砂漠の薔薇 (幻冬舎文庫 し 13-8)

著者 :
  • 幻冬舎
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感想 : 32
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  • Amazon.co.jp ・本 (364ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784344411111

感想・レビュー・書評

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  • 恋愛物を除くと、ぶっ飛んだ世界観でスタートからアクセル全開の私的「ヒャッハー」世紀末枠の作家、新堂冬樹。何が言いたいかというと、私は完全なる黒新堂派です。

    今回はお受験〜仁義なきママ達の抗争〜編
    セレブリティ溢れるマダム達が自身の分身の為に身を削り他人の足を引っ張り合うドロドロが定番のアレ。
    セレブと無縁の女のぶ子と、幼馴染であるセレブ代表誰にでも優しい十和子の、お受験を舞台に子供を巻き込む、複雑な人間模様がこの作品の主軸だ。
    閉鎖的な性格ののぶ子はママ友の中に身を置く事を「娘の将来のために私の身を削る 砂漠の中に一輪の赤い薔薇を咲かせる」と表現していた。もう何かが歪んでいる。後に彼女の闇が極限までに増幅していた事を読者は終盤に悟る事になるだろう。

    偏見になるのかもしれないが、お受験ママなるものに関与していない人物が想像した女性のヒステリックを具現化したようだ、というのが率直な感想だ。 いや、私もそうなのだが...何だか少し遠い所から見届けた様な読了感。
    確かにそんなイメージあるけど、本当かなぁ...??と他人事ながら小首を傾げる何とも言えない時間が流れた。
    その理由は、私が母で無くとも女性だからだろう。自身に置き換えると途端に全貌が見えなくなるのはなるほど嫌な機能だとつくづく思う。
    この作品は置かれた立場で喜怒哀楽が分散しそうな、単純だが難しいテーマに感じた。

    内容は「お受験 ママたちの抗争 足の引っ張り合い」これで連想される定番をストーリー化して貰えればほぼ正解だと思う。
    そこに黒新堂節が入るのだが、これがまぁ遅い。彼直伝、エンタメ性すら感じないのは辛い。ページをめくる手が進まない。どの人物にも感情移入が出来ない。どうしよう。
    と、ダラダラ読み進めやっとお悲劇頂戴した頃には時すでに遅し、千里眼が発動されていた。
    裏切りの無い結末を見届けるのは苦行だ。

    転→結のいきなりのスピード超越ヘビーロックなリズムに乗り切れず、勢いそのまま着地点を通過してしまった。何も救いが無い。
    結局のぶ子は何がしたかったのか、途中までしか彼女の心が綴られていないではないか。それとも彼女の今までは「なんの意思もない衝動的な物だった」で済ましたという事なのだろうか。うぅん、そんなリアルは好きではない。
    バッドエンド愛好家にだって、美学はあるし故に好き嫌いだってあるのだ。

    • 奏悟さん
      NORAさん

      私の中の黒新堂のイメージがぶち壊されそうで、白新堂に後ろ髪を引かれるどころか、掴まれながらもブチブチと引きちぎりながら今だに...
      NORAさん

      私の中の黒新堂のイメージがぶち壊されそうで、白新堂に後ろ髪を引かれるどころか、掴まれながらもブチブチと引きちぎりながら今だに手を出せずにいます。
      グロからのラブストーリ―のギャップが凄いとか、同じ作家が書いているとは思えないとか耳にしてしまうと萎え萎えになってしまいました(^_^;)
      2021/12/23
    • NORAxxさん
      奏悟さん、こんにちは。

      ふむふむたしかにです...。ラブストーリーからのグロなら良いんですがねぇ(人間性疑)笑
      因みにこの作品は良くも悪く...
      奏悟さん、こんにちは。

      ふむふむたしかにです...。ラブストーリーからのグロなら良いんですがねぇ(人間性疑)笑
      因みにこの作品は良くも悪くも白新堂要素は無いですよー!まぁ、エンタメもグロもサイコな展開もありませんでしたが(笑)
      ちぎれた髪の毛ちゃん達のご冥福をお祈りします...笑
      2021/12/24
  • 昼ドラ感満載で、そういうのが好みの方にはとても楽しめそうな作品。

