暗礁 下 (幻冬舎文庫 く 10-2)

著者 :
  • 幻冬舎
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  • Amazon.co.jp ・本 (446ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784344410251

感想・レビュー・書評

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  • 警察組織と暴力団の利権の草刈場と化していた奈良東西急便。その社屋放火事件の容疑者に仕立て上げられた二宮に、捜査の手が伸びる。起死回生を狙う桑原は、裏金を管理する男を追って二宮とともに沖縄へ飛ぶが、二人を追い込む網はそこでも四方八方に張り巡らされていた―。…裏表紙の紹介文より。

    この「疫病神シリーズ」にすっかりハマってしまいました。イケイケの桑原さんの喧嘩っぷりは、かっこいいですね。「極道は腹を割ったらあかんのや。誰が味方で誰が敵か、そこを見誤ったら命がないんやぞ。」

    解説には「(黒川さんの作品は)現実の社会同様に、そしてそれ以上に、強きが威張り腐り、弱きこそがこづきまわされる不条理に満ちた世界を執拗に描く。(中略)終結を迎えたとき、事態は解決するのではなく決着をつける。つまり、現実社会でもそういうことなのだ。フィクションのはずなのに、黒川作品は不公平と不条理に満ちた現代社会に生きる身に、多くのことを教えてくれるのだ。」と青山ゆみこさんも書いている。

    どうもこの辺りも「疫病神シリーズ」にハマった要因かもしれません。

    螻蛄も早く読みたい。

  • 平成19年初版。大阪出身の私にとって、テンポの良い大阪弁でのやりとり(ガラのよいものではないですが)・頭に浮かぶ街の風景が懐かしくて読んでしまいます。イケイケヤクザの桑原と風采の上がらない二宮のコンビ振りが良い。桑原を厄病神と思いながらも心の底からは憎んでいないような二宮。桑原も、ボロクソに言いながらも二宮を気にしている。面白かったです。

  • 疫病神シリーズ第3弾

    ヤクザの桑原から接待麻雀の代打ちを頼まれた二宮だったが、そこから大手運送会社と警察の癒着に纏わる大きな騒動に巻き込まれていく…

    二宮も本当に懲りない男だ。
    桑原と付き合ったばっかりに、これまで何度も痛い目に遭ってきたというのに。
    二宮が賭け事に目がないのを桑原はよくわかっていて自分のシノギに巧みに二宮を巻き込むのだ。

    今回はシノギの額が大きく、さすがの桑原も、ヤンチャが過ぎてかなり痛い目に遭う。

    でもこの先も懲りずに二人の付き合いは続くのだろう。

    オシャレでいつもビシッと決めている桑原と、行間から悪臭が漂ってきそうなヨレヨレの二宮。
    おかしな組み合わせだが、この対照的な二人だから面白い。

    次はどんな騒動に巻き込まれるのか楽しみだ。

  • 相変わらず面白い。間違いない!

  • 某大手運送会社を取り巻く利権と疫病神コンビのいつも通りの展開。面白かったです!

  • 沖縄のくだりがおもろいかな

  • あぁ、面白かった。黒川博行さんの「疫病神シリーズ」の3作目。
    建設コンサルタントの二宮は疫病神・やくざの桑原に頼まれ、賭け麻雀の代打ちを務めます。ほんのアルバイトのつもりでしたが、実は警察相手の接待麻雀。億単位の金の匂いを嗅ぎつけた桑原に、二宮は再び翻弄されます。
    今回も桑原の暴走ぶり、二宮のダメ男ぶりが存分に描かれます。また2人の大阪弁のやり取りの魅力も健在です。

    「二宮くん、わしは喉が渇いているんや」
    「コーラでも飲みますか。奢りますわ」
    「おまえ、わしをおちょくってんのやないやろな」

    まさに声に出して読みたい日本語です。
    舞台は大阪を中心に、奈良、京都、沖縄で、昔のヤクザ映画を見ているようなシーンが展開されます。娯楽性の高いハードボイルドですが、前の2作同様、登場人物、団体数がやたら多く、それらが複雑に絡み合っています。一気に読まれることをお勧めします。

  • 登場人物が多くてわけわからなくなるのが疫病神シリーズの常だけど、面白い。先が読めないところがストーリーのうまさか。

  • 合間に挟まれるくだらないやり取りがとても現実的で、彼らの存在感を浮き立たせる。それにしても巻末の参考文献で佐川急便の事件関連が挙げられていて、もしかしてこの話が真実なのではと思わされてしまう。

  • 一度読み始めると、この疫病神シリーズはやみつきになります。特に故郷が関西だとか、関西で暮らした経験がある人は面白がれると思います。
    おすすめ。桑原さんのステゴロを間近で見たい気がしました。

著者プロフィール

黒川博行
1949年、愛媛県生まれ。京都市立芸術大学彫刻科卒業後、会社員、府立高校の美術教師として勤務するが、83年「二度のお別れ」でサントリミステリー大賞佳作を受賞し、翌年、同作でデビュー。86年「キャッツアイころがった」でサントリーミステリー大賞を受賞、96年『カウント・プラン』で推理作家協会賞を、2014年『破門』で直木賞、20年ミステリー文学大賞を受賞した。

「2022年 『連鎖』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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