県庁の星 (幻冬舎文庫 か 23-2)

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  • 幻冬舎
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  • Amazon.co.jp ・本 (324ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784344412026

作品紹介・あらすじ

ここでなにが学べる?県民の食生活か?-県庁に勤めるエリートが、民間企業に出向することになった。選ばれたのは、二万九千人の職員の中から、たった六名。そんな栄光を勝ち取った野村聡だが、研修先は、なんと片田舎のスーパーだった。臨機応変な対応が求められる現場で、頭のかたい偏差値エリートは鼻つまみ者として扱われるが…。

感想・レビュー・書評

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  • 私は勝手に山梨県を頭に浮かべて読んだ。
    でも県庁ではなく、しばらく前にきれいになった甲府市役所。
    そこに、クールで細い銀フレームのメガネが似合う、隠しきれない爪を持つ鷹のように、頭のキレる人がいたのだ。
    都内の有名大学を卒業して地元で上級公務員になったと想像してしまう彼。
    今どうしてるかな。県庁に出向していても不思議じゃない感じがした。

    県庁勤務の若者が、一年間民間企業で研修をする。
    彼らは身の丈に合わない仕事だと、自分の能力がもったいないと、プライドをピカピカかせて不満を言う。
    民間のレベルが低いのか?はたまた、県庁さんが...?!

    スーパーが舞台なので人間関係や裏事情などが想像でき、社員よりパート職員の方が店や客をよく知っているとか、できるパート職員がいるとか、賞味期限切れの食材で惣菜を作るくだりなんか、実際にありそうでびっくりした。
    いつも行くイオンはどうなんだ?!コロッケ美味しいけど、まさかね...!!

    最初は県庁さんが典型的な役人風で滑稽だったけど、やっと後半になって頭角をあらわすところ、その影には影の店長であるパート職員さんがいたりして、痛快だった。
    もっと県庁さんが成功するところを読みたかった。

    与えられた場所で周りに溶け込み、信頼を得て、有形無形の抵抗に合いながらも自分の能力を発揮するなんて難しいだろうなぁ。しかも期間限定だし。
    私だったら、おとなしくやり過ごしちゃうかもしれない。

  • 映画を見ないで初見で読みました。
    普通に面白いです。
    なんとなく読める展開ですが、気持ちよく進行して、しっかり感動していい作品だと思いました。
    もう少し役所の同僚の話を広がったり、この経験を役所でどのように活かすのか、など広がった展開があれば星5でした。
    面白いのに、サッと終わって、もっと読みたい残念な気持ちでしたので星4
    展開も早く難しい表現もないので読みやすい。
    続編があれば読んでみたいです。
    桂望実さんの作品は初めて読みましたが他の作品も読んでみようと思います。

  • 2006年の同名映画の原作だが、映画とはかなり違う。最大の違いは、映画では柴咲コウが演じたヒロイン・二宮が、小説では45歳の太ったオバサンであるところ。

    映画版は、織田裕二演ずる主人公と二宮の淡いラブストーリーでもあった。対して、この原作にはラブストーリー要素が皆無で、徹頭徹尾「お仕事小説」になっている。

    違いはあっても、これはこれで面白い。

    小説のほうが、県庁や舞台となるスーパーの仕事内容が詳細に描かれている。

    ただ、話があちこちに飛んで、やや構成が散漫だ。
    二宮と20歳になる息子の関係の描写とか、別れた夫とのやりとりとか、「これ、いらんだろ」と思ってしまった。

    映画のほうが、はるかにストーリーがスッキリとしている。脚本家の仕事ぶりがプロである。

  • 昔読んで、スカッとした本。映画化もされたけど、原作の方がリアリティがあって心温まる感じだったかな。

  • さくっと読めて楽しく読後もすがすがしくよかった。

  • 岐阜聖徳学園大学図書館OPACへ→
    http://carin.shotoku.ac.jp/scripts/mgwms32.dll?MGWLPN=CARIN&wlapp=CARIN&WEBOPAC=LINK&ID=BB00395254

    民間企業との人事交流で、片田舎のスーパーに派遣されることになった県庁職員、野村聡。臨機応変な対応が求められる現場で、頭のかたい偏差値エリートは鼻つまみ者として扱われるが……。(出版社HPより)

  •  官公庁に勤める役人が民間企業に1年間の研修に来たらどうなるのか、ということをテーマにしたエンタメ小説。
     なんとなく想像がつく展開ではあるが、人は置かれた立場をどのように捉え、どう動くのかによって、その後の展開も大きく変わってくることがわかる。「郷に入ったら郷に従え」とも言われるが、それも時には従うべき重要なことであり、時には変えていくべき悪しき習慣でもある。いずれにしても、自分の考えに固執し過ぎていては、開けるものも開けなくなってしまう。柔軟な対応力が求められているように思う。

  • 県庁職員の野村が1年間スーパーで研修する物語。
    スーパーの従業員のキャラクターの濃さに圧倒されますが、実際にいそうで現実味がありました。従業員や客の目線に歩み寄っていく野村の努力は好感が持てます。
    主人公は野村ですが、準主人公として研修期間中の指導係二宮泰子の存在も大きかったです。パートながらも他の従業員に作業の指示したり出したり、独自に客層を掴んでお店を回す手腕はカッコいいのですが、母親として息子との関係のぎこちない面や上手く俳句が読めず悩む様子は応援したくなります。
    そんな二人と個性強い従業員が一つとなって保健所の再査察を受け入れる団結力は心地よかったです。

  • 映画を観ていないので、情報のない、真っ白な状態で読めました。
    冒頭の県庁さんのスーパーへの研修の様子で、大体、大まかなストーリーが浮かんでしまいました。
    それでも、後半、県庁さんが何をきっかけに、どう変わっていくのかなぁ、という視点で読んで楽しめました。
    県庁へ戻ったら、煙たがられるかも知れないけれど、きっといい仕事をしてくれるはず!

  • 県庁の若手エリートが片田舎のスーパーに研修にでる。プライド高く、使えないエリートを指導するのはパートのおばちゃん。少しずつエリートの態度が変化していき、最後はハッピーエンド。300万は騙されたままなのかな。

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著者プロフィール

一九六五年東京都生まれ。大妻女子大学卒業後、会社員、フリーライターを経て、二〇〇三年『死日記』で「作家への道!」優秀賞を受賞し、デビュー。著書に『県庁の星』『嫌な女』『ハタラクオトメ』『頼むから、ほっといてくれ』『残された人が編む物語』『息をつめて』など。

「2023年 『じゃない方の渡辺』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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