ひとかげ (幻冬舎文庫 よ 2-15)

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  • Amazon.co.jp ・本 (126ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784344411852

感想・レビュー・書評

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  • 「とかげ」 の本人によるリメイク版
    子どもの頃のいわゆるトラウマを抱えて生きる二人。お互いにだけしか、心を開けない・・・それもちょっとだけ・・・二人の姿は、子育てが終わり二人だけになった私たち夫婦の関わりに少しだけリンクする。
    「とかげ」よりも、人のぬくもりが感じられて、なんだかホッとする。

  • 私の中にとかげのような形の影がある。
    リメイク版のほうがぐっとくるフレーズが多くてすき。
    行きたいときに行きたいところへ。ふたりきりで。

  • 生きていくうえで、大切なこと。それは、温度の合わない人と一緒にいるとうまく生きにくい、と肌で知ることだと思った。

    心の闇は、だれかと分かち合うことで、前へ進めるようになることもある。一方で、だれかの明るさが重荷になることもある。。。けれどそのラインって、すごく僅差でむずかしい。

    描かれているのは、児童専門のカウンセラーや気功士の独特の恋愛模様。人と密接にふれあう職業だからこそ、幼少時代の近しいトラウマを持つからこそ、分かり合えることがあるんだな。こんな繊細な作品は、よしもとばななにしか書けない。そういう所も含めて、とかげより「ひとかげ」の方が好き。すべてを受け入れられる人間になりたいなと思った。

  • 「人は好きな暗さの中で好きなように生きていいんだ。」(p.52)

    「どんな悪意にも壊されないものはこの世にあるの」(p.60)

    「どんなつらいことがあった子どもでも、それがしみのように生涯体から取れなくても、ふっと忘れてうまいものを食べておいしいと思ったり、天気のいい日にいい気分になったりする。少なくともそういうことは生きていたらある。恋をしたり、恋人と成田山に夜中に来たり、意外なことがいつだってある。大したことじゃないけれど。」(p.74)

  • 2012/08

  • どんな悪意にも壊せないものがこの世にはあるの。

  • 随分昔、子どもの頃に読んで印象的だった「とかげ」がリメイクされていたと聞いて手に取りました。
    併録されているとかげと読み比べると、うんうん、確かに本筋もところどころの描写もそのまま、仕事への取り組み方、人との関わり合い方、生きる事への姿勢がより深く描写されて「人」が彼らに落とす「影」の部分と、それにより浮かび上がる光がより感じられる物語が繰り広げられているな、と。
    ぎゅっと削ぎ落とされた濃密な空気の詰まったとかげ、そこからより一歩深く闇と光が色鮮やかに見えてくるひとかげ、どちらからもよさが手に取るように伝わって心地よくやわらかに胸に落とされる光と影を感じました。

  • 「とかげ」のリメイク版。

    比べて、読んでみると、
    大きなストーリーは、変わらないけど、
    確かに、細かいところが違うね。

    とかげ♀と私♂。
    過去の事件がきっかけで、
    心に闇がある者同士、惹かれ合う。
    二人で次第に希望を見つけていく。
    若干、重いね。

  • とかげ より ひとかげ の方が個人的には好き

  • 先日読んだ、「とかげ」のセルフリメイク。
    タイトルから、そうなんじゃないか、と思って借りてきたらビンゴだった。
    レビューを読むと前作よりよくなったという声が多いが、私は前の方が好きかも知れない。

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著者プロフィール

1964年07月24日東京都生まれ。A型。日本大学芸術学部文藝学科卒業。1987年11月小説「キッチン」で第6回海燕新人文学賞受賞。1988年01月『キッチン』で第16回泉鏡花文学賞受賞。1988年08月『キッチン』『うたかた/サンクチュアリ』で第39回芸術選奨文部大臣新人賞受賞。1989年03月『TUGUMI』で第2回山本周五郎賞受賞。1993年06月イタリアのスカンノ賞受賞。1995年11月『アムリタ』で第5回紫式部賞受賞。1996年03月イタリアのフェンディッシメ文学賞「Under 35」受賞。1999年11月イタリアのマスケラダルジェント賞文学部門受賞。2000年09月『不倫と南米』で第10回ドゥマゴ文学賞受賞。『キッチン』をはじめ、諸作品は海外30数カ国で翻訳、出版されている。

「2013年 『女子の遺伝子』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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