小説 会計監査 (幻冬舎文庫)

著者 : 細野康弘
  • 幻冬舎 (2010年6月10日発売)
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  • Amazon.co.jp ・本 (290ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784344414853

小説 会計監査 (幻冬舎文庫)の感想・レビュー・書評

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  • <「会計監査」読了>2013年2月27日

    ・ 会計士は職業上のリスクに対する鋭敏な感覚がないと生き残れない
    ・ 昔から旧友とそれぞれの専門知識を踏まえて経済や政治の話をするのは、命の洗濯の場になる
    ・ なぜ監査人は粉飾に加担したか?
    ① 経営者と同質化した強いクライアント保護意識の存在
    ② 古い個人事務所的意識・経営感覚の存在
    ③ 監査チームの閉鎖的なままの組織の継続
    ④ クライアントとの閉じた世界での関係の継続
    ⑤ クライアントとの固定化された人間関係の継続
    ⑥ クライアントからの圧力への対応の弱さ
    ・なぜ監査法人は発見出来なかったか?
    ① 相互の信頼関係を前提とした性善説にたった組織風土・運営
    ② 自分の担当のみに万全を期せば善しとする社風
    ③ リスク発生時の対応体制の不備
    ④ 外部情報への対応の不備
    ⑤ 審査する個人に過度に負担のかかる審査制度
    ・ 会計士の職業倫理には3つの側面があり、①理論としての職業倫理②制度としての職業倫理③実践としての職業倫理
    ・ 監査は依頼主から報酬をもらって仕事をする。このプロフェッショナルといわれる業務の独立性は、薄氷の上に成り立っている
    ・ 「会計士など銀行の実務を知らない。彼らは銀行と癒着している。我が国資本主義の宿痾(長い間治らない病気)である。屁理屈ばかり考えている。決してあいつらと議論等するな。」
    ・ 「銀行検査間と議論するなど会計士風情が生意気だ。」
    ・ 政治家の思惑と当局者の保身で銀行が潰される
    ・ 「マスコミは不正を見逃さず記事にするのが務めでしょう。正義の味方、民主主義の番人ではなかったのですか?」「当局には私どもも逆らえない」




    ・ 「孟子の離婁篇の下に、『為さざる在るなり。しかる後に以て為すこと在るべし。』とあるのを。われわれにはどんなことがあっても、してはいけないことがある。まさに原則を曲げて金融庁に迎合することだ。このしてはいけないことが何かを突き詰めていくことにより、何をすべきかが明らかになって来る。どう生きていくべきかが明らかになって来る。われわれには、どんな脅しがあっても、それをしては生物の霊長ヒトとして、会計士としてお終いになってしまうことがある。われわれは会計士だ。どんな圧力があっても、強制されても、正しいと考える監査意見を出さなくてはならないということだ。」
    ・ 現在、市場が世界規模に拡大すればする程に、逆に米国資本の生産性が低下することになる
    ・ 日本では、日本社会特有の「熱狂的均質化現象」が起きている。つまり、いまだ日本人の多くは、個としての自立を十分に果てしていないので、何かがこると、人びとは同じ方向を向いて一斉に走り出し、自分の心情や情感までも周りの人びとと均質化させることに懸命になる傾向がある。」
    ・ 小泉政権は、他の政治家に無いクリーンなイメージ、官僚と官僚制度への鮮烈な攻撃性、時に見せる野党精神といった個人的投資への共感から人気が生まれた。
    ・ 米国に取って、日中韓が強い絆で結ばれるのは望ましくない
    ・ 小泉の改革が始まってから日本では、フォレステルが「経済の恐怖」で書いているように、『人間はもはや搾取の対象でさえなくなったようだ。いまや人間は排除の対象になってしまった。』ような『ワイルドな資本主義』の渦中の真っただ中にあるようだ。またエンデが『エンデの遺言』で書いているように、『パンをパン屋で買う購入代金としてのお金と、証券取引所で株式を買うお金は、異なる種類のお金であるという認識』が重要である。
    ・ 会計士としてやってはいけないこと、会計士としてやるべきことに関する基準を、人としての基準をしっかりと持つべき
    ・ 公認会計士のいうような組織になってしまっては手数ばかりかかり、コスト削減になどならない。彼らの提案など、公益の役立ちにならない。
    ・ 金融商品会計基準はおかしい。評価益さえあれば、キャッシュフローがなくても配当ができる。