    ちょっと話が飛躍している気がしないでもないですが、多かれ少なかれこういう嫉妬のこじれは現実社会でもあちこちで起こっていそう。

    気軽に1日で一気読みできてしまいました。

  • 身分不相応な国立幼稚園のお受験を目指して必死になるあまり、精神に異常をきたし、幼なじみの金持ちママの子供を殺害してしまうというストーリー。
    まー、とにかく気分の悪い小説よ。そんななってまでお受験させないといかんですか、と。しかも割合よくあるストーリー展開?ママ友達の弱みを握っておとしめたり…。
    気分は悪いが、スラッスラ読めるリーダビリティの高さはさすが。

  • 2016.11.19読了
    余りにも主人公と他のママたちの生活レベルの差がありすぎて、ちょっと現実味がなく違和感。セレブはセレブの中で競いたいでしょ?とか。しかし、親になってこういう本を読むと、色々考えることもあるのも確かで。(図書館)

  • ハイソな奥様の輪に加わり!愛娘のお受験にはまるのぶ子。英才塾やピアノ教室に通わせるなど、娘を一心不乱に合格へ導こうとする。そんな彼女がスーパーで万引きする仲間の一人を目撃した。ライバルを蹴落とすチャンス。彼女に芽生えた小さな悪意が凄惨な事件を引き起こす。お受験を通し、平凡な主婦が狂気を増幅させる様を描いたミステリー

  • 途中までは面白かったのに…。
     まず、主人公が国立にここまで執着する理由がよくわかりませんでした。また、ハイクラスの周りの人物も国立に執着していましたが、抽選なんて不確かな選考方法のある所を唯一の受験校にするとは思えません。有名な私立小学校を目指すと思います。
     お受験殺人事件をモチーフにしたものは、他に「森に住む魚」をよみましたが、登場人物皆に感情移入できて大変面白かったです。

  • お受験ママの最高にドロドロとしたイヤミス。

  • 経済力を考えずに、無理をして有名幼稚園を受験させようとする愚かな母親。
    その原因は自分の生い立ちにあったようだが、全く理解できない。裕福な母親たちの間では反って惨めなだけではないか。
    それを指摘する、公園で出会った母親がいたのにそれがエピソードで終わってしまったのは残念。
    少々深みに欠けた印象。

  • お受験~、コワイよ~~!!!

  • 初めて読んだ著者の本だったけど読みやすくすいすい読了。お受験ママ達の確執の話だからドラマとかでよくあるやつ!とぉっ思って想像もしやすくておもしろかった。
    とにかく主人公ののぶ子がいけ好かない虚言癖野郎だし、大人しくて陰気なくせに人気者を妬み、なんの努力もしないくせに孤独だー不幸だーと喚き、挙句の果てに日陰の人生の自分の気持ちはわからない!とか逆ギレ。。。典型的な陰険女!そして娘に異常に厳しい!なぜなら昔の自分を重ねてるから!まあのぶ子も幼少期母親に同じようにされて育ったらしいから仕方ないとはいえ、こういう風に誰かを貶むことでしか自己防衛出来ない人って大嫌い!関わりたくない!
    十和子は素晴らしい。そりゃ人気にもなるよね。なのに十和子かわいそうだし踏んだり蹴ったりだしひどい!
    でもまぁ人の心の闇は本人にしかわからないから無理に仲良くしたりお節介やいてはいけないねぇ。

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著者プロフィール

1998年作家デビュー。2003年『忘れ雪』が大ベストセラーとなる。『ある愛の詩』『あなたに逢えてよかった』と続く“純恋小説”という新ジャンルを打ち立て、話題となる。著書に『動物記』『ブルーバレンタイン』など多数。近年、『虹の橋から来た犬』がスマッシュヒットとなる。

「2023年 『なごり雪』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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