円満退社 (幻冬舎文庫 え 6-1)

著者 :
  • 幻冬舎
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  • Amazon.co.jp ・本 (484ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784344410497

感想・レビュー・書評

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  • 退職最終日にこれだけのことが起きるかと

  • 実際にはないと分かりつつ、悪いことを続くよなあと納得させられました。

  • 長い、とにかく長い。

  • 2021.07.18、1回目スタート
    2021.07.18、1回目読了
    2022.11.27、売却・処分済へ

  •  本作を読んで何か複雑な気分になった。

     本作は、サラリーマンの最終出勤日を描くコメディ系エンタメ。2005年が初版だから時代設定がやや古びれた感があるが、内容は普通に楽しめた。

     ではこの複雑な気分・もやもやは一体何か。自分に問うてみました。
     それはきっと、恵まれた上の世代への羨望や嫉妬かもしれない、と思い至りました。

     私は1975年生まれ、留年や大学院を経て就職をしたのは2001年。このあたりはいわゆる就職氷河期の底であった。就職は何とか出来たが、これまで出世とは無縁だった。自己研鑽は今も続けているつもりだが、会社には認められなかった(まあ実力なかっただけですが)。外国に飛び出た今となっては定年時の退職金もなし、年金も覚束ない(国民年金は任意で収めていますが)。

     そんな我が身と比較しつつ、主人公は年功(学歴?)で支店長にまで昇格し、うだつが上がらないと言いつつも今や3,000万円の退職金を得ようとしている。きっと貯金だって相当にあるに違いない。それでもなお会社への文句、部下への文句、業務へのオーナーシップのかけらもない責任転嫁的発言が半端ない。なんなんだよ!嫌ならやめちまえよ!(って私も何度か言われましたよ、証券会社とか銀行とかで)

     失礼しました。
     まあ20年前の作品です。色々な変化がありました。だから、きっと本作のような舞台や人物は日本ではもう絶滅したことでしょう。エスカレーター式に部長・支店長になれる。昼休みにゆっくり昼食を取りコーヒーまで飲んで帰ってくる(これはまあいいか)。銀行での裏金づくり。支店から右翼への裏金供与。ローンの承認前実行。投信の無資格販売。

     40代半ばの私よりもう一回り下の人間は、ある意味歴史小説・別次元の話として読めるのかもしれません。へえー、昔の銀行って結構ヤバかったんすね、みたいな。私からすると小説の舞台はつい昨日のような過去に感じてしまい、ついついルサンチマンに満ち満ちた状態で読んでしまい、精神衛生上も健康によろしくありませんでした笑 

    ・・・

     まとめます。エンタメ小説としては結構面白かったと思います。最後のハッピーエンドは若干納得しかねますが、まあでも面白かったです。ちょっと古びていますが、若い世代は歴史小説だと思って読みましょう。金融業界に関連・興味のある方、昭和の企業文化(の残滓、ですかね。時代的には平成が舞台ですから)に興味のある方にはお勧めできると思います。

  • 定年退職日に次々と事件や不祥事が暴かれたり、イヤイヤ中々無いだろーって、ツッコミ満載だがとても面白かった。

  • 惜しい。

    定年退職当日の銀行支店長の話。

    何事もなく今日を乗り切って、
    退職金を満額貰えると思っていたら、
    行員がお金を持って失踪したり、
    知らない間に融資を実行されてたり、
    色んなトラブルが降りかかる。

    果たして無事に退職金がゲットできるか…

    結構ハチャメチャでコミカルな話だが、
    途中までは面白く読めた。

    最後が無理やり収束した感じになってしまったのが
    ちょっと残念ですね。

    シリアス好きには向きませんが、
    骨董無形なお話しが好きな人はどうぞ。

  • とっちらかって、まとまります

  • 預金に目印を付けられるとは。

  • 江上剛氏が、こんなにも面白い小説を書いていたのは知らなかった。

    旧第一勧銀に勤務されたので、銀行マンを描くのはお得意なのかもしれないが、、、

    主人公 岩崎千明56歳。
    東大卒業後一流企業のひまわり銀行に勤務。
    年功序列で、宮仕え26年。
    その間に、妻を娶ったが、子供もなしで、太った体に、家事もおろそかな悪妻。

    定年退職の日、すんなりと、退職金をもらって、仕事から身を引くことになると思いきや、、、、、
    銀行の中の職員の怠慢さ、不合理さ、使い込み、犯罪手前の契約、総会屋、、、1日、てんやわんやの騒動が持ち上がる。
    円満退社で、退職金を貰えるはずが、パ~になってしまうかどうか迄、発展していく羽目になる。
    そして、自分の銀行が、合併になってしまうのを目のあたりにしてしまうのである。

    みんなドタバタを、うまく切り抜け、退職金も口座に入って、これからは、悪妻とも縁を切ることができるとおもったら、、、、、

    メールの顔も見えず、やり取りの相手は、、、、
    なんと、我妻、悪妻であったが、今一度、二人が、認め合い仲良くなるのである。

    これで、本当の「円満退社!」と、思った。
    コミック的なんだけど、バブルのつけに、銀行の苦戦に、中小企業の悲しさが、描かれている。

    もうバブルの時代を知っている若者が少ないだろうから、一度読んでみてほしいものだと、思った。

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著者プロフィール

1954年、兵庫県生まれ。早稲田大学政治経済学部卒業。77年、第一勧業銀行(現・みずほ銀行)入行。人事、広報等を経て、築地支店長時代の2002年に『非情銀行』(新潮社)で作家デビュー。03年、49歳で同行を退職し、執筆生活に入る。その後、日本振興銀行の社長就任、破綻処理など波瀾万丈な50代を過ごす。現在は作家、コメンテーターとしても活躍。著書に『失格社員』(新潮文庫)、『ラストチャンス 再生請負人』(講談社文庫)、『我、弁明せず』『成り上がり』『怪物商人』『翼、ふたたび』(以上、PHP文芸文庫)、『50代の壁』(PHP文庫)など多数。

「2023年 『使える!貞観政要』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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