無銭優雅 (幻冬舎文庫)

著者 :
  • 幻冬舎
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本棚登録 : 1089
レビュー : 109
  • Amazon.co.jp ・本 (238ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784344413528

感想・レビュー・書評

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  • 無銭優雅。タイトルが気に入って読みました。
    大人の恋愛。軽そうで奥が深いなー。
    驕れる人も久しからず、ただ春の夜の夢のごとし。
    祇園精舎に絡ませ春から夏、秋、二人の世界に笑ってしまった。
    ラビット病の大人版ぽいところが面白い。
    1番気に入っているのは、61ページ 川のほとりを散歩した。から62ページまでの二人だけの世界に憧れさえ感じます。この場面は、付箋紙貼って何回か読み直してます。
    いくつになっても恋愛できるっていいな。と思う。
    男と女しかいないんだから…。

    • 9nanokaさん
      ラビット病の大人版、気になります!
      付箋を貼って読み返されているというのにほっこりしました(^^)
      素敵なシーンなんでしょうね。私も読ん...
      ラビット病の大人版、気になります!
      付箋を貼って読み返されているというのにほっこりしました(^^)
      素敵なシーンなんでしょうね。私も読んでみます。
      2014/10/13
  • 大人の恋愛、そう書くよりも「中年の恋愛」の方がしっくりきます(褒めています)。
    血の通った肉のある、年相応に生きている人間の心を相手に抱きしめてもらう恋愛話。
    私が私である証拠を見つけて褒めあい愛すって、男と女じゃなくても、人と係わったときの最高の関係だよなとおもいました。

  • 友人と花屋を経営する斎藤慈雨と、古い日本家屋にひとり棲みの予備校講師・北村栄。お金をかけなくとも、2人で共有する時間は“世にも簡素な天国”になる。
    「心中する前の心持ちでつき合っていかないか?」。人生の後半に始めた恋に勤しむ2人は今、死という代物に、世界で1番身勝手な価値を与えている。

    裏表紙にあるこのあらすじがとても綺麗で素敵だったのでそのまま載せてみた。
    慈雨と栄の2人に“死”という意識がないわけではない。でも悲劇的な空気はなくて、どちらかと言うとラブラブな2人の可愛らしさを味わえる。

    章と章のあいだには必ず、短くいろいろな小説からの抜粋がある。
    それに何の意味があるのか分からないまま読みきって、後から分かったのは、抜粋された小説たちは全て登場人物が死ぬ恋愛小説だということ。
    (読書家の栄が慈雨に貸して慈雨が読んだ小説である、というダブルミーニング)
    この小説が出る少し前、いわゆるケータイ小説だとか、登場人物が死んでしまうお涙頂戴系の恋愛小説がとても流行った。具体的にタイトルが出てくるわけではないけれど、たぶんセ●チューとかのことだと思われる。
    それらが悪いわけではないけれど、あまりにも出来すぎたストーリーに辟易した人もいたはずで、この小説はそれらの対極にあるという…そういう位置づけ。
    “死”は当たり前に誰の隣にもある。だけど話を盛り上げるために“死”を使うことはない。

    40代、中年の2人の恋なのだけど、可愛らしさが溢れている。たくさんの過去を乗り越えて出逢った2人。一筋縄ではいかないことも多いけれど、何より2人でいることが一番幸せ。
    「無銭優雅」とタイトルがびっくりするくらいしっくり来る小説。心の豊かさと経済状況は、必ずしも比例するとは限らない。

  • 大人の恋愛小説。
    何が大人か、と言うと主人公の年齢が、ということではなくて、
    語り手としての主人公の「軽やかさ」が大人なのである。
    歳を経て、経験を重ね、己を知り、恋を知り、人生を知り得たからこその、達観したかのようなこの「軽やかさ」。
    そこに、「大人の余裕」を感じるのである。

