鹿男あをによし (幻冬舎文庫 ま 17-1)

著者 :
  • 幻冬舎
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  • Amazon.co.jp ・本 (454ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784344414662

作品紹介・あらすじ

大学の研究室を追われた二十八歳の「おれ」。失意の彼は教授の勧めに従って奈良の女子高に赴任する。ほんの気休めのはずだった。英気を養って研究室に戻るはずだった。渋みをきかせた中年男の声が鹿が話しかけてくるまでは。「さあ、神無月だ-出番だよ、先生」。彼に下された謎の指令とは?古都を舞台に展開する前代未聞の救国ストーリー。

感想・レビュー・書評

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  •  なるほどねー!そういうことだったのねー!
    卑弥呼の秘密を暴く決定打となる鏡が今だに見つからない理由。それは、卑弥呼自信が自分の死後も後世の人間を守るために、そこに力を移して、三種類の動物達に託したため。その三種類の動物とは奈良の鹿、京都伏見稲荷の狐(今は京都市動物園にいるらしい)、大阪のどこかの神社の鼠。そしてこの三種類の動物たちが、1800年前に卑弥呼から託された大切な「さんかく」を彼らが選んだ人間たちに60年おきに交代で守らせていたなんて。
     卑弥呼さまはやっぱり神の力を持っておられたのですね。その力は歴史学者に解明されてはならないのですね。卑弥呼が奈良に住んでいたのか、九州に住んでいたのかなんて問題ではない。神の使いにはそんなこと関係ないのですね。

     鹿が偉そうで、奈良の女子校の生徒がイケズで、教員仲間がのほほんとしていて味わい深かった。
     この鹿は「鹿せんべいなんかまずい」と言って、ポッキーが好物だった。確かに鹿せんべいなんかより、子供が出店で買ってもらった「たい焼き」とかのほうを奪っていくよな。うちの子も手に持った「たい焼き」目当ての鹿5頭くらいに取り囲まれて泣いたことある。

  • まだまだ万城目ワールドに浸ります。
    これは、どうしてもドラマ出演者の顔が浮かんできてしまって、映像化されたものを見るのも善し悪しだなーと思いました。
    物語としてはもちろん面白いです。「鴨川ホルモー」「プリンセス・トヨトミ」に続き、これまた奇想天外な発想に驚かされますが、日本の危機が迫っているというのに、なんとものんびり穏やかな展開に思えるのは、奈良という舞台ならではでしょうか。(あ、ダジャレになった)
    奈良には2回ほどしか訪れたことがありませんが、京都の混雑から逃れて、ふーと落ち着いて観光できた印象があります。いやいや今更ながらですが、歴史的にすごく貴重で好きな方にはたまらなく面白い土地ですね、奈良って。子育てがひと段落したら夫とゆっくり奈良を巡りたいな~なんて思っていましたが、これを読んでいますぐにでも行きたくなりました。

    「ホルモー六景」を読んですぐあとだったので、「狐のは」が出てきた時には、「ひゃっは~」と思いました。こういう、作品を超えての小さなつながりを発見するのは、読書好きにはたまりませんね。

    で、肝心なストーリーですが、鹿島大明神と奈良の繋がり、なまずのお話、そして卑弥呼の存在など、全くの作り話ではないものの上に、万城目ワールドが展開されていて、妙に説得力があるようなないようなふわふわとした感じがとても心地よかったです。先述しましたが、妙に穏やかで、悪人はいないし、動物はしゃべるし、なんというか安心して読めるというか。

    どうにか事が丸く収まった後の、リチャードへのちょっとした仕返しや、マドンナも一緒の散歩(登山)、鹿との会話(ここで芭蕉がでてくるとは!)、ばあさんとの別れ、堀田との出来事など、余韻がまた良かったです。うまいお話の終わらせ方だな~と思いました。

    児玉清さんの解説で「坊ちゃん」を意識した作品であることがわかり、自分の知識のなさにガックリ・・・

    やっぱりこういうところなんですよね、すんごい突飛な発想から出来たお話だけど、実は万城目学さんのすんごい広い知識がここかしこに生かされている。

    今回も存分に万城目ワールドを楽しみました!

  • 奈良といえば鹿。マドンナといえば坊ちゃん。
    ある意味単純だけど、それだけでは終わらない。
    ドタバタコメディだけど神秘的な歴史絡んだお話でした。

    連想させられるものが沢山。ドラマの玉木さんのお顔も読んでる途中にチラチラと。解説を書かれている児玉清さんもリチャードで出ていたのね!「坊ちゃん」と邪馬台国の謎を知ってから読むとさらに面白いかも。

