むかしのはなし (幻冬舎文庫)

著者 : 三浦しをん
  • 幻冬舎 (2008年2月1日発売)
3.32
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  • Amazon.co.jp ・本 (287ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784344410954

むかしのはなし (幻冬舎文庫)の感想・レビュー・書評

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  • 昭和っぽい風景を思い浮かべながら読んでいたら、途中でSF風味が加わり最終話で思ってもみない方向に着地した。お見事。
    タイトルが地味なせいかあまり期待していなかったのだけれどもうれしい驚きがあった1冊。

  • 昔話を現代風に書くというコンセプトは面白い。ちょっと内容と昔話の繋がりが分かりにくいものもあり、もう一度じっくり読み直したい一冊。

  • 読み易い本だった。
    昔話を下敷きにして語り直すという手法も面白い。
    また、バラバラに見えた短編の繋がりが見えて来た時は心躍った。
    ただ、下敷きになった昔話との関係がどれも中途半端に思えた。
    どれも多分、触発されたものではあるのだろうけど、先に書きたいものがあって、そこに昔話をやや強引に絡めた感がある。
    終末の近い地球、宇宙に逃げ出せるのは一握りの人間だけ、という設定でこの作者が描く人間関係だけで充分面白かったので、昔話を絡める必要はなかったような…。
    とはいえ、毎作何か面白いことをしようと試みている作者の意欲を尊敬する。
    これからも期待してます。

  • 7つの短編。誰でも知っている御伽噺をモチーフとしながらも、いずれも独創的で新鮮なストーリーとなっている。思いがけない展開に、ぐいぐい引き込まれた。主人公も個性的な魅力に溢れており、最後まで惹きつけられた。「たどりつくまで」が一番良かった。最後の最後まで自分が信じる幸せを追い求め続ける姿が清々しく潔かった。

  • 2012.6.26 読了

  • ななつの短編。


    ななつでひとつというわけではないけれど、むっつを読んだあとに最後の一話を読むことに、とっても意味があると思います。


    選ばれたななつの昔話の要素を大なり小なり拾ったものになっているものの、それからは解き放たれていて自由で。


    だからこそ、予測不可能でおもしろいです。次になにがくるかわからないというよりは、なにがきてもなにがこなくてもいいような感じの予測不可能さ。


    天女の羽衣をモチーフにした、「ディスタンス」というおはなしが1番心に残りました。自分がしたことのない恋の形なのに、なぜか、心が震えるくらい切なくて苦しくて、どうしようもなかったです。


    誰かが必要としているのがありのままの自分じゃなくて、自分にとって今は当然だけれどいずれは失いうる要素だった時の悲しみは途方もないし、それに気づかず生きている可能性があるなんて、考えるだけで嫌です。


    私が最後にうけとれたのは、今過ごしている日常の大切さでも、いつ終わりがきてもいいように過ごそうという決意でもなくて、言いようもないさみしさでした。

    もし、終わりがきたらこんな風に過ごさなければいけない人がいることをありうることとして考えること、それは、今まさにここに生きている私達がその可能性を含んでいるのを認めるということと同じで、それが私は耐えようがないほど息苦しかったです。

    すきというきもちは、脆くてはかなくて、環境が整っていないと抱き続けてはいられないもので。だから、今自分の身の回りにおきかえるとしたら、この環境を作ってくれているすべての要素を、できるかぎり思っていたいです。

    目を背けたくない。せめて心の中だけでは、わかること、自分が見たくないものすべてを言葉にすることで責任を負いたいです。目を背けないで、生きていきたいです。

    このはなしが、むかしのはなしとして書かれていて、よかったです。

  • かぐや姫、花咲か爺、天女の羽衣、浦島太郎、鉢かづき、猿婿入り、桃太郎
    これら7つの昔話にふっと繋がる部分を感じさせる短編集。
    桃太郎の話からの「懐かしき川べりの町の物語せよ」では、
    三ヶ月後に地球に隕石がぶつかり、地球が滅亡することが発表される。
    抽選に当たった人が脱出ロケットに乗ることが出来る。モモちゃんは、生まれた時から誰もが必ず死ぬのだということを、しっかりと心に刻んでいた人間だった。自分はどうだろうかと考えさせられる。どちらにせよ、最後は、愛する人とばらばらにならない方法を選ぶのかもしれない。

  • 最初の「ラブレス」を読んだ時は、「なんだこれ」と思った。物語の意図が全然見えなくて、とても中途半端な感じがしたからだ。
    昔話を下敷きにした物語だと思って読んでいたので、そのあまりの離れっぷりに戸惑ってしまったのだ。
    思わず先に解説を読んでしまった。そこでようやくそれぞれの短編が一つの意図の元に集められているということを知る。
    そこからもう一度本編に戻って読み進めると、だんだん様子がわかってくる。
    つまりはこれらは、「記録された語り」なのであると。
    最後の「懐かしき町の川べりの物語せよ」は、胸の奥で不穏な音がしてくるような、しんと静かになってしまうような話だった。モモちゃんのあのとらえどころのないキャラクターはなんなのだろう。まるでブラックホールのような感じ。
    心のなかを乾いた風が吹き抜けていくような、寂しい読後感だった。

    そして、最後まで読んでもう一度「ラブレス」に戻った。
    そうか、そういうことか、とようやく得心がいく。解説もちゃんと意味が染み通ってくる。

    なんて、哀しくて途方も無い物語なんだろう。

  • こういう人生を送る人もいるんだろうな、と思わせる最初の物語から始まって、ぐるりと大きな円を描きながら、でもそれは徐々にひとつの糸に縒られていくような短編集。

    宇宙空間を一人で漂っているような、あてどないぼんやりとした大きな寂寞の想いが胸を満たす。まさにそれは、三浦しをんさんが描いた世界そのものだ。

    この、じりじりと心を蝕むような寂しさが、今の私は嫌いではない。
    だからきっと、何時でもない、今の私にちょうどいい物語だったのだろうと思う。

  • 好きなお話です。短編(中編含む)の連作小説集ですが、非日常をとても日常的に描いています。それぞれの短編に、テーマとして昔話が添えられていて、それは「かぐや姫」だったり「浦島太郎」だったりするんですが、先を読むと「なるほどね」と思う。そういう短編を幾つか読んでいると、それらに一貫するひとつの流れが見えてくる。これは、面白かった。

    中の一編、「花咲か爺」をテーマにした「ロケットの思い出」は、自分にとっての福犬ロケット(川の上流から流れてきたのを拾った)の思い出話から始まります。主人公が過ごした数日のことが告白形式で書かれているんですが、なんだか馬鹿馬鹿しくて、でも切なくて綺麗な思い出になるその数日間は、ロケットと過ごした日々の形にとてもぴったりと当てはまりそうで。見も知らぬ雑種の犬を無茶苦茶に撫でてやりたくなるような一編でした。

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