彼女がその名を知らない鳥たち (幻冬舎文庫 ぬ 2-1)

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  • Amazon.co.jp ・本 (389ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784344413788

感想・レビュー・書評

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  • 最後の2ページ何なの(良い意味で)…と思うくらい凄い。
    読み終えた後しばらく物語の世界から抜け出せなかった。
    嫌なんだけど、すごく不快なんだけど、惹かれてしまう。
    沼田まほかる=イヤミス、らしいけど、この小説は後味がというよりは、読んでいる最中が本当に不快。むしろ読後は少し温かいようなものが残るのが不思議。

    33歳の十和子は、8年も前に別れた黒崎という男を忘れられないまま、淋しさから15歳年上の男・陣治と暮らし始め、仕事もしないまま陣治の稼ぎで半ば惰性のような生活をしている。
    下品で貧相で不潔な陣治と、彼を心から嫌悪しながらも離れられずにいる十和子。
    ある日ひょんなことから黒崎が5年前から行方不明だということを知った十和子は、陣治が黒崎を殺したのではないかと疑い始める。

    陣治の下品で不潔である描写がこれでもかというほどてんこ盛りで、読んでいるだけで音や臭いがしてきそうで本当に不快な気分になる。
    優しいけれど粘着質で、どうして十和子はこんな男と一緒に暮らしているのだろうかと疑問に思う。
    …と思ってしまうのは、描写がリアルだからだし、そういう風に読めるように巧く構築されているから…なのかも。

    十和子は自分勝手だし、陣治は下品だし、軽薄すぎる男たちも出てくるし、読んでいて心が休まるような登場人物が一人もいない。
    遅々として進まない序盤と、全体的な不快さと、胸がざわつくような感じ。
    それらがミステリらしく最後に謎が解けたとき、これは壮大なラブストーリーなのだと思わされる。
    ミステリとしての謎というかトリックは全然凝ってないけれど、そんなことはどうでも良くなってしまった。

    この本を薦めるのは心苦しいほど不快なんだけど、個人的にはお薦め。という、ジレンマ。笑
    沼田さんの小説を読むのは2冊目だったけれど、既刊本はそんなに多くないみたいだから、制覇したいかも、と思った。

  • 読んでいて胸糞悪いのに最後は号泣
    不思議な本

    • yhyby940さん
      こんにちは。そうですか、ご覧になられたんですね。阿部サダオさん、熱演でしたね。薄汚れた感じ、良かったですね。私は佐藤二郎さんをイメージして原...
      こんにちは。そうですか、ご覧になられたんですね。阿部サダオさん、熱演でしたね。薄汚れた感じ、良かったですね。私は佐藤二郎さんをイメージして原作を読んだ記憶があります。
      2023/06/24
    • schieleさん
      おお!佐藤二朗さんも良いですねー
      イメージ湧きます!
      おお!佐藤二朗さんも良いですねー
      イメージ湧きます!
      2023/06/24
    • yhyby940さん
      でしょ。ありがとうございました。
      でしょ。ありがとうございました。
      2023/06/24
  • ドロッとした感じ。途中何度読むのを止めようかと思ったか…。ただ推理が始まった辺りからはスラスラ読める。まほかる作品3冊目だけどこの人の本は読み終わった後何とも言えない気持ちになるんだよな…。でも何故かまた読んでしまう…。まほかるマジックかしらね…Σ(ノд<)

  • 面白かった!!!!
    けど、絶対的に好きにはなれない本(笑)
    とにかく最初から最後まで主人公・十和子を好きになれんかった。心に深い傷を負ってることは分かる。
    陣治への嫌悪感みたいなものも描写から理解、共感はできる。けど、だからと言って自分のことを好きな陣治をわざと必要以上に傷つけながらそれで心の安定を保って…しかも生活に関しては陣治におんぶにだっこな上に家事すらマトモにせずに…。
    陣治がそれについて何も不満もってないんやからいいんやけど、絶対好きになれないタイプの女。笑
    姉のリンちゃんの意見に全面的に賛成!!
    確かに十和子は黒崎から哀れな目にあってたけど自業自得というか自分から不幸になりにいってた。どんな甘い言葉囁かれたとしても所詮相手は既婚者で。
    そんな相手の信じられへん要求を…のんだのは自分やもんな。好意を利用されたとはいえ。
    黒崎のこと恨むのは勿論わかるけど、自業自得としか言いようがない。さんざんリンちゃんにも迷惑かけて。頼る時は頼るのに疎ましく思ってるし都合いいなあって思う。やっぱり十和子嫌い。笑
    けど、じゃあ陣治のこと好きかと言われると…
    真実が明らかになる最後の最後では嫌いにはなれんかったけど、それまではもうずっと嫌悪感の塊すぎて。書き方がうますぎて…しみったれたうだつのあがらない卑屈な中年男性…どこに魅力ある?!あのコテコテの関西弁も相まってすごい気持ち悪く感じちゃった。2人だけの時も嫌悪感やねんけど、電車の中、飲食店、そういう場所で周りからの目がある時になおのこと郡司を恥ずかしく思って疎ましく感じられるのとかすごいリアルやった。すぐ「揉んだる」って言うのもイヤ。笑
    でも、じゃあそんな陣治を見下せるほど十和子がいい女なのかって言うとそんなことも無いねんよな。性格とかそういう話でなく客観的に。結局はお似合いやったんやろうなあ…
    そんな十和子やけど寂しいとか男にすがりたいとかそういう気持ちが出てるのか、水島みたいな奴に目をつけられる。美人でもないのに。
    最初また時計の件でクレーム言い始めてスッキリしてる十和子見てなにこれ最悪って思ってたけど、まさかそこから恋愛に繋がるとは思わんくて嘘やん?!てなった。あんたが相手に?!て。
    水島は十和子をバカそうな簡単に黙せそうな女として見てたんやろうけど、とんでもない女に手を出したんやでって感じ。

