ベイジン〈下〉 (幻冬舎文庫)

著者 :
  • 幻冬舎
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レビュー : 121
  • Amazon.co.jp ・本 (366ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784344414693

感想・レビュー・書評

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  • やっぱりダイレンの話。映画監督の話を減らしてでも、中国共産党幹部と日本人原発技師の交流をもっと書いて欲しかった。

  • 原子力の専門家として北京五輪に合わせて紅陽核電を巡る、技術顧問・田嶋と中国側(郭をはじめとする)の物語。最後に海水注入という手段を講じるのは福島第一と同じ状況であり非常にリアル。メモ。諦めからは何も生まれない。希望とは、自分たちが努力し、奪い取るものだ。

  • 2011/9/9読了。

    環境とエネルギーを専攻し、その中で原発についても触れる環境に身をおいている私にとって、非常に勉強になる1冊であった。
    原子力に追い風が吹いていた2000年代後半に、バブルとも呼べるほどに世界中を包み込んだ熱気に対して危惧を抱いていた冷静さと、どれ程の取材を行ったのか想像もできないほどの原発に対する正確な知識と認識には、恐れ入ったの一言。執筆時点、日本で原発が内包する真の危険性を認識していた人がどれだけいただろうか、そう考えるだけで著者の優れた先見性が理解できる。

    もちろん、小説としての出来も素晴らしい。テーマを絞り込まず、あれもこれもと欲張ったものは大抵の場合陳腐に仕上がってしまうものである。しかしこの本は、中国,人種,原発と近年の大きなトピックが詰め込まれているにもかかわらず、全体のまとまりは全くといっていいほど損なわれていない。
    また、登場人物それぞれがトピックに関連のあるバックグラウンドを持ち、彼ら彼女らのストーリーがリンクし集約していくことで生まれる、終盤の緊迫感とスピード感に手に汗握ること間違いなしである。

    今作では全くと言っていいほどエピローグが描かれていないのだが、そこには、答えは与えられるものではなく自分で考えて出すもの、というメッセージが含まれているのだろう。また結末に限らず、本の至る所から溢れだす著者の強い想いを感じたのは、私だけではないはず。

  • 希望や誇り、そういう青臭い、胡散臭い言葉が、芯に響いてくる。

    私も仕事に対して、もっと真摯にならねばと思いました。

  • 2011/08/22-2011/08/27
    北京オリンピック開会を前に国家の威信をかけて建造した世界最大の原発「紅陽核電」。しかしその崇高な希望とは裏腹に、言葉足らずを承知で端的に中国人の国民性を捉えれば、「強い個人主義、自分の得にならないことはやらない。得になることは汚れてもやる」ことにあるだろう。
    残念ながら日本人とは相入れない「価値観」がある。

  • 神の火、ときいて何を想像しますか?
    原発は、人間の手には負えない代物なのかもしれない。
    だからこそ、完璧に設計をして、運用して、点検して、
    最悪を想定して、「絶対安全」という概念を捨てなければならない。

    この本を通じて、そんなあたりまえのことが頭によぎった。
    原発に関わる人へ、「こんなことやっているよ」と鼻で笑われそうだけど、
    一度読んでもらいたいとおもう。
    こんな時期、時代だからこそ、余計にそう思う。

  • 友達とこの本の話をしていたら、何と庁舎の売店で運命の発見!
    友達がその場で買ったので、後から借りて読みました。
    上下まとめてレビューします。

    題名、「ベイジン」というより「ダイレン」じゃないのか…?

    ちょうど福島のことがあったばかりだったので、
    背筋が寒くなるくらいのリアル感でした。
    そして、このレビューを書く(7月末)少し前には、新幹線の事故もあって、小説とダブりました。
    その上、大連では現実にも原子力発電を建設中なんですね(紅沿河原子力発電所)。

    革新的な技術は、使い方を誤ればものすごい凶器になること、
    小さな小さなミスが思いがけない結果につながることの怖さ。
    危険の大きさを認識している者と、していない者との落差に愕然としました。

    これから!ってときにラストを迎えたのは少し残念。
    残された部分は、想像力で補うには大きすぎます・・・

    終わりの方で、ラジオの持ち込みを許可したことを悔やむ田嶋に対して、
    朱鈴がかけた言葉が印象的。

  •  下巻では中国の巨大原発が電源喪失してメルトダウンの危機に陥ります。
     
     福島原発でもこんなことが起きていたのだろうかと怖くなる描写が多々あります。 
     というかメルトスルーしてしまっただから、これよりひどい状況に追い込まれているのですが…

     最後は尻切れとんぼみたいに終わりますが、これ以上書いてもという気持ちがどこか作者の中にもあったのではないでしょうか。
     
     これ以上の最悪の事態は当時はほとんどフィクションの世界だったのかなと思います。
     
     現実にこれ以上のひどい状況にある福島原発の被害は怖すぎて想像もできません。

  • 北京オリンピックに向けて中国国内で世界最大級の原発開発が行われたら、といった設定で原発プラント開発の裏側を描いた作品。
    作品中の原発トラブルは執筆時点で想像のはずであるが、入念に練られた想定に基づいた創作話が、相当にリアリティーを持ちうる事が日本で実証されてしまったことに悲しみを覚える。

  • めも
    ・諦めからは何も生まれない。希望とは、自分達が努力し、奪い取るものだ。
    ・やればできるのではなく、やらなければできない。

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著者プロフィール

真山仁(まやま じん)
1962年、大阪府生まれ。同志社大学法学部政治学科卒業。読売新聞記者を経て、フリーランスとして独立。2004年、熾烈な企業買収の世界を赤裸々に描いた『ハゲタカ』(講談社文庫)でデビュー。これが代表作となり、ドラマ・映画化された。
「ハゲタカ」シリーズのほか、『虚像の砦』『そして、星の輝く夜がくる』(いずれも講談社文庫)、『売国』『コラプティオ』(いずれも文春文庫)、『黙示』『プライド』(いずれも新潮文庫)、『海は見えるか』(幻冬舎)、『当確師』(中央公論新社)、『標的』(文藝春秋)、『バラ色の未来』(光文社)、『オペレーションZ』(新潮社)がある。

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