    「だって、感動的な恋愛小説って、大体どっちか死ぬだろ?」
    「感動的な恋愛小説って、たとえば、この間、映画になったみたいなの?」

    凡百の恋愛小説へのアンチテーゼみたいなこの台詞こそが、この小説の行先を暗示して、その方向へと読者を力強く牽引していることは言うまでもない。
    けれどその途中に差し挟まれる幾つもの引用句が、軽やかなリズムをあえて乱して読む手を止まらせる。しかもその引用句は、次第に「死」の雰囲気を帯びていく。
    解説によれば、それらは全て物語の陰で慈雨が読んだ恋愛小説たち(一部除く)であり、そのすべてに「死」という装置が組み込まれているのだという。

    これは凡百の恋愛小説へのアンチテーゼと読むべきなのか。
    それとも、全ての恋愛小説へのオマージュと読むべきなのか。

    いずれにせよこの小説は、この世に幾百、幾千、幾万とある恋愛小説とはちょっと違う。
    数多の小説たちとは居並ぼうともせず、それらを遥か高みから見下ろしている。
    そんな小説である。

  • 42歳の慈雨と栄は「栄くん」「慈雨ちゃん」と呼び合いながら“大人の恋”とは程多い“中央線の恋”にはまっていた。慈雨の家族の問題があり、終盤には、古い日本家屋に一人きりで暮らす栄の過去が思わぬところから明らかになるが、結局のところシリアスになりきれない。二人にとっては今、恋愛至上なのである。
    私にとって42歳の恋愛は、その歳が近づきつつはあってもやはり慈雨の姪の言うところのオトコイ(大人の恋)であって、その対極にある慈雨と栄の恋愛は初めて触れる、もやもやふわふわした実態の掴みにくいものであった。
    そういう意味で、地の文より、随所で引用されている古今東西の小説のほうが心に残って、あ、この本読んでみよう!とそんな事ばかり考えてしまった。

  • 好きな四文字熟語と問われ「斉藤慈雨」と答える。私も言われたーい。

  • 2年くらい前に、純愛小説ブームとされていた年がありました。主人公のどちらかが死に、悲劇のヒロインを演じている場面には、何度も遭遇したことがあるような気がします。そこで感じられることは、

    「死って、恋のすげえ引き立て役なんだよなあ。」- pp10

    ということだと思います。死は確かに恋の引き立て役かもしれないけれど、エンターテイメントの要素としてたやすく使うべきものではないと、本書を読み終えて思うようになりました。自分の知らなかった一面や知らなくて良かった感情がむき出しになるなど、死別というのはもっともっと重いはず。

    本書の全編に渡って、「登場人物の誰かが死ぬ」恋愛小説からの引用が散りばめられていて、「無銭優雅」というまた1つの恋愛小説を読むことになります。本書の主人公が「死別」という物語の装置をを自分達の恋愛に使うことを提案し、死があるからこそ引き立てられる恋の部分をふたり楽しんでいる様子はまさに優雅でした。

    「私たちは私たちで独自の道を進んでいますの。私と彼という組み合わせは、この世にひとつきりしかないのだから、それだけで独自だと思い込んでいますの。」- pp100

    くだらないところほど良く、他の恋愛小説のようにムードのかけらもないくらいが、かえって登場人物の2人を特別な存在として見ることが出来ます。

    (<a href="http://d.hatena.ne.jp/separate-ks/20090822/1250867783">http://d.hatena.ne.jp/separate-ks/20090822/1250867783</a>

  • 42歳、中年男女の恋愛。
    だらしないように見えて繊細な二人は”死”を想いながら、恋愛を盛り上げる。愛が溢れ続ける生活のなかで徐々にあきらかになる栄の過去。両親、兄夫婦との暮らしのなかで慈雨の前に突然現れる本当の死。
    なんやかんや言っても愛こそはすべてなのだ。All You Need Is Love。毎日、誰かと一緒に楽しく過ごせること、結局それが一番の幸せ。