    真実も結末も意外過ぎたけど妙にスッキリして納得感あった。

  •  えぐいのに綺麗。

  • よくわからなかった。

    ラストの陣治の心境や十和子のどこがなにがいいんやろか?
    人を殺しといて忘れてしまうことや
    あそこまで酷いことされといて未練ある?とか

    本当によくわからなかった。

  • 八年前に別れた黒崎を忘れられない十和子は、淋しさから十五歳上の男・陣治と暮らし始める。下品で、貧相で、地位もお金もない陣治。彼を激しく嫌悪しながらも離れられない十和子。そんな二人の暮らしを刑事の訪問が脅かす。「黒崎が行方不明だ」と知らされた十和子は、陣治が黒崎を殺したのではないかと疑い始めるが…。
    蒼井優、阿部サダヲ、松阪桃李主演の映画も話題になったサスペンス小説。
    仕事もせず会社にクレームをつけたり映画を見ることでうさを晴らし、いくら虐げても自分に献身的に尽くす陣治に依存しながらも離れたい自堕落な女・十和子。薄汚い服や貧相で十和子に異常に執着する陣治。十和子を甘い言葉で弄び出世に利用する黒崎。甘い言葉で十和子をその気にさせながら家庭と浮気を両立する水島。
    白馬の王子様とも「美女と野獣」の野獣ともプリンセスとも程遠い彼らの愛憎劇はストーリーが進む中で、いじましいほど自分のことしか考えていないのに傷つけ傷つけ合いながらも相手にすがり「いつか幸せになれる」という儚い希望を支えに愛を求めている私たちの歪んだ自画像であり、だからこそいとおしくなる愛の物語として昇華していく。行方不明の黒崎と水島を尾行する謎の人物の正体を追う謎解きは、記憶の中に封じ込めた十和子の忌まわしい記憶を掘り起こしていくことでもあり、クライマックスで十和子に対しての陣治の無垢なほどの愛が描かれる終着点は、「ユリゴコロ」などで人間が本質的に持つ闇や愚かさと同じく大事な人のために命や人生を懸けられる人間の愛や善の部分を描く沼田まほかるの作品ならではのノワールタッチのラブストーリーとして楽しめました。

  • 恋と愛の違い。
    恋を求めてた十和子と、愛を求めてた陣治。
    愛はそこにあるもので、恋はするもの。というのが読んで感じたこと。
    最後の展開が鮮烈。

  • 陣治も十和子も、あまり好きになれないキャラクターだった。女性は十和子に共感できる部分があるのか気になった。

  • あか~ん!と叫んでしもたがな。
    こんな凄い本読み忘れていました。
    言いたいことは、山程あるけどやめときます。
    一気に読みました。オススメします!

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著者プロフィール

沼田 まほかる(ぬまた まほかる)
1948年、大阪府生まれの小説家。女性。奈良県在住。読んだあとイヤな後味を残すミステリーの名手として、「イヤミスの女王」という称号で語られることもある。
寺の生まれで、大阪文学学校昼間部に学ぶ。結婚して主婦になり、母方祖父の跡継ぎを頼まれ夫がまず住職となるが、離婚を経て自身が僧侶になる。50代で初めて長編を書き、『九月が永遠に続けば』で第5回ホラーサスペンス大賞を受賞、56歳でデビュー。
2012年『ユリゴコロ』で第14回大藪春彦賞を受賞し、2012年本屋大賞にノミネート(6位)。それを機に書店での仕掛け販売を通じて文庫の既刊が売れ出し知名度を上げた。
代表作『ユリゴコロ』は2017年9月23日に吉高由里子主演で映画化。同年10月、『彼女がその名を知らない鳥たち』も蒼井優・阿部サダヲ主演で映画化された。他の代表作に、『九月が永遠に続けば』、『猫鳴り』、『アミダサマ』。

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