むかしのはなし (幻冬舎文庫)

著者 :
  • 幻冬舎
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本棚登録 : 2824
レビュー : 346
  • Amazon.co.jp ・本 (287ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784344410954

感想・レビュー・書評

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  • 誰もが知ってる昔話、かぐや姫 花咲か爺 天女の羽衣 浦島太郎 鉢かつぎ 猿婿入り 桃太郎 を三浦しをん風にアレンジしたら こうなりました、と言う洒落た本ですね♪
    人は如何なる状況下でも言葉を仲立ちに誰かと繋がっていたいと願うものであり、昔からの物語は その証だと言う。その思いを具現化したらこの物語になりました とさ!
    だけど これらの物語を市原悦子さんと常田富士男さんが語るのは ちょっとアンマッチ かも 笑。

  • 全編が基本的に一人語りなのに、ぐいぐいと物語世界に引き込まれていく。時々話し掛けている相手(人や機械)に了解を求めるような場面にニヤリとしてしまう。各話冒頭の昔話を、とても遠いところに感じるストーリー展開で、でも「そうくるか!」という笑いが込み上げる。地球滅亡まであと三カ月の直前の『ロケットの思い出』が良かった。花咲か爺をベースに敷いたロケット(犬)と窃盗犯の話なのだが、可笑しさと悲しさの混ざり方が良い感じだ。

  • 昭和っぽい風景を思い浮かべながら読んでいたら、途中でSF風味が加わり最終話で思ってもみない方向に着地した。お見事。
    タイトルが地味なせいかあまり期待していなかったのだけれどもうれしい驚きがあった1冊。

  • 昔話を現代風に書くというコンセプトは面白い。ちょっと内容と昔話の繋がりが分かりにくいものもあり、もう一度じっくり読み直したい一冊。

  • 読み易い本だった。
    昔話を下敷きにして語り直すという手法も面白い。
    また、バラバラに見えた短編の繋がりが見えて来た時は心躍った。
    ただ、下敷きになった昔話との関係がどれも中途半端に思えた。
    どれも多分、触発されたものではあるのだろうけど、先に書きたいものがあって、そこに昔話をやや強引に絡めた感がある。
    終末の近い地球、宇宙に逃げ出せるのは一握りの人間だけ、という設定でこの作者が描く人間関係だけで充分面白かったので、昔話を絡める必要はなかったような…。
    とはいえ、毎作何か面白いことをしようと試みている作者の意欲を尊敬する。
    これからも期待してます。

  • 7つの短編。誰でも知っている御伽噺をモチーフとしながらも、いずれも独創的で新鮮なストーリーとなっている。思いがけない展開に、ぐいぐい引き込まれた。主人公も個性的な魅力に溢れており、最後まで惹きつけられた。「たどりつくまで」が一番良かった。最後の最後まで自分が信じる幸せを追い求め続ける姿が清々しく潔かった。

  • 2012.6.26 読了

  • ななつの短編。


    ななつでひとつというわけではないけれど、むっつを読んだあとに最後の一話を読むことに、とっても意味があると思います。


    選ばれたななつの昔話の要素を大なり小なり拾ったものになっているものの、それからは解き放たれていて自由で。


    だからこそ、予測不可能でおもしろいです。次になにがくるかわからないというよりは、なにがきてもなにがこなくてもいいような感じの予測不可能さ。


    天女の羽衣をモチーフにした、「ディスタンス」というおはなしが1番心に残りました。自分がしたことのない恋の形なのに、なぜか、心が震えるくらい切なくて苦しくて、どうしようもなかったです。


    誰かが必要としているのがありのままの自分じゃなくて、自分にとって今は当然だけれどいずれは失いうる要素だった時の悲しみは途方もないし、それに気づかず生きている可能性があるなんて、考えるだけで嫌です。


    私が最後にうけとれたのは、今過ごしている日常の大切さでも、いつ終わりがきてもいいように過ごそうという決意でもなくて、言いようもないさみしさでした。

    もし、終わりがきたらこんな風に過ごさなければいけない人がいることをありうることとして考えること、それは、今まさにここに生きている私達がその可能性を含んでいるのを認めるということと同じで、それが私は耐えようがないほど息苦しかったです。

    すきというきもちは、脆くてはかなくて、環境が整っていないと抱き続けてはいられないもので。だから、今自分の身の回りにおきかえるとしたら、この環境を作ってくれているすべての要素を、できるかぎり思っていたいです。

    目を背けたくない。せめて心の中だけでは、わかること、自分が見たくないものすべてを言葉にすることで責任を負いたいです。目を背けないで、生きていきたいです。

    このはなしが、むかしのはなしとして書かれていて、よかったです。

  • かぐや姫、花咲か爺、天女の羽衣、浦島太郎、鉢かづき、猿婿入り、桃太郎
    これら7つの昔話にふっと繋がる部分を感じさせる短編集。
    桃太郎の話からの「懐かしき川べりの町の物語せよ」では、
    三ヶ月後に地球に隕石がぶつかり、地球が滅亡することが発表される。
    抽選に当たった人が脱出ロケットに乗ることが出来る。モモちゃんは、生まれた時から誰もが必ず死ぬのだということを、しっかりと心に刻んでいた人間だった。自分はどうだろうかと考えさせられる。どちらにせよ、最後は、愛する人とばらばらにならない方法を選ぶのかもしれない。

  • 最初の「ラブレス」を読んだ時は、「なんだこれ」と思った。物語の意図が全然見えなくて、とても中途半端な感じがしたからだ。
    昔話を下敷きにした物語だと思って読んでいたので、そのあまりの離れっぷりに戸惑ってしまったのだ。
    思わず先に解説を読んでしまった。そこでようやくそれぞれの短編が一つの意図の元に集められているということを知る。
    そこからもう一度本編に戻って読み進めると、だんだん様子がわかってくる。
    つまりはこれらは、「記録された語り」なのであると。
    最後の「懐かしき町の川べりの物語せよ」は、胸の奥で不穏な音がしてくるような、しんと静かになってしまうような話だった。モモちゃんのあのとらえどころのないキャラクターはなんなのだろう。まるでブラックホールのような感じ。
    心のなかを乾いた風が吹き抜けていくような、寂しい読後感だった。

    そして、最後まで読んでもう一度「ラブレス」に戻った。
    そうか、そういうことか、とようやく得心がいく。解説もちゃんと意味が染み通ってくる。

    なんて、哀しくて途方も無い物語なんだろう。

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著者プロフィール

三浦 しをん(みうら しをん)。
1976年、東京生まれの小説家。出版社の就職活動中、早川書房入社試験の作文を読んだ担当面接者の編集者・村上達朗が執筆の才を見出し、それが執筆活動のきっかけになった。小説家の専業になるまで、外資系出版社の事務、町田駅前の古書店高原書店でアルバイトを経験。
2006年『まほろ駅前多田便利軒』で直木賞受賞。2012年『舟を編む』が本屋大賞に選ばれ、翌年映画化された。2015年『あの家に暮らす四人の女』が織田作之助賞受賞。また、『風が強く吹いている』が第一回ブクログ大賞の文庫部門大賞を、2018年『ののはな通信』が第8回新井賞を受賞している。
Cobalt短編小説賞、太宰治賞、手塚治虫文化賞、R-18文学賞の選考委員を務める。最新刊に、『愛なき世界』。

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