壊れるもの (幻冬舎文庫)

  • 幻冬舎 (2008年2月4日発売)
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本 ・本 (296ページ) / ISBN・EAN: 9784344410930

感想・レビュー・書評

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  • 読み進めるにつれて、憂鬱でしんどくなる内容だった。会社でも家庭内でも休める環境がなく、どんなに頑張っても報われない日々の中で、自分もこのような環境に置かれる可能性があると考えると動機が収まらなくなる。実際にこの作品の主人公と同じような体験をしている人もいるのだろうなと思うと、社会は地獄なのではないと感じて怖い。

  •  ホラー小説カテゴリ内、ひさびさの星4つ。この小説の怖さは日常に潜む、非日常の恐怖である。最後には精神崩壊まで一気に突き抜けていく、実に面白い。この作家さんに注目。

  • 職場では上司の理不尽に耐え頑張って働くも、家族からは邪険にされ、父親あるあるだなと感じた。
    いつリストラにあうか分からないなか、いざ職を失うともっと家族の中で立場が無くなり、物語とわかっていながらも切実な悲しい気持ちになった…。
    話は面白かったが、ホラーという事で、私的には最後の終わり方がちょっと…
    なので⭐️3でしたが、この作家さんも面白かった!

  • 私は行動を起こすのは、非常に苦手です。
    コンビニに行くぐらいなら、割とスムーズにできますが、
    仕事上のことになると、躊躇してしまいます。

     先入観といいましょうか?ついつい先のことを考えてしまって、
    今、やるべきことをせずに、引き伸ばしてしまうことは、多々あります。

     この本を読むと、先入観=フレーム=自分で勝手に作り出したモノと定義しています。
    つまり、行動したいなら、そのフレームを取り除くことだ!と言っています。

     至極、当たり前の事を言っています。自分も、それが出来たら、行動出来るなと思います。
    読んでみて、損はないですが、この本は、いろいろとマーケティングの趣向が、結構散りばめられていて、
    少し、胡散臭いものでもあります。

     自己啓発は、胡散臭さとは、切っても切り離せませんが、興味があれば、是非。

  • 転職活動など見につまるリアルさがおもしろい。
    肝心な森のなぞ、どんどん悪くなる流れも引き込まれる。

    終盤でも肝心な森の謎が曖昧だなぁと思ってたら、
    嫌いな夢か幻想かというオチで残念。

  • いっちゃえば家族が壊れる話なのか。
    お父さんの疎外感が半端ない。
    イミチとか柵の向こうは何なのかよりも、家族の中で起きている破滅的状況の方がホラー。

  • おどおどびくびくしながら読んだのだが、オチに気づいてよかった笑 予測はできたということで。。。
    しかし、東京難民も読んだが、この作者はリアルの中に潜む狂気のようなものが好きなんだろうなと。
    全くありえない話ではない。というのが共通である。

  • ちょっと面白そうだし福澤さんも結構好きだし、ということで買ってみた一品。
    まぁほぼジャケ買いに近い形だったけども。


    簡単な粗筋。
    大手百貨店に勤める英雄は、四十を過ぎて郊外の一軒家を手に入れた。
    妻と娘の三人暮らしはごくごく平凡で、大きな不満もなかった。
    ある日「やばいとこ住んでるね。“イミチ”って、聞いたことある?」と言われ――。


    ホラーといえばホラーなのだが、別段怖いわけではありませんでした。
    「土地モノ」というか、その場所の因縁話だけども、何か心霊的なものが前面に出ているわけではないんですよね。
    どちらかといえば、家族内の確執であったり、仕事のしがらみであったりといった、日常の中の恐怖です。
    自分の身に起こったら、自分だったらどうなるか、と考えるとかなりぞっとします。

    命名してしまうなら「とあるサラリーマンの転落日誌」。
    家庭にも会社にも居場所をなくしてしまった主人公が逃げる先はどこか。
    絶望の渦中でどれだけもがき苦しむか。
    不況と呼ばれるこの時代で、バブル世代がどう生きていくかといった、一種の社会小説の雰囲気もあります。


