ベイジン 下 (幻冬舎文庫 ま 18-2)

著者 :
  • 幻冬舎
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感想 : 130
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  • Amazon.co.jp ・本 (366ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784344414693

作品紹介・あらすじ

衝撃的な事故シミュレーションを突きつけられた田嶋と〓(とう)は、徹底的な補強工事を決意し、最大の障壁である政府の実力者を失脚させることに成功する。不和を乗り越え、"希望"を手に突き進む二人の夢-世界最大の原発から、北京五輪開会式に光は届くのか?中国の暗部と現実を描き、共に生きる希望を謳い上げる一大傑作エンターテインメント。

感想・レビュー・書評

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  • 感想
    えっ!?ここで終わり?事故後の処遇やそれぞれの安否など気になること満載過ぎて、えーー?

    エピローグがかなり気になった。。。

    あらすじ
    中国紅陽市の建設中の核電で働く田嶋と、党から派遣された鄧は、利権を貪る輩との戦いに明け暮れていた。IAEAからは核電が事故を起こした場合の悲惨な予測がしめされ、田嶋と鄧は愕然とする。

    また、核電が耐震基準を全く満たしていないなど問題は山積みだ。そうこうするうちに鄧の義父が北京で自殺したと連絡を受ける。汚職がバレて責任を取らされたのだった。鄧は党上層部より、核電の運行、大連市長の汚職の摘発をお題に挙げられる。

    いよいよ迎えた五輪の前日、非常用発電のエラー率30%、非発の軽油が盗まれる、工事用電線が盗難に合うなど問題満載で当日を迎える。

    田嶋は核電の停止を主張したが、大連市長命令で警察に拘束される。そんな時、停電が起きる。持ち込んだラジオが原因で配電盤で火災を発生させたのだ。それに続いて非発でも爆発が発生する。田嶋と鄧は事故被害を最小限に抑えるため、奮闘する。

  • (上下巻合わせてのレビューです。)

    真山さん久々の文庫本。
    予想通りというか期待通りというか、
    750ページを超える長編なのに
    続きが気になって気になって仕方ない感じ。
    寝る間を惜しんで、あっという間に読みきってしまった。
    特に後半からのラストスパートはお見事!

    話は、原子力発電開発を支える日本人技師と
    中国人エリートの物語。
    中国国内の腐敗の様子や気質等、
    日本では味わえないことがたくさん疑似体験できる。
    改めて、世界の価値観は多様性に富んでいると感じた。

    中国に興味のある人、もっと知りたい人は
    是非読んで下さい。

  • 日本人作家にどうしてここまで中国人が描けるのだろうか、と悔しくすら思う一作。中国人のプライドとコンプレックスと最終的に大事にする価値、それに対照する日本人の作法との食い違いを冷徹な目で描ききっている。

    北京オリンピック開催直前の中国を題材に、汚職と中国共産党内での政争の有様と、先進国に必死に技術でついていこうとする様子を描く。更にサブテーマに原発の安全問題をも含んでいる。
    複雑極まりないテーマなのに、とことん具体的に描写は進められる。

    中国人が最終的に気にする価値は金銭と地位であること、党への恐れや保身を優先するということ。矛盾するようだが中国や中国人というものへの隠れた誇りがあること、だけれどもその誇りをくじけさせる事象にあまりにも慣れすぎているため希望を持つことを自ら否定してしまっていること。

    作中の映画監督の描写に作者自身の葛藤と思索も見える。記録映画にするのかフィクションの世界で勝負するのか。記録映画で真実を一面からしか描いてないのに真実を全て分かったつもりで公開するよりは、フィクションにて自分の主張をぶつけたい。そう思った映画監督に作者が重なる。

  • 上巻で散らばっていた伏線が
    原発を軸に一本にまとまって行くが、
    どうも結末が竜頭蛇尾というか。。。。
    個人的にはその後が知りたかった所。