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    慈雨さんと栄さんのラブラブ話より、慈雨さんと彼女の両親との関係性を気にしながら読んだ。
    年齢が上がれば親との関係も変わる。わずらわしいこともたくさんある。でも、親は自分よりもきっと先に死んでしまう。時間はたくさんあるのかもしれないし、全然ないかもしれない。それはその日がくるまでわからない。

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    先日実家に帰ると、母が「塁くん、塁くん」と言っているので何のことかと思えば、先日NBAドラフト一巡目で指名された八村塁選手のことだった。これほど母がバスケットに対して興味を持ったことはかつてなかった。「そんなに塁くん見たいなら日本代表戦のチケット取ろうか」と訊くと、母は強く頷いた。
    ドイツ代表との試合のチケットを購入し、母とさいたま新都心へ向かった。電車のなかから母は興奮している様子でこちらも嬉しくなった。スーパーアリーナで行われた試合は大盛り上がりで、塁くんの大活躍もあり、日本代表が接戦を制した。
    https://www.youtube.com/watch?v=edL96ipV6VY
    試合終了後、選手たちのインタビューもすべて見終えてからオペラグラスを顔に当てたままの母が言った。
    「明日も試合あるんでしょ。もっと観たいな。明日のチケットはもう買えないの?」
    そんなにバスケット好きになっていたのかと驚くと同時に、明日のチケットも買っておくべきだったと悔やんだ。
    母がわたしに対して「何か欲しい、どこかに行きたい」と要求してくれることはほとんどなかった。実家に帰るとき、何か買っていこうかと訊いても「ビールでいい」としか言ってくれない。たぶん息子の負担になりたくない、と思っているんだろうな。すこしくらい親孝行したいのに。

    だから、「もっと観たい」と言ってくれたときはすごく嬉しかった。”もっと”っていい言葉だ。
    「今度この会場でバスケの天皇杯あるけどどうする? 塁くんはいないけどチケット取ろうか」と言うと、母はまた強く頷いてくれた。
    欲しがってもらえることは嬉しいことだ。

    ---------------------------------------------

    物語のなかで何度か登場人物たちが「意味ある偶然」というフレーズを使う。
    先日幕張で開催されたサマーソニックでYUKIはこう歌っていた。
    ”運命は必然という偶然で出来てる”。

    運命とか人生について考えだすとキリがない。頭が混乱するだけだ。
    大切な人たちと毎日楽しく、自分の人生を生きる。意味や答えはあとからついてくる。そんなもんだ。

  • タイトルに惹かれて借りてきた本。
    奥さんになる人生を選ばなかった、マイペースな女性の自分の価値観に素直な恋愛が描かれる。自分の気持ちに正直に、相手と付き合う、こういうふうにできたらホントに良いと思う。

  • 今年の冬休みの読書。
    ラビット病を思い出すような中身だった。
    ラビット病に、もう少し歳をとってからかかるとこんな感じだなぁ…という内容。
    久々に、山田詠美で、読んでいてほんわかする内容の本を読んだ。

    札幌市の図書館で借りた本。

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著者プロフィール

山田 詠美(やまだ えいみ)
1959年、東京生まれ。明治大学文学部中退。85年『ベッドタイムアイズ』で文藝賞受賞。同作品は芥川賞候補にもなり、衝撃的なデビューを飾る。87年には『ソウル・ミュージック・ラバーズ・オンリー』で直木賞受賞。89年『風葬の教室』で平林たい子文学賞、91年 『トラッシュ』で女流文学賞、96年『アニマル・ロジック』で泉鏡花文学賞、2000年『A2Z』で読売文学賞、05年『風味絶佳』で谷崎賞、12年『ジェントルマン』で野間文芸賞、16「生鮮てるてる坊主」で川端賞を受賞している。その他の著書に『無銭優雅』『学問』『タイニー・ストーリーズ』『明日死ぬかもしれない自分、そしてあなたたち』などがある。

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