- Amazon.co.jp ・本 (216ページ)
- / ISBN・EAN: 9784344411821
作品紹介・あらすじ
ヘルシンキの街角にある「かもめ食堂」。日本人女性のサチエが店主をつとめるその食堂の看板メニューは、彼女が心をこめて握る「おにぎり」。けれどもお客といえば、日本おたくの青年トンミひとり。ある日そこへ、訳あり気な日本人女性、ミドリとマサコがやってきて、店を手伝うことになり…。普通だけどおかしな人々が織り成す、幸福な物語。
感想・レビュー・書評
-
とても不思議な魅力をもつ物語でした。
経緯は割愛するとして、38歳の独身女性が、ヘルシンキで一人で食堂を始めます。シンプルな味、正直で真面目な仕事を心がけ、特に店の宣伝もしません。
なぜかこのお店に、日本人の訳ありの中年女性が次々と吸い寄せられるようにやってきて、質素な生活の中に、温かな幸福が広がっていきます。
人見知りの激しい地元の人たちの理解も進み、このお店を起点にして、人と人との関係性が良好になっていく展開に、読み手も頑張ろうとする元気と幸せのお裾分けを頂いているようです。
食文化の違いで、「おにぎり」のよさが伝わらない場面が何度もありましたが、最後にその味を認めてくれる人が登場し、少しホッとしました。
最後の晩餐は、シンプルに「絶品塩結び」でいいかもしれません。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
母を早くに亡くし、
「人生すべて修行」という言葉が口癖の父のもとで育ったサチエ。
自分の店を持つ夢を叶えるべく頑張る話。
かと思ったのですが、、、
宝くじがあたり、父親をおいてひとり海外へ。
念願だった自分のお店を持ち、
のんびりとした生活を手に入れますが、、、
”のんびり”できるのは、
一億円を持ってる故の余裕から…?
合流したミドリも、
初めはお店の経営が芳しくないことを心配して、
サチエとぶつかりながら、あれこれ試行錯誤を試みるが、サチエが大金を持ってると分かった途端、
その情熱は何処へやら。
うーん。
あんまり好きになれなかった作品。 -
群ようこさんの作品、初読み
一念発起して日本を飛び出し、フィンランドで店を開きたくましく生きていくサチエの元に、訳ありの人達がそれぞれ店にやって来て触れ合っていく話
特に大きな事が起こるわけでもなく淡々とした文章なので肩肘張った感じはないものの、サチエにはブレない信念があって、芯の強さを感じる
すごく印象に残る小説ではないが、読んでいて心が和むのでゆったりした気持ちになりたい時におすすめ
おにぎりが大好きな私は、フィンランドの客に「おにぎり美味しいから注文して」と常に念じていた -
片桐はいりさんの「グアテマラの弟」、「私のマトカ」に続いて、小林聡美さんの「凛凛乙女」ときたら、次は「かもめ食堂」ですよね~
映画も観てしまったので、この1週間はちょっとフィンランドに浸りました。
大きな出来事がおきるわけでもないのですが、雰囲気はすきです。
登場人物もいいですね、漢字のネーミングはすごい。トンはやっぱり豚だったか・・・それを無邪気に喜んで練習するほうもするほうだが。
幻冬舎さんのKindleセールに感謝です。
まとめて読むと、撮影当時の空気まで感じられるような気がします。
かもめ食堂はもっと木の香りがするお店だともっとよかったかな。(これは映画のお話ね。声が反響するくらい無機質で、北欧感がなかったなあ。みなさん、どうなんでしょ? 北欧って木のイメージ、デザインに優れたイメージはないでしょうか?) -
シベリウスの交響曲を聴きながらさらーっと流し読み。
いい世界観ですね。
もともと私自身も北欧好きなので気に入りました。
かもめ食堂の素朴なところもとてもいいです。
残念ながら北欧の国には一度も行ったことがないんだけど
やっぱ一度は行ってみたいな~と思わせる内容でした。
サチエさん曰く
どこに住んでいても、どこにいてもその人次第なんですよ。
その人がどうするかが問題なんです。
しゃんとした人は、どんなところでもしゃんとしていて
だめな人はどこに行ってもだめなんですよ。
きっとそうなんだと思う。 -
片桐はいりさんの「わたしのマトカ」を読んで、手に取りました。映画も随分まえに観たので思い出しながら読みました。ゆっくり、のんびり、穏やか、この3つの言葉が思い浮かびますね。こんな風に過ごしたいですね。
フィンランドに行きたくなります。 -
小林聡美、片桐はいり、もたいまさこが出演している映画のために書き下ろされたと聞くと、
もうわかる。
それぞれの役者が目に浮かび
作品が読みながら出来上がって、抜けられない。
役者が作品を作っている「映画は見てないが」
やはり無で作品と向き合うのが良いな、
完成された作品。
まあ、ゆったりとした流れで、まあ良いのかも。
結構内容にはツッコミを入れていた。
自分には読んでも読まなくても良い。
フィンランド雑貨が好きで
イッタラを集めていた。
きれいだよね。
久しぶりに、また雑貨を見たい!