    ラストは「あーこういう風に繋がるのね」といった感じでした。
    でも普通に考えたら怖いシーンなのかもしれないけれど、少しありきたり感が否めない。
    あと一歩踏み込んだ盛り上がりが欲しかったなぁ。

    でもまぁ絶望の果てに、静かに(?)発狂するのは個人的に好みなので良しとします。



    ホラーとして読んでしまうと拍子抜けしてしまいますが、一般小説として読めば嫌な恐怖感が味わえるかと。

  • 夏のホラー2冊目。

    だったのですが・・・。

    ジャンルを無視して、ここまで主張を前面に出されるとかえって心地よいくらい。
    どうみてもホラー小説の体裁をしているのに、実際はバブル崩壊後の日本の雇用問題、職場環境の悪化を描いた作品。
    いくらなんでも、そこまで悪くないだろ、ひどくないだろ・・・と主人公の人間関係や再雇用の実態に突っ込みを入れてしまいますが、どこかでそれを完全に否定しきれない自分もいて、ある意味ホラーです。

    文字通りの意味でのホラー的な要素は、ほとんど物語のはじまりと終わりにしかありません。
    ところがなんとなくうまく話がつながっているので、不思議と外見と中身のギャップが気にならなかったりはするのがすごいところ。

    著者の紹介を見ると代表作に『自分に適した仕事がないと思ったら読む本 落ちこぼれの就職・転職術』が・・・。っておい!

    参考までに本書の裏に書かれているイントロダクションを書いておきましょう。
    『大手百貨店に勤める西川秀雄は、四十歳をすぎて手に入れた郊外の一軒家で家族三人暮らし。裕福ではないが、大きな不満もない。しかし、そんなありふれた日常に生じた一点の染みが、突如、絶望の底なし沼となって男を呑み込んでいく。「やばいとこ住んでるね。"イミチ"って、聞いたころある?」。精神の迷路に踏みこむ、狂気のホラー!!』

    こちらのほうが、的を得ていると思うのですが・・・

    『大手百貨店に勤める西川秀雄は、四十歳をすぎて手に入れた郊外の一軒家で家族三人暮らし。裕福ではないが、大きな不満もない。しかし、景気のあおりと利害関係が絡み合い、職場関係に亀裂が生じ始める。くるいはじめた歯車は戻ることなく動き始め、西川は大きな決断をすることになる。日本が直面した職場と家庭の崩壊を、ホラーという作風をとって描いた問題作!!』

  • ジャンルはホラーもの。確かに怖いです。。

    中年サラリーマンの疲れた生活が妙に生々しく、現実的でけっこう厳しい描写が多いので

    似たような境遇に立たされている人にとっては読むのが辛いんじゃないかな…と思ってしまった。

    家族や同僚との関係など、まるで見てきたかのような描写に少々ヒヤッとするものが・・・;

    「あの時こうしていれば…」という主人公の思いや後悔はどうにもならない現実として受け入れるしかなく、

    結局はこうなってしまう残酷な結果に救いようのなさを感じました。

    若かりし頃に体験した、恐ろしい出来事が思ってもみなかった形で終結してゆく恐怖に背筋がゾクッとしました。

    『面白いよ〜♪』と素直にオススメし難いストーリーですね(^-^;)

    それを言ったら、人の不幸を嘲笑ってしまうような気がしてしまう。。

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著者プロフィール

福澤 徹三(ふくざわ・てつぞう):1962年、 福岡県生まれ。ホラー、怪談実話、クライムノベル、警察小説など幅広いジャンルの作品を手がける。2008年、『すじぼり』で第10回大藪春彦賞受賞。著書に『黒い百物語』『忌談』『怖の日常』『怪談熱』『S霊園』『廃屋の幽霊』『しにんあそび』『灰色の犬』『群青の魚』『羊の国の「イリヤ」』『そのひと皿にめぐりあうとき』ほか多数。『東京難民』は映画化、『白日の鴉』はテレビドラマ化、『Iターン』『俠(★正字)飯』はテレビドラマ化・コミック化された。

「2023年 『怪を訊く日々 怪談随筆集』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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