永遠の旅行者 上 (幻冬舎文庫 た 20-2)

著者 :
  • 幻冬舎
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感想 : 50
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  • Amazon.co.jp ・本 (364ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784344411746

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  • 「自由」の理想系。

    大手弁護士事務所のジュニアパートナーの座を目前にした主人公は、その身分をなげうって自由を手に入れる。
    彼は「非居住者」としてオフショアを転々とし、どの国家にも納税しない、独立した個人だ。

    冒頭の会話が秀逸。
    バカンスでハワイのビーチにやってきたNYの弁護士ビルとの会話。

    ひとしきりわが身の不幸をしゃべり散らしたあとでビルが訊いた。
    「ところで君、なにしてるの?」
    「海の見える場所を旅してるんだよ」
    「それに何の意味があるんだい?」
    「なにもないよ」
    「どういうこと?」
    「人生に意味があるとかないとか、そんなのうんざりだよ」
    「なんてことだ!」ビルは叫んだ。「君は俺の人生の師匠(メンター)だよ!」

    理想のアーリーリタイアメント。

  • なんとなく読了感が村上春樹に似ているような似ていないような。

  • すてきなロードムービーで、かなりサスペンスで、脱税テクニックの手引書であるとともにラブストーリーでもあります。シベリヤに抑留された祖父、ドラッグ中毒になってしまった息子、総合失調症のその娘の3代に渡る壮絶な人生が書かれています。

    「君はたくさんの素敵な恋をして、お伽の国の王女さまのように幸せなるんだ」

    「これからは、あなたが自分の人生を楽しむのよ。そして、いじわるで高慢で魅力的な女になりなさい」

    こんな言葉で人を励ませる人にになりたい、と思わせる小説でした。ちょっと難しいけどかなりおすすめ。

  • 一切納税をせずに遺産を相続させるというミッションを行いながらも“天使”を救うストーリー。
    合法的に税金を払わないで生きていくってことが可能なんだって事を知った。読むペースをつかむのに時間がかかった。ハワイに行ってみたくなった。

  • 税金とはなんなのか、再考させられる本。ストーリーも、なかなか面白く、病みつきになる

  • 会計、法律、様々な事がリアリズムをもって書かれている名作。

  • 自分も永遠の旅行者になりたいと思いながら読んだ本。(笑 

  • 橘 玲の小説2作目。相変わらず面白いんだけど、前作「マネーロンダリング」に比べると、ちょっと冗長でドキドキ感がおちるかなという印象。まぁ、こんな金融知識をふんだんにミステリーに取り込むことができる著者なんてこの人以外いないので、そういった異色の世界観を体験できる意味で貴重な小説だと思う。似たような小説みたことない。

  • なかなか面白い。税金を払わずに世界中を行き来している元弁護士に起こるお話。精神分裂症の少女への無税での20憶円の相続を依頼されている。この作者の「マネーロータリング」は読んでいるが税制、金融にはかなり精通されている。小説としてもなかなかだと思うが。相続で言えば自分自はかなりの借金を相続するのは目に見えている。

  • 租税回避スキームの一つ「パーマネント・トラベラー」(通称『PT』)を題材にした小説。
    PTは、税金の支払い義務が発生するよりも前に、世界各国を常に移動をしつづけることで合法的に税金の支払いを回避する方法。

    読むきっかけとなったが、現在放送中のNHKドラマ「チェイス」。
    これがすこぶる面白くて、ドラマの原作本を探していたところ、
    関連書籍としてピックアップされていたので買ってみた。

    当初は「ハゲタカ」的なビジネスライクなストーリーかと思ってたんだけど、
    意外とサスペンスよりの内容だったw
    あと舞台となるハワイやNYの描写が結構細かいので、その辺の土地勘に明るいとより楽しめるかも。

    出てくる人たちも弁護士、プライベートバンカーにハワイのコーヒー豆農園オーナーと実在するんだろうけど、知り合いにはいない職業だったり、
    また悠々自適な主人公の暮らしっぷりを読んでるだけ、いい感じで現実逃避できます。

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著者プロフィール

2002年、金融小説『マネーロンダリング』(幻冬舎文庫)でデビュー。著書に『お金持ちになれる黄金の羽根の拾い方』(幻冬舎)、『日本の国家破産に備える資産防衛マニュアル』『橘玲の中国私論』(以上ダイヤモンド社)『「言ってはいけない? --残酷すぎる真実』(新潮新書)などがある。メルマガ『世の中の仕組みと人生のデザイン』配信など精力的に活動の場を広げている。

「2023年 『シンプルで合理的な人生設計』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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