フィンランド雑貨の人気は
この映画も関係してる?わからないけど。 -
フィンランドでおにぎりをだす食堂をはじめたサチエと、そこで共に働くことになったミドリとマサコ、そして常連になる日本びいきの学生・トンミくんをまじえた、ささやかであたたかな物語。
サチエが宣伝もせずにひとり、飛び込みではじめた「かもめ食堂」。おにぎりはさっぱり売れないのだけれど、コーヒーやシナモンロール、パンや軽食は少しずつ注文されるようになっていく。その日々がおおらかな文体でゆったりやわらかく進められていきます。「文学」なんて硬さはありません。「小説」といったようなてらいもありません。なんのひけらかしも、頭のよいところをみせるような技巧もありません。ともすれば、そここそが本作品の心地よさを作りだしている手法となっているのかもしれません。そうなんです、読んでいて、言葉の柔らかさも表現やストーリーの柔らかさも、とても心地よいのでした。
おにぎりをマサコが食べるシーンでは、周りのフィンランド人たちが興味と好奇心から口々におにぎりについて言葉にするさまが可笑しい。
「黒い紙よ」
「白に黒のコントラストの食べ物って、見たことあるかい」
「御飯の積み木みたい」
「あれが、このメニューにあるおにぎりなのか」P169
こういう物語が多くの人に受け入れられることについて、みんな疲れているからじゃないだろうか、なんてことが思い浮かびはするのです。けれども、この物語の味わいこそがおいしく握られたおにぎりのようなんだと気付くと、色合いが違って見えてきます。地味だし素朴なのだけれど、食べるとおいしくて力が出てくる。この物語もそういった味わいがあります。そして、鮭やおかかといった中身の具のようなアクセントも、随所で物語の盛り上がりとしてあるのでした。
また、すこしだけ効いた塩味めいた箇所もでてきます。たとえば、ひとりで店をはじめたばかりの子どものように見えてしまうサチエの様子を外からうかがうフィンランドの人のセリフ。
「児童虐待じゃないだろうね。元気に楽しくするしかないって、あきらめているんじゃないだろうね」P6
上記のセリフを含めて、日常の温度感でさりげなく、「そういうものだからなあ、仕方ないんだよ」としての感覚で、世の中・人の世知辛さが描けているところがあるのが本作品を手にして思わぬところではありましたがよかったところです。ミドリにしてもマサコにしても、そういった境遇・環境にあってフィンランドへやってきています。彼女たちの背景としてあるものは、女性であることでの不利益でもありました。
世知辛さだけではなく、どうしようもできないような割り切れない状況や環境に運命によって身を置かれてしまう大変さも、登場人物の過去つまりその人物の今に至る要因・背景として、さらりと書かれているのもよいところなんです。ある意味、恨みや憎しみで書くよりか、さらりと書かれたほうがほんとうですから。それがおにぎりの塩味めいていました。
といったような、素朴な豊かさを宿した作品です。手にする方は、コワモテで読んではいけませんよ。 -
フィンランドのイメージに合った、ほっこりした温かい気持ちになる作品でした。
日本人女性が宝くじが当たったこと等をきっかけに、フィンランドで食堂を始めるわけですが、開店からの日常をゆっくりながらも良いテンポで描かれているなと思いました。読み終わると、おにぎりが食べたくなります(笑)
途中に出てくる挿絵もシンプルで、なんだか可愛い。文章もそんなに長くなくて読みやすかったです。 -
大好きな何度も見た映画の原作。やっと読めたー。
読んでる間、映画に出演していた俳優さんがチラチラ頭に浮かんできたけど、私的には本の中の人は微妙に違う人に思えた。映画化された原作本を読む際もその逆の時も、時々そんなことを思ってしまう。ファーストインプレッションってやつでしょうか?どっちを先に読む(見る)かでまた印象が違うなあ。
でも漂う雰囲気は、本の方もちゃんとほっこりでした。
著者プロフィール
群ようこの作品






この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。





