- Amazon.co.jp ・本 (458ページ)
- / ISBN・EAN: 9784344412668
作品紹介・あらすじ
風呂無しアパートに引きこもりの二十六歳の加奈子は、社会復帰の第一歩でとある会合に出かけ、無気力の原因は「アダルト・チルドレン」と知らされる。難しいことは分からないけど、とにかく治りたい、と願う加奈子の前に同じ傷を負った男の子が現れた。苦しい、でも生きたい、と凄絶に願う二人は「社会」と体当たりで闘おうとする。感動の長編小説。
感想・レビュー・書評
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読んだのは10年前だったけど唐突に今日思い出した。
これはわたし自身の物語だと、
読み終えてしばらく放心したのを覚えてる。
あれから家を出て結婚して子どもを持ち、普段は穏やかな日々を送っているが、
いま読んだらまた変わるだろうか。
少し怖い気もする。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
バイトでエロゲのシナリオを書いて利用され、会社を退社した引きこもりの椎貝加奈子はある日シェルターで自分がACだということを知る。親の虐待によるものだった。ACの人々が集まる会合に出向き、自分よりも深刻なケイちゃんに出会い二人は傷をなめあう。そして引き続きネットでであった閣下と時々SM。働き始めた彼女はぐちゃぐちゃになりながらも地べたを這ってでも生きようとするが、ケイちゃんは逆に不安定になって行き、復讐に走る。
元気な時にしか読めないなぁと思いつつも、いざ手にするとぐんぐん引っ張られ痛みを覚えながらも希望の光を感じ、涙がにじみながらも変なカタルシスを得られる。椎貝のあからさま過ぎる言動や躁状態のようなテンションにぐいぐい引っ張られる。
どうしてここまでさらけ出して書けるんだろうという身を削る文章の重みに毎回深く持っていかれる。 -
こんなに重い内容のものをここまでサバサバと書き上げる山崎マキコさんが凄いと思う。体験した者でなければわかりえないであろう生々しい気持ちがたくさん綴られてあったので、読んでいて胸が痛くなった。
でも、人それぞれ抱えている事情はさまざまかもしれないが、人を許せない苦しい気持ちと、それを克服できた時の喜びは皆同じだと思うのだ。だから、この物語は、特殊な人たちの特殊な物語ではないと思う。この小説を読んで、人を許せない苦しさから救われる人がいれば嬉しい。 -
Sのおっさんかこいい。
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内容(「BOOK」データベースより)
風呂無しアパートに引きこもりの二十六歳の加奈子は、社会復帰の第一歩でとある会合に出かけ、無気力の原因は「アダルト・チルドレン」と知らされる。難しいことは分からないけど、とにかく治りたい、と願う加奈子の前に同じ傷を負った男の子が現れた。苦しい、でも生きたい、と凄絶に願う二人は「社会」と体当たりで闘おうとする。感動の長編小説。 -
山崎マキコ 著「声だけが耳に残る」2009.2発行。無職、26歳、椎貝加奈子(しいがい かなこ)が主人公、人に「ノー」が言えない女性です。調教プレイを受けながらも、自分(著者自身のように思えます)を客観視していくプロセス、徐々に自我を確立していく喜びを描いた作品でしょうか・・・?!
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この作品を受け入れられない人は幸せなのかも
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自己を否定され条件付きでしか愛されない親に育てられたから、性格を完全に誤解されるほど従順スイッチが入ったり、薬や異性に依存したりするのは、仕方ないと思っていた。
でも治りたいなら、過去に原因を見つけてこだわっていたらダメだ。主人公と友人で明暗がわかれたように、今、こだわりを捨てる分かれ道だ。
12のステップを探して見よう。 -
アダルトチルドレンがもがき苦しみながら生きようとする重いテーマ。SMや乱交、レイプなどがヒロインとの関わりで描かれ読者によっては抵抗があるかもしれない。読者を引き込む文章力は、この作者ならではのもの。レイプシーンでは、怒りを覚えました。