    ・ 金融庁は監査法人を管理監督する主務官庁である。監査法人が金融庁の意思に逆らうことは、まず不可能である。
    ・ わが国の様々な分野に、「強力な海外(アメリカ)からの意思が働いている」という仮説が在る。そのかの国で働いたことのある人や学んだ人の中には、心を奪われてしまい、「奇妙に国際人ぶって」、その代理人のように働いている人がいるようだ。
    ・ 物事の理解には、仮説を立て、見えないところを推測して、推測結果と目の前の現実とを突き合わせること、検証することが役に立ちます。
    ・ 昨今の、クライアントから「ありがとう」と言われるようではいけないという監査業務に疲れた。アドバイスもサジェスチョンもしたら癒着になる。
    ・ 監査法人は強圧的な態度で、役所を後ろ盾にして、虎の威を借りたキツネさながらに、内部統制だの、国際会計基準だのとわめき散らし、ほとんど会社にとっては必要もない商品を売りつけて、せっせと金集めだけに熱を上げている。
    ・ 監査現場でスタッフ達は、責任回避のために作られた、マニュアル記載の手続きの実施に手一杯で、自分の頭で考える余裕がない。
    ・ 会計は、経済を通じて、国の形、民族の文化に反映する。民族の思考と行動の枠組みとなる。国際社会との関連では、国益と深くかかわっている。ところがいまは、他国の文化に立脚した会計思考の全てを是とすることがまかり通っている。日本文化への影響を検討すること無く、「奇妙に国際人ぶった」ひとたちが大声でわめき、何が何でもその国の思考を、実務に導入しようとする。こんな現実の中で、公認会計士は会計実務の第一線にたち、翻弄され続けている。
    ・ 会計士達が直面するのは、クライアントの要求と、会計士の正しさの利益相反である。
    ・ 会計士は繰り返し、利益に爛れた企業と、恣意的法解釈を行う国家に挟まれ、翻弄され続ける職業である。
    ・ 現実を前にしてもやはり、一人の職業人を突き動かすのは、ある種の青臭い想いであり、夢である。それを、その職業に就く以前だけでなく、就いた以後にも抱き続ければ、困難にも汚穢にも立ち向かうことができる。会計士業務は、監査業務は、その性質上、すいゆかぬことがある。ただ、それでもなお、監査業務に理想を持つことはできるのだ、と。

  • フィクションですが、たぶん「エビデンスがない」という意味でフィクションであって、かなり事実に近いのではないですかね。会計監査も対象によっては政治がからみます。常々思いますが、やっぱりメディアは偏向しているな。って思います。この小説読むと「やっぱりそうだよね」って思う部分が多々ありますね。

    今の日本の政治の状況見ると、あまりに調整する能力を欠いて悲しくなりますが、これもその過去の「悲しくなる」歴史かもしれません。

  • 著者は某監査法人にお勤めだったことからも、小説という形の限りなく実話かと思います。もしかすると内部告発という捉え方もできるかもしれません。
    監査法人業務の具体的描写はさすが実務をなされていた方だけのことはあります。

    ただ、読者側にある程度の会計知識が求められる点と、聖人君子である主人公を通して正論の如く金融庁批判を繰り広げている点は少々いただけません。

    客観性が些か気になりつつも、実際に監査法人の要職だった方が書かれた読み物ということで大変興味深く、経済小説としても面白いです。会計に携わる方にはおすすめしたい一冊です。

  • カネボウや日本郵政分割などの会計監査を担当した中央青山監査法人の会計士をモデルにした小説です。
    専門的過ぎてある意味丁寧な作品だが、ドキュメントでもない小説でもないちょっと読みにくい作品でした。2回目の読書ですがそれでも難しい>

  • 会計・経営の知識があればもっと面白かったと思う。

  • カネボウ粉飾事件、UFJと三菱の合併、日本郵政の監査、日興コーディアル粉飾事件 という実際に起きた4つの有名な事件をモチーフにした、
    当時の中央青山の幹部目線で書かれた短編集。

    一応フィクションだけど、結構事実に基づいているっぽくて、「あー、こういうことだったんだ。」と勉強になる部分が多かったです。

    でも、著者の目線にはかなりバイアスがかかっている気がするので、あくまでも参考程度に読むことを勧めます。

    読み手にある程度業界に関する知識なり関心があることが前提ですが、一度読んだら引きずり込まれます。

    個人的には「難しい本」に分類しました。

  • 10/4fin

  • 読了。作者の会計士としての経験と一部の仮説を交えての実際に起きた(と思われる)事件とそこで会計士がおかれた状況を題材にしている。一部テクニカルな点はあるがそれほど難しくなく、とてもリアリティがありどんどん読み進んだ。ただこれの半分でも事実に近いとしたら官僚たちの横暴、恣意的な介入はひどいものがあると思わされた。ジーン・ワルツを読んでても感じたのだが日本の官僚のやることがこれほど恣意的とは。。。[2010/08/04]

  • H22.6.30

  • 監査の勉強をしているので、読みましたが、よくある金融庁批判ものです。
    読むと勉強する気が無くなる気がします。

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