  • なんじゃこの中途半端な終わり方は。
    何の解決もないままブッツリ終わって
    もーワケワカメ。

    それに映画撮っていた女監督はなんで
    この話の中に出てくるのかサッパリわかんね。

    この作家、ハゲタカ以外当たりがないのは
    私のヒキがわるいせいかなー。

  • 北京オリンピック開会式までに世界最大級の原発の運転開始の使命を受けた日本人技術顧問・田嶋は運転直前になり様々な異常を発見し始める。絶対安全を保証できない以上、運転開始延期を求める田嶋の声は黙殺され、不安を抱えたまま運転開始されたが案の定、事故が起こる。。
    読んでいて凄くテンポが良く、ハラハラドキドキするのですが、最後が。。。

  •  登場人物が一気に絡み合い、周囲の思惑や時代の流れや、澱のようにたまっていた思惑や欲望が一気に渦のように終盤に向かって加速していきます。

     一人ひとりの人物像がとても鮮やかに描かれていて、引き込まれる音が聞こえるほどです。気が付くと原発の建屋の中にいるような感覚に陥るかもしれません。

     警鐘や警告は、いくら鳴らしても、現実に起きるまでは杞憂として扱われます。オオカミ少年なのか真実の語り部なのかは、大きな出来事があって初めてわかるです。

     今もテレビで、ネットで語られるさまざまな言説の中に登場人物のような人々も、生きているのかもしれません。

     その先がどうなるのか、続編のないラストシーンならではの苦しさがたっぷりと味わえます。

  • 時は2008年、所は中国。北京五輪開幕直前。世界最大級の原子力発電所では北京五輪開幕と同時に運転開始をするのを今か今かと待っていた。若き中国共産党幹部・登はこのセレモニーの責任者だった。しかし実際の現場を預かる日本人技術顧問・田嶋との軋轢が。中共幹部の腐敗、モラルの低さ、技術的な遅れ…その他様々な要因が重なり、大惨事が起きてしまう…。最大の危機に田嶋はどう立ち向かうのかー。詳細→
    http://takeshi3017.chu.jp/file9/naiyou23411.html

  • ベイジン 真山仁

    2008年の北京オリンピックに合わせて、中国が世界最大の原子力発電所の運開を目指す。そんな中で、日本の技術者と党本部規律検査委員会の役人が、それぞれの役割を全うしながら、想いを胸に同一のミッションに進んでいく。原子力発電所の光と闇に、3.11の前にこれだけ切り込んでいる真山仁の慧眼にさすがに舌を巻く。同時に、本書は他の真山仁の作品と比べても主人公が青臭く、セリフが熱い。何度も名シーンと呼ばれる部分があり、その度に感涙するほどの良いシーンがたくさんある。

    また、本書とは関係が薄いが、真山仁は「関西人のおっちゃん」が好きなのだろうなと最近思う。ハゲタカシリーズの飯島、コラプティオや標的、売国の東條、そして今回の門田。門田は今回良い役柄ではなかったが、飯島と東條は毎回真山仁の小説に一癖二癖加えるトリックスターだ。どちらもコテコテの訛りと、とにかく品性の欠片もない物言い、それでいて勘が鋭く、頭はとにかくキレる。作中で、妖怪と呼ばれるような形で、幾度となく基本的なストーリーラインを邪魔するのだが、どうも完全な悪人ではない。だから恨めないという絶妙なキャラクター。元記者の真山仁にとって、東條のような人間は実際に近くにいたのかもしれないが、毎度、ストーリーに出てくるこうしたタイプのキャラクターに、真山仁の愛を感じる。

  • 特に下巻の後半がスピード感があり面白い。感情をあまり出さなかった鄧の人間らしい行動、朱のたくましい凛とした行動に熱くなりました。
    印象的なフレーズ、
    「諦めからは何も生まれない。希望とは自らが努力し、つかみ取るもの。」

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著者プロフィール

1962年、大阪府生まれ。同志社大学法学部政治学科卒業。新聞記者、フリーライターを経て、2004年、企業買収の壮絶な舞台裏を描いた『ハゲタカ』でデビュー。映像化された「ハゲタカ」シリーズをはじめ、 『売国』『雨に泣いてる』『コラプティオ』「当確師」シリーズ『標的』『シンドローム』『トリガー』『神域』『ロッキード』『墜落』『タングル』など話題作を発表し続けている。

「2023年 『それでも、陽は昇る』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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