恋いちもんめ (幻冬舎文庫 う 4-3)

著者 :
  • 幻冬舎
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  • Amazon.co.jp ・本 (317ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784344411357

作品紹介・あらすじ

年頃を迎えたお初の前に、前触れもなく現れた若い男。彼女の見合い相手と身を明かす栄蔵にお初が惹かれはじめた矢先、事件は起こった……。純愛の行き着く先は?感涙止まぬ、傑作時代小説。

感想・レビュー・書評

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  • 著者、亡くなってしまった。哀しい。惜しい。

  • 2006年9月幻冬舎刊。2008年6月幻冬舎文庫。長編。再読。ゆっくりと話しが進むが、冗長ではなく、飽きることもない。宇江佐さんの市井の江戸世界は、心地よい。

  • 体の弱い兄の面倒を見るために、田舎で養父母に預けられた水茶屋の娘お初。お初を似た境遇として裁縫の師匠から勧められた青物屋の跡取り、栄蔵。紆余曲折の恋の物語は、双方の身近な事件を絡ませ、簡単に夫婦になっているはずが遠回りに。

    宇江佐真理さんの、江戸情緒たっぷりに、若い男女の心の機微をうまく表現した物語で『涙活』にぴったりな一冊!

  • 幼いころは村で里親に育てられた水茶屋の娘、お初が出会った栄蔵。真っ正直に生き過ぎて、ちょっと辛いこともあるお初と栄蔵の組み合わせがほほえましいなあと思っていたら、いきなりな展開、そしてラスト。ぐっときました。よい時代恋愛小説ですねえ。お初が、とりすました少女でないのが面白かった一因だと思います。ラストは、珍しく素直なお初の台詞が……!おすすめです。

  • 先が気になって一気に読んでしまった…
    さすが、面白かった!

  • 江戸・両国広小路の水茶屋「明石屋」の娘・お初の初恋と純愛を描く市井人情もの時代小説。
    いつの時代でも、男と女は恋焦がれて恋に破れる。成就することもあれば、死に至ることもある。誰が決める訳でもなく、己の本能と運命が導くものだろう。宇江佐作品らしい、ちょっとビターな人情ものである。「未練の狐」という言葉が面白い。

  • 市井人情物、、、そして、江戸っ子の恋愛物。
    宇江佐真理氏の時代物小説は、ほのぼのしていて読んでいても、ゆったりとした気持ちで読める。

    作者は、北海道出身のはずなのに、江戸の町並みを描けるし、江戸っ子の性質を網羅しているように思う。

    幼い時に、里子に出されたという共通の生い立ちを持つ男女の2人。
    水茶屋「明石屋」の娘 お初と、青物屋の息子 栄蔵。
    栄蔵の強引さに、お初も引かれて行くのだが、店の火事、母親の死、そして、横恋慕する幼馴染の藤城屋のお嬢様のおふじに、翻弄されながら、物語が、進んで行く。

    どちらも、世の流れで、身を引いたりしながらも、お初の父親が、とても理解者で、2人へ、冗談を言いながらも、親身にかまってやる所が、心憎い。

    さてさて、2人が結ばれる所までは、描かれていないのに、、、2人の未来を、全て、読者に理解出来るように持って行く書き方が、この作者の凄い所と思う。

  • 月9でドラマ化してほしいな。フジだったらいい感じでやってくれそう^ ^

  • 両国広小路で水茶屋を営む「明石屋」
    その明石屋の娘、17歳のお初がこの物語の主人公。
    お初は子供の頃、兄の体が弱かったのを理由に里親に出されていた。
    そのせいもあり、家族にどこかなじめず、水茶屋という家業を嫌っている。
    そんなお初に縁談話がひょっこり持ち上がった。
    相手は八百屋のせがれ、栄蔵。
    最初からお初を気に入ってるらしい栄蔵と最初は素直になれないお初。
    だが、少しずつ二人の距離は縮まっていき、このままうまくいくのかと思いきや、おふじという栄蔵につきまとう恋のライバルが出現。
    さらに衝撃的な出来事が起こり二人の仲は思いがけない方向へと進んでいく。

    良かった!
    この作者の本はこれを合わせてまだ3冊しか読んでないけど、その中で一番良かった。
    17歳の揺れ動く娘心、淡い恋心が自然に描かれているし、主人公のお初の性格にも好感がもてる。
    生真面目で率直で不器用な性格で・・・。
    そんなお初が素直になれず言いたい事が言えない、おふじの存在にヤキモキする様子。
    見ていて共感できるし、とてもいじらしいな~と思った。

    またこの人の書く小説は他もそうだけど、四季を通しての当時の生活ぶりがちゃんと描かれていて季節感を感じながら読むことができた。
    また、両国という江戸っ子気質みたいなのも伝わってきた。
    特に言葉。
    女性なんかでも怒った時に切る啖呵はかなりなもので、読んでいるだけでもヒヤッときた。
    主人公のお初にしてもただ黙って耐えるだけでなく、ちゃんと言いたい事は端切れのいい江戸っ子言葉で言い放つ。
    見ていてヒヤッとしつつも気持ちが良かった。

    茶屋というのは今の喫茶店みたいなものかと思っていたら、どうも水商売に近いものなんだとこれを読んで分かった。
    そんな茶屋で働く女性の訳ありな様子が描かれているのも楽しめる本だった。

  • 純愛小説である。

    生きていくために生活している江戸時代、そんな中で懸命に
    生きる姿が描かれている。

    お初がみた栄蔵の姿にすごくひかれる。読んだだけで、情景が浮かぶ・・・

    「天秤棒をかついだ、触れ売りがゆっくりと広小路を横切っていく、
    その触れ売りの影から大根の束を抱えた体格のよい若者がぬっと姿を現した。」
    「藍染の印半纏に捻り鉢巻、半だこに草鞋履きという格好だ。」

    源蔵の江戸の粋には脱帽である!
    最後のページで涙し、感動しました。

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著者プロフィール

1949年函館生まれ。95年、「幻の声」で第75回オール讀物新人賞を受賞しデビュー。2000年に『深川恋物語』で第21回吉川英治文学新人賞、翌01年には『余寒の雪』で第7回中山義秀文学賞を受賞。江戸の市井人情を細やかに描いて人気を博す。著書に『十日えびす』 『ほら吹き茂平』『高砂』(すべて祥伝社文庫)他多数。15年11月逝去。

「2023年 『おぅねぇすてぃ <新装版>』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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