳するが、それは信用という言葉の意味を履き違えてるんだ。闇雲にお任せすることを信用とは言わない。信用というのは、文字通り信じて用いるのであって、信じた相手を対等に使いこなさなきゃいけない。相手の能力や人格を見極めた上で初めて生じるシビアな言葉なんだ。道具は嘘をつかない。セールスマンやパンフレットがどんなに美辞麗句を並べても、見て、触って、使ってみればその実力はすぐに分かる。道具に実力があれば、宣伝しなくてもみんながそれを使うようになる。道具はそれ自体が雄弁な言葉で、たくさんの情報を与えてくれる。俺の言うことを時代遅れだと思うかもしれないが、くれぐれも俺たちは製造業だということを<ruby><rb>肝</rb><rp>(</rp><rt>きも</rt><rp>)</rp></ruby>に銘じておいて欲しい。言葉は嘘をつくが、モノが嘘をついたら終わりだ。
(上と外(上) P.166〜167)</blockquote>すごいことをさらっと書くなあ、と思います。
こういうことを、台詞として自然に書けるって、本当にすごい。
物語としては、完全なentertainmentを指向しているのです。
その中にあって、こういう「職人」を描き出す筆力。
恩田陸という作家の、引き出しの広さがよく分かる場面だと思うのです。
そして、こういう台詞を差し挟むことで、人物像がくっきりと浮かび上がってくる。
そうすることで、その後の展開により弾みが増していくのだと思います。
最後まで息をつけない、本当に怒濤のような物語でした。
これだけ多面的な作品展開なのに、それでも「恩田陸」という色を失わないのが圧巻です。
稀代のentertainerであり、storytellerなのだな、と実感する次第です。 -
不思議な冒険、究極の中成長していく彼等。
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次から次へと訪れる試練にページをめくる手が止まらなかった。
何でこんなにも過酷な目に合わせられるのか。神様なんていないんじゃないのか?いや、神様がいたから様々な試練を乗り越えられたのか?
自分だったら、ぜったいに乗り越えられないよ〜。