    そしてかの読書家で有名な児玉さんの文章を、初めて解説で読めて感動です。こんなに面白い文章書く方だったのね。

  • 呼ばれた一冊。

    本に呼ばれることが多々ある。
    今回も然り。
    本に、いや、鹿に呼ばれたのかも。

    奈良で繰り広げられる世にも奇想天外な物語は最高に面白くて、最高に今の日本の災害に思いを馳せずにいられない世界観。

    鹿に話しかけられたらシカトなんかできないよね。

    主人公の先生に課せられた、かくかくしかじか"サンカク"ミッション。
    急がないと日本が危ないらしい。

    重なり過ぎるリアルな現状に重ねたくなる"鎮め"の願い。

    鹿に狐に鼠、神、伝説、古代ロマンまでよくぞここまで綺麗に繋げたもんだ。

    笑い、現実&逃避のバランスがとても楽しかった。

  • 万城目学版「坊ちゃん」…奈良バージョン。
    でも、それだけで終わらない魅力がある。

    大学院で研究をしていた"おれ"は、教授の依頼で奈良の女子高校に理科教師として赴任する。下宿先のばあちゃんがいい人で、「あ、この人が"清"だな」と感じる。そのばあちゃんが曲者だと評した教頭が"赤シャツ"かな。"マドンナ"はそのまんま"マドンナ"のあだ名で出て来るし。
    でも、さすがに万城目版「坊ちゃん」はそれだけでは終わらない。ある日突然、鹿に話しかけられた"おれ"は、ある重要な任務を与えられる。さらに、剣道部の顧問になった"おれ"は、クラスで最悪な出会いをした女子高生•堀田イトと共に系列校三校対抗戦で優勝しなければならない羽目に陥る。ここでは"スポーツ根性マンガ"に匹敵する対抗試合が展開するのだ。面白い。
    『ホルモー六景』で舞台になっていた京都の料理旅館「狐のは」が出て来るなど、シャレが効いている所も良い。他にも、鹿から"呪い"を受けてしまった"おれ"の運命にハラハラしたり、同僚の藤原先生と奈良名所巡りをしたりする描写などもあって飽きさせない。それと、真実のヒロインの位置にいる"野生的魚顔"の少女•堀田イトとの関係も。この世界観、大好きです。

  • 「鹿男あをによし」テレビドラマかなんかで聞いたことのあるタイトルだったので、手に取ってみたが、こんなバラエティ感満載のお話しだったとは笑
    舞台は奈良県。読めば読むほどに、奈良に行きたくなる。古都っていいなー。歴史的な話しが軽妙に混じって面白かった。
    それにしても、主人公が鹿男なんてまさに小説のようなお話しですね。

  • 万城目学、祝直木賞。
    『鴨川ホルモー』以来の万城目学作品。

    大学の研究室を追い出され、奈良の女子校に赴任することとなった『おれ』。
    喋る鹿が、『さあ、神無月だ、出番だよ、先生。』と現れ…

    日本を救うために、鹿の『運び番』として、『サンカク』を探して奔走する『おれ』。
    『大和杯』の剣道部対抗戦で勝たなければ『サンカク』は手に入れられない…
    弱小奈良女学館剣道部でどうする『おれ』。
    救世主・堀田イトの大活躍。
    なんとか『目』を手にして…

    やはり『鴨川ホルモー』と同じく、万城目ワールド全開。
    鹿が喋るわ、顔が鹿に…
    堀田もきらいになるよな…

    鹿、狐、鼠が1800年もの間、大なまずを抑え、天変地異から人間を守ってくれていたとは…
    卑弥呼の邪馬台国はどこにあったのか…

    奈良、近くて遠い…
    昔々、東大寺、法隆寺、若草山に行った記憶はあるが…

    なんとなく、奈良に行きたくなる。

  • すごい面白かったです!
    ファンタジーの世界にのめり込みました!
    終わり方もよかった!
    ドラマは観てないけど、再放送とかあれば観たいです!

  • ひと癖もふた癖もある登場人物たち、読めそうで読めない展開…万城目ワールドが好きだ。
    喋る鹿に会いに奈良に行きたいくらい。

    ドラマ化されていた気がするので、今更ながら、そちらも見てみたい。

  • 思わず「や、やられたーーーーー」と思いました。
    あんなにたくさんヒントが散りばめられていたはずなのに……!!ぼうっと読んでたらいきなり2転3転するような展開に引き込まれました。

    やはり、自分は万城目さんのファンタジーが好きですね……“絶対ありえない事象”を日常に落とし込んでくる、もしかしたら私が知らないだけで、これは本当の話なのではないか?そう思わせてくれるような素敵な作品でした。

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著者プロフィール

万城目学(まきめ・まなぶ)
1976年生まれ、大阪府出身。京都大学法学部卒。
2006年、『鴨川ホルモー』(第4回ボイルドエッグズ新人賞受賞)でデビュー。主な作品に『鹿男あをによし』、『プリンセス・トヨトミ』、『偉大なる、しゅららぼん』などがあり、いずれも文学賞ノミネート、映像化等など、大きな話題を呼ぶ。また、エッセイ集に『ザ・万歩計』、『ザ・万遊記』、対談本に『ぼくらの近代建築デラックス!』がある。

「2013年 『ザ・万字固め』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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