名画座番外地: 「新宿昭和館」傷だらけの盛衰記 (幻冬舎アウトロー文庫 O 95-1)
- 幻冬舎 (2008年12月1日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (283ページ)
- / ISBN・EAN: 9784344412361
作品紹介・あらすじ
三百六十五日のほとんどをヤクザ映画の上映にあてていたワイルドな劇場、新宿昭和館。そこはまさに、アウトロー見本市だった。館内でたき火をする客、額から血を流しながら徘徊する男、スクリーンの中の高倉健に喧嘩を売る酔っぱらい。ここは本当に映画館なのか?惜しまれつつも閉館した伝説的名画座の従業員による、壮絶なる馬鹿騒ぎの記録。第五回幻冬舎アウトロー大賞特別賞受賞。
感想・レビュー・書評
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「任侠映画の聖地」と呼ばれたヤクザ映画専門の名画座(ただし、ヤクザ映画以外を上映することもあった)――「新宿昭和館」の最後の20年間を、元従業員が綴ったメモワールである。
いや、「メモワール」などという横文字が似合うほど上品な内容ではない。
なにしろ、ヤクザ映画専門なだけに客層も荒くれ者が多い(本物のヤクザも多数)。トラブルは枚挙にいとまがなく、従業員も客に劣らず破天荒でアバウト。警察ざたも多く、売店には木刀が置いてあり(!)、「スクリーンの中も外も正に無法地帯」。
「これはほんとうに全部ノンフィクションなのか?」と思わず首をかしげるほど、暴力的でハチャメチャなエピソードが満載なのである。
一言で言えば、「ものすごくガラが悪い『ニュー・シネマ・パラダイス』」という趣。もう一言加えれば、「ゲッツ板谷が新宿の名画座を舞台に書き下ろした、日本版『ニュー・シネマ・パラダイス』」みたいな感じ。
もっとも、ゲッツ板谷の本ほど文章に魅力があるわけではないのだが、暴力的エピソード満載で大いに笑えて、それでいてホロリとするところもある、というあたりがゲッツ板谷テイストなのである。
ヤクザ映画好きなら必読。そうでなくても、ガラの悪い話に免疫があって不快を感じなければ、楽しめる一冊。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
昭和から平成のはじめにかけて存在した新宿昭和館。いつもヤクザ映画を上映していた古い映画館で、その存在は僕も知っていた。そこで働いていた著者の思い出話。読んで損はないが、期待して読むと、ちょっとはずしてしまうかも。
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新宿昭和館には1970年代に10回ほど入ったことがあると思う。おぼろげな記憶では、この本に書いてある程にはヤバイ感じはなかった。著者の働いていた時代と少しずれているためか、それとも私が鈍感だったせいか?
それはともあれ、人間群像の読み物としては面白い。当時の新宿の街とそこに集まってくる人々の一断面を実感させてくれる。映画そのものについての記述は少ないので、そちらは期待しないで読んでほしい。 -
昭和館で働いていた著者による昭和館にまつわる物語。
あらゆる意味で強烈なエピソードが多く、ゲラゲラ笑いながら楽しく読めた。 -
やさぐれ、うらぶれ、笑いに涙。
昭和の新宿風情もサイコ−♪
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昭和臭の漂うエピソードとファンキーな人々。
こういう場所ってどんどんなくなるんだろうなぁ。