椿と花水木 下: 万次郎の生涯 (幻冬舎文庫 つ 2-21)

著者 :
  • 幻冬舎
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感想 : 14
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  • Amazon.co.jp ・本 (494ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784344412590

感想・レビュー・書評

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  • 万次郎が江戸に入って封建的な匂いがしてから急に話がつまらなくなったのもまた当時の日米の違いを表しているのかも。
    しかし万次郎の通訳を拒否して不平等条約を結んだ江戸幕府には辟易とするし、もしそうでなかったら確実に歴史は変わっていたのだと思う。

  • ジョン万次郎の生涯の後編。捕鯨から帰ると妻のキャサリンが亡くなっている。後編は読後感は少し重い。失意に沈む万次郎は帰国を決意し、カリフォルニアで金の採掘をしてからハワイに寄り、仲間とともに帰国する。琉球に降り立つ作戦が奏功する。琉球は島津氏の傘下で、かつその時の殿様は斉彬。こういう所もついている。そういう運命だったのだなと思わずにはいられない。しかし覚悟して帰ってきたもののやはり日本は重苦しい。死罪にならなくて時代が彼を必要としてくれたにも関わらず、やはり重い。見えない天井がそこにある。それでも天寿を真っ当できて、船長ともアメリカで再開できて良い人生だったのだろう。足るを知っていたというのだろうか、実利的な人だったのだろう。とても魅力的で多くの人に知ってもらいたい生涯だった。読んで良かった。しかしこの本に書かれる水戸の斉昭と勝海舟は本当に嫌なやつだ。もちろんいい所もあるんだろうけど、斉昭なんて最悪だな。勝もちょっと見方が変わった。

  • ●後半あらすじ
    日本に帰国した万次郎は、まずは沖縄、九州を経て取り調べを受けたのちに土佐へ帰る。久々の家族との再会は素晴らしい出来事だったが、豊かなアメリカで教育を受けた万次郎に実家の暮らしは難しかった。すぐにペリーの通訳のため江戸によびたてられた万次郎だったが、政府には「アメリカのスパイ」を怪しまれて苦労する。やがて、大きな漁船の開発を担当して再びアメリカの地をふむことになるが、最後は日本で子供や孫に囲まれて一生を終えた。貧しい暮らしだったらしい。

    アメリカで高い教育を受け、当時としてはありえないくらいの英語や世界の知識を持って日本にやってきた万次郎を、当時の政府は上手に生かしきれなかった。ものすごく勤勉で実直な人だったようだし、常に謙虚で頭が下がる。奥さんをなくさなければきっとアメリカで一生を終えたのだろうな。どちらが幸せだったんだろう。

  • どの本だか忘れたが、「ジョン万次郎」の偉大な功績が紹介されており、興味をもった為、手に取った。

    上巻での万次郎のアメリカ生活については興味深く読み進められたが、下巻の帰国後の活躍についてはダラダラと長く、しかもインパクトのある物語が少なく、物足りなかった。

    これなら、上下巻にしないで、1冊にまとめられたはず。

  • さらに深くジョン万次郎について知りたくなり、こちらに挑戦。かなりの長編。文体的に読みやすくはなく、正直けっこう読み飛ばしました。でも大まかには理解。やっぱりアメリカに渡って未知の世界と出会うあたりは面白かった。そして日本に戻って逆カルチャーショック気味になるところも。この頃の日米の差は歴然。万次郎さん、その後の日本において重要な存在でした。すごい時代を生き抜いた、すごい人生。

  • この時代において、この頭の柔らかさ。何度でも読み返して見習いたい。

    幕末の有名人との交流が多くあったようで、歴史のキーパーソンだったこともわかった。あんまり日本史で重視されてないっぽいけど、この人がいなかったらいろいろと大変だったのではないか、幕末。

    興味を持ったので、読後に子孫の中濱博さんが書いた資料本を読むに至った。

  • ちょっとネタバレになりますが…ジョン・マンは日本へ帰国する決意をし金鉱で旅費を工面し琉球へ。しかし罪人扱いされるが言語取得能力に長けていたため次第に琉球弁・仮名を覚え少しづつ住民と親しくなり、そして薩摩の島津斉彬公が海外事情に聡明だったため厚遇されたのが大きかったのだろう、紆余曲折を重ね無事故郷へ。この2人のやりとりが楽しい。そして幕臣へと…。やはり外国を知っている中浜万次郎の日本への影響力はすごいですね。万次郎のアメリカ生活を記した河田子竜の『漂撰記略』により坂本竜馬に開国への道を進む影響を与え、土佐藩の山内容堂・吉田東洋といった重鎮にも会っているんですね。しかも親しく。なのにね〜…。勝麟太郎と咸臨丸に乗りアメリカへ行ったり。幕府の切れ者と言われた勝先生が小さく見える。当然開国派のため攘夷派に狙われ、なぜか人斬り岡田以蔵に護衛されたり。竜馬が頼んだのかな?斉彬公繋がりで薩摩と親しくなったため小松帯刀に影響を与えたりとまさしく幕末の奇跡の人でした。でも時代のためアメリカのスパイと疑われ順風満帆には行かなかったけど最後は感動的な終わり方でした。

  • ジョン万次郎の生涯、後編。
    日本史への苦手意識と幕末の時代背景を全く知らないがゆえに、読みづらい部分は多々あったのだけれど、鎖国中で海外について全く知らない幕府の役人と万次郎の考え方の大きな違いは痛快なほど。万次郎が耳で覚えた英語の片仮名表記もとても新鮮。エンケレセ=English、イートルインセ=it rains など。本筋と関係ないところだけれど楽しめた。歴史部分を斜め読みしたので評価はなしで。

  • 再渡米するたくましさ

  • 万次郎凄すぎ。どんだけ神なんだよ。一気にファンになってしまった。幕末ファンならば是非読みんさい。面白くて、徹夜して下巻読んじまったぜい。

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著者プロフィール

1929年和歌山県生まれ。東北大学法学部卒業。78年に『深重の海』で直木賞受賞。その後、織田信長を描いた『下天は夢か』がベストセラーになる。95年『夢のまた夢』で吉川英治文学賞、2005年菊池寛賞受賞。1997年に紫綬褒章を、2003年には旭日小綬章を受章。剣道三段、抜刀道五段で武術全般に造詣深く、剣豪小説をはじめとして多くの武道小説を執筆。2018年5月26日逝去。著書に『明治撃剣会』『柳生兵庫助』『薩南示現流』『雑賀六字の城』『修羅の剣』『大わらんじの男』『龍馬』など多数。

「2022年 『深淵の色は 佐川幸義伝』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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