むかしのはなし (幻冬舎文庫 み 12-1)

著者 :
  • 幻冬舎
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  • Amazon.co.jp ・本 (287ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784344410954

感想・レビュー・書評

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  • 誰もが知ってる昔話、かぐや姫 花咲か爺 天女の羽衣 浦島太郎 鉢かつぎ 猿婿入り 桃太郎 を三浦しをん風にアレンジしたら こうなりました、と言う洒落た本ですね♪
    人は如何なる状況下でも言葉を仲立ちに誰かと繋がっていたいと願うものであり、昔からの物語は その証だと言う。その思いを具現化したらこの物語になりました とさ!
    だけど これらの物語を市原悦子さんと常田富士男さんが語るのは ちょっとアンマッチ かも 笑。

  • 全編が基本的に一人語りなのに、ぐいぐいと物語世界に引き込まれていく。時々話し掛けている相手(人や機械)に了解を求めるような場面にニヤリとしてしまう。各話冒頭の昔話を、とても遠いところに感じるストーリー展開で、でも「そうくるか!」という笑いが込み上げる。地球滅亡まであと三カ月の直前の『ロケットの思い出』が良かった。花咲か爺をベースに敷いたロケット(犬)と窃盗犯の話なのだが、可笑しさと悲しさの混ざり方が良い感じだ。

  • 昭和っぽい風景を思い浮かべながら読んでいたら、途中でSF風味が加わり最終話で思ってもみない方向に着地した。お見事。
    タイトルが地味なせいかあまり期待していなかったのだけれどもうれしい驚きがあった1冊。

  • 最初の「ラブレス」を読んだ時は、「なんだこれ」と思った。物語の意図が全然見えなくて、とても中途半端な感じがしたからだ。
    昔話を下敷きにした物語だと思って読んでいたので、そのあまりの離れっぷりに戸惑ってしまったのだ。
    思わず先に解説を読んでしまった。そこでようやくそれぞれの短編が一つの意図の元に集められているということを知る。
    そこからもう一度本編に戻って読み進めると、だんだん様子がわかってくる。
    つまりはこれらは、「記録された語り」なのであると。
    最後の「懐かしき町の川べりの物語せよ」は、胸の奥で不穏な音がしてくるような、しんと静かになってしまうような話だった。モモちゃんのあのとらえどころのないキャラクターはなんなのだろう。まるでブラックホールのような感じ。
    心のなかを乾いた風が吹き抜けていくような、寂しい読後感だった。

    そして、最後まで読んでもう一度「ラブレス」に戻った。
    そうか、そういうことか、とようやく得心がいく。解説もちゃんと意味が染み通ってくる。

    なんて、哀しくて途方も無い物語なんだろう。

  • こういう人生を送る人もいるんだろうな、と思わせる最初の物語から始まって、ぐるりと大きな円を描きながら、でもそれは徐々にひとつの糸に縒られていくような短編集。

    宇宙空間を一人で漂っているような、あてどないぼんやりとした大きな寂寞の想いが胸を満たす。まさにそれは、三浦しをんさんが描いた世界そのものだ。

    この、じりじりと心を蝕むような寂しさが、今の私は嫌いではない。
    だからきっと、何時でもない、今の私にちょうどいい物語だったのだろうと思う。

  • 好きなお話です。短編(中編含む)の連作小説集ですが、非日常をとても日常的に描いています。それぞれの短編に、テーマとして昔話が添えられていて、それは「かぐや姫」だったり「浦島太郎」だったりするんですが、先を読むと「なるほどね」と思う。そういう短編を幾つか読んでいると、それらに一貫するひとつの流れが見えてくる。これは、面白かった。

    中の一編、「花咲か爺」をテーマにした「ロケットの思い出」は、自分にとっての福犬ロケット(川の上流から流れてきたのを拾った)の思い出話から始まります。主人公が過ごした数日のことが告白形式で書かれているんですが、なんだか馬鹿馬鹿しくて、でも切なくて綺麗な思い出になるその数日間は、ロケットと過ごした日々の形にとてもぴったりと当てはまりそうで。見も知らぬ雑種の犬を無茶苦茶に撫でてやりたくなるような一編でした。

  • 昔話をオマージュしてる面白い構成。SFチックなのがストライク。
    世界が終わる時にどんな行動を取るか、に焦点が当てられた話も多くて興味深かった。
    特に「懐かしき町のかわべりの物語をせよ」は、なぜ主人公がその選択を取ったのかを綺麗に回収していって一番好きだったかも。ラブレスも結構好きだったから最後の話と繋がってるも綺麗に作られてるなと。
    比喩表現も綺麗で大好きな一冊。

  • すごく心の打たれた作品だった。短編でありながら、それぞれの話が通じあっていて、書き方も各話の主人公が誰かに向けて書いたようなつくりになっていて、新鮮だった。

  • AIちゃんのアルバム聴きながら読むとなお良し。(とても個人的な感想

  • 三浦さんの本では一番すき。
    地球滅亡前の輝かしくて普通の日々に、
    胸が苦しくなる友情。

著者プロフィール

1976年東京生まれ。2000年『格闘する者に○』で、デビュー。06年『まほろ駅前多田便利軒』で「直木賞」、12年『舟を編む』で「本屋大賞」、15年『あの家に暮らす四人の女』で「織田作之助賞」、18年『ののはな通信』で「島清恋愛文学賞」19年に「河合隼雄物語賞」、同年『愛なき世界』で「日本植物学会賞特別賞」を受賞する。その他小説に、『風が強く吹いている』『光』『神去なあなあ日常』『きみはポラリス』、エッセイ集に『乙女なげやり』『のっけから失礼します』『好きになってしまいました。』等がある。

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