声だけが耳に残る (幻冬舎文庫 や 21-1)

著者 :
  • 幻冬舎
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  • Amazon.co.jp ・本 (458ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784344412668

作品紹介・あらすじ

風呂無しアパートに引きこもりの二十六歳の加奈子は、社会復帰の第一歩でとある会合に出かけ、無気力の原因は「アダルト・チルドレン」と知らされる。難しいことは分からないけど、とにかく治りたい、と願う加奈子の前に同じ傷を負った男の子が現れた。苦しい、でも生きたい、と凄絶に願う二人は「社会」と体当たりで闘おうとする。感動の長編小説。

感想・レビュー・書評

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  • 読んだのは10年前だったけど唐突に今日思い出した。
    これはわたし自身の物語だと、
    読み終えてしばらく放心したのを覚えてる。

    あれから家を出て結婚して子どもを持ち、普段は穏やかな日々を送っているが、
    いま読んだらまた変わるだろうか。
    少し怖い気もする。

  • 引きこもりの主人公・加奈子は、高校のときに優等生から転げ落ち、そのまま社会復帰を果たせないでいた。
    そんな自分が「アダルトチルドレン」であると知り、とあるミーティングに参加しようと訪れた病院で、ケイちゃんに出会う。
    二人はつかず離れず、時に男女の関係も持ちながら、
    社会へ攻撃し、生きていこうとあがく。

    加奈子がしんどい。
    SMプレイという非現実的な場面こそ素で、
    そのままの顔のようなものを見せながら父親と重なる相手への攻撃の場面では演技をしていて。
    彼女の境遇は悲惨で、それなのに前を向いている。
    どうにか生きようとあがいている。
    最後の最後で、彼女は受け入れるけれど、
    ケイちゃんはどうだろうか。
    二人が安らかに生きられることを願う。

    しんどい話だった。
    私は解説に書かれているような、
    ちょっとダメな女の子の山崎マキコ作品が好き。

  • バイトでエロゲのシナリオを書いて利用され、会社を退社した引きこもりの椎貝加奈子はある日シェルターで自分がACだということを知る。親の虐待によるものだった。ACの人々が集まる会合に出向き、自分よりも深刻なケイちゃんに出会い二人は傷をなめあう。そして引き続きネットでであった閣下と時々SM。働き始めた彼女はぐちゃぐちゃになりながらも地べたを這ってでも生きようとするが、ケイちゃんは逆に不安定になって行き、復讐に走る。

    元気な時にしか読めないなぁと思いつつも、いざ手にするとぐんぐん引っ張られ痛みを覚えながらも希望の光を感じ、涙がにじみながらも変なカタルシスを得られる。椎貝のあからさま過ぎる言動や躁状態のようなテンションにぐいぐい引っ張られる。
    どうしてここまでさらけ出して書けるんだろうという身を削る文章の重みに毎回深く持っていかれる。

  • こんなに重い内容のものをここまでサバサバと書き上げる山崎マキコさんが凄いと思う。体験した者でなければわかりえないであろう生々しい気持ちがたくさん綴られてあったので、読んでいて胸が痛くなった。

    でも、人それぞれ抱えている事情はさまざまかもしれないが、人を許せない苦しい気持ちと、それを克服できた時の喜びは皆同じだと思うのだ。だから、この物語は、特殊な人たちの特殊な物語ではないと思う。この小説を読んで、人を許せない苦しさから救われる人がいれば嬉しい。

  • Sのおっさんかこいい。

  • 内容(「BOOK」データベースより)
    風呂無しアパートに引きこもりの二十六歳の加奈子は、社会復帰の第一歩でとある会合に出かけ、無気力の原因は「アダルト・チルドレン」と知らされる。難しいことは分からないけど、とにかく治りたい、と願う加奈子の前に同じ傷を負った男の子が現れた。苦しい、でも生きたい、と凄絶に願う二人は「社会」と体当たりで闘おうとする。感動の長編小説。

  • 山崎マキコ 著「声だけが耳に残る」2009.2発行。無職、26歳、椎貝加奈子(しいがい かなこ)が主人公、人に「ノー」が言えない女性です。調教プレイを受けながらも、自分(著者自身のように思えます)を客観視していくプロセス、徐々に自我を確立していく喜びを描いた作品でしょうか・・・?!

  • この作品を受け入れられない人は幸せなのかも

  • 自己を否定され条件付きでしか愛されない親に育てられたから、性格を完全に誤解されるほど従順スイッチが入ったり、薬や異性に依存したりするのは、仕方ないと思っていた。
    でも治りたいなら、過去に原因を見つけてこだわっていたらダメだ。主人公と友人で明暗がわかれたように、今、こだわりを捨てる分かれ道だ。
    12のステップを探して見よう。

  • アダルトチルドレンがもがき苦しみながら生きようとする重いテーマ。SMや乱交、レイプなどがヒロインとの関わりで描かれ読者によっては抵抗があるかもしれない。読者を引き込む文章力は、この作者ならではのもの。レイプシーンでは、怒りを覚